2007年03月26日

山田詠美「無銭優雅」5

流れるような文章の本がある 自然に流れてすらすらと読まされていってしまうような
文章にはリズムを感じる本がある
例えば舞城を読んでると息をつくのを忘れてしまい、気づくと ふぅ〜と肩ごと息を吐いている
句読点がないだけでなく、どんどん繋がって過剰する言葉に息を吐くことが上手く出来ない
たぶん言葉のリズムで私は本を読んでいると言うか読まされてるんだろう

「無銭優雅」は、プツプツと言葉が短く切られて、なかなか先に進めない
流れるようには読めないのだ  なんだ これ?  なんだかまどろっこしい
一行が短く、点を多い だから読むのに、いつもの2倍かかった
それはまるで山田詠美に、すらすらなんて読ませてやらないよ〜、と言われてるような気がした

 「心中する前の日の心持ちで、これからつきあっていかない?」
慈雨と栄が出会ったのは42歳の時  
たしかに明日死ぬと思えば、その人の仕草も言葉も、ため息ひとつも何もかもが愛おしくなる


 「死の気配の恋愛って盛り上がるじゃん」
ま〜たしかに  ん?
あっでも違いますよ 所謂大人な恋=オトコイとかじゃない
こんなコトほんとに気がついてる男なら、女の瞬きひとつも愛せるから、
私ってそんなに素敵かなぁ?とか勘違いさせられる
いきなり女っぷりが上がったんじゃなくて、もちろん潜在的な魅力が花開いたんじゃなくて
死の予感に焦っているんだ そんな予感を持ってるから
おいしい冷凍うどん食べたり、風呂に入ったり、今どきあいあい傘書いたり
みーみーと身体をすり寄せてきて ばっかみたいに時間を共有できるコトが
幸せなんだと思えるのだろう

あ〜うまいな〜 凄くうまい それも軽く書かれてて
山田詠美はこんなの書くのか さすがだな〜 やんなちゃうな〜
面白いな〜とか思う私 参りました
慈雨と栄をはじめ、彼らの家族や友人達、みななかなか面白い
でも栄が目の前に来ても愛せるかな〜私 無理だろうな〜まだまだだな〜
まだまだっていつか到達するのかよ、とかつっこんでみる
そんなコト軽く考えながら、いや〜面白かったと読み終えて
感想書いてたら、すっごい死とかなんじゃん この話!と、今頃気づく

途切れたような文章は、自分のなかでの最近の短歌とかのイメージがする
そうそう私は短歌とか読むと、私はリズムがどうもウマくとれない なんだか座りが悪い
むずむずする美しいコトバ うまく表現できん 毎度のことながら

 死と言うものは、私たちに世界で一番身勝手な価値を与えてる
 骨身にしみいる類い.....の恋愛小説

いかん 染みてた

tg-wco4be2 at 08:29│Comments(7)TrackBack(3)clip!山田詠美 

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2. 山田詠美の「無銭優雅」を読んだ!  [ とんとん・にっき ]   2007年04月10日 12:41
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この記事へのコメント

1. Posted by ソーラ   2007年03月26日 18:21
きりりさん
ありがとう。
ワタシが言いたかったことを言ってくれて。
山田詠美のイメージを変える名作ですよね。
ワタシはこの本を皮切りに
山田詠美に夢中になっています。
2. Posted by きりり   2007年03月27日 02:40
ソーラさん ウマいですよね〜 さすがですね〜
これはこれで、初期の頃と違った角度で、ほれ見ろ!って言ってる気がするけど
特に初めの十何頁目の ......私の名前は慈雨と言う とか、あのあたりのとこ好きですよ 
私も他の読みます!
3. Posted by chiekoa   2007年03月27日 12:21
山田さんの書く日本語は、すごく考えられてるなぁあといつも思います。リズムも、句読点も、全部計算づくで書いてますよね。そしてそれにやられてしまいます。この本、好きでした!
4. Posted by きりり   2007年03月28日 01:50
chiekoaさん ダテに山田詠美じゃないと思いました
私もすごく好きなので、他の本を読むのがちょっと恐いくらいです
5. Posted by まじょ。   2007年03月30日 00:43
この作品は未読なのですが、きりりさんのレビュー読んでものすごく読みたくなってきました!
山田詠美はどの作品読んでも安定していて安心できる。そんな詠美作品の中でも名作…うわぁ、すごく楽しみです!
6. Posted by きりり   2007年03月30日 01:24
まじょ。さん 私は初なんですよ〜
なので比べられないんですが... でも面白いと思います
表紙開けた次の薄い紙のデザインも好きです
7. Posted by エビノート   2007年05月05日 00:19
きりりさん、こんばんは!
いや〜なんか、ほんと文章の巧さを感じましたね。
参りましたって、言っちゃう気持ち分かります。
私にはこんな文章書けないし、慈雨たちのような心境に到達できる気もしないけど、何か良いなぁと素直に思えました〜

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