2007年07月29日

小川洋子「ミーナの行進」4

もし自分の人生を木の年輪のように見るコトが出来れば
ちょっと他の年と違う色をしている年を見つけられるかもしれない
1年なんてとっても短いけど、思えば長く特別な年と言うものがある
普段忘れていても、一度片隅を覗いてしまうと否応なしに蘇ってしまう記憶が心のどこかに潜んでいる

母とわかれ1年間親戚の家に住むコトになった13歳の朋子
そこは芦屋の豪邸で叔父さんはフレッシーなる清涼飲料水のメーカーの社長である
そこの家には、朋子の1歳下小学生のミーナが住んでいた

庭にはかつて動物園があっと言うほどの夢のような豪邸
ハンサムな伯父さんや西洋式の暮らしは夢を散りばめたようだ
でも夢のように見える家族や家と、同時に存在するまったく別の現実
ちょうど子供から大人になりはじめる朋子にとっての"特別"な1年

たぶん私が朋子であっても、この夢のような一家と過ごした日々を幸せに思うだろう
庭にいるコビトカバやハンサムな伯父さんと食べるクレープシュゼット
ジャコビニ流星群や本格的クリスマスの用意、図書館の素敵なお兄さん
でも一番心に残るコトは、きっとミーナと過ごした光線浴室での時間だろう
マッチをすってオレンジ色に染まる部屋は、特別な場所と時間をつくり出してくれる

ぜんそく持ちで躰が弱く大切に大切に育てられたミーナ
お人形のように美しく利発で、自分の見るべき目線をそらさない
幼いミーナの強さの裏側にある死や現実への脆さを表すように
ミーナはマッチ箱にちょっぴり哀しいおとぎ話を書き続ける

たぶん半年以上待った本で、内容わからない頃に予約していた為
何の本だったか忘れ果ててたけど、とても面白かった
70年代の芦屋とかのノスタルジックな雰囲気が醸し出されてる
小川氏は三冊目で前回読んだ博士の....も面白かったけど、こちらも好き
この人の本は心温まる感じんながら、やたらと残酷

タイトルの行進がホントに行進と知って驚いたけど、
でもそこがまた象徴なのだと読み終わって感じられる

特別な1年は、楽しいコトと一緒にいつくかの哀しい思い出もそなわっている
そのすべてが愛おしく懐かしいモノになるまで記憶の底に沈めておこう

第42回谷崎潤一郎賞受賞


tg-wco4be2 at 23:59│Comments(8)TrackBack(4)clip!小川洋子 

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1. 小川洋子の「ミーナの行進」を読んだ!  [ とんとん・にっき ]   2007年07月30日 00:44
小川洋子の最新作、とはいえ今年の4月末に出たものですが、「ミーナの行進」を読みました。小川洋子は「博士の愛した数式」で、第1回の「本屋大賞」を受賞して話題になりました。「ミーナの行進」は、たぶん彼女の作品の中では、今のところ最高傑作に位置づけられるでし
2. 「ミーナの行進」小川洋子  [ AOCHAN-Blog ]   2007年07月30日 15:30
タイトル:ミーナの行進 著者  :小川洋子 出版社 :中央公論新社 読書期間:2006/11/27 - 2006/11/29 お勧め度:★★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 美しくて、か弱くて、本を愛したミーナ あなたとの思い出は、損なわれることがない―懐かしい時代に育ま...
3. 「ミーナの行進」小川洋子 中央公論新社  [ 待ち合わせは本屋さんで ]   2007年07月30日 20:48
なんかぱっとしないタイトルだったけど(失礼?)期待せず読んでみました。ところがこの本 なかなかやってくれました。 主人公の朋子が1年間 伯母さんの家に預けられ、そこで体験する豪華で不思議な芦屋での生活。これはメルヘン...それとも絵本のお話??と思っていたら、深く悲...
4. ミーナの行進 〔小川洋子〕  [ まったり読書日記 ]   2007年07月31日 21:50
4 ミーナの行進 ≪内容≫ 美しくて、か弱くて、本を愛したミーナ あなたとの思い出は、損なわれることがない―懐かしい時代に育まれたふたりの少女と、家族の物語。 (BOOKデータベースより)

この記事へのコメント

1. Posted by シン@偽哲学者   2007年07月30日 12:28
こんにちは^^
よく聞くタイトルですがやはり面白いですか。
読んでみたいっす。
2. Posted by きりり   2007年07月30日 23:21
シンさん
面白いですよ〜 本の宣伝文より全然面白かったです
3. Posted by naru   2007年07月31日 19:43
こんばんは♪
ずいぶん前に読んだので、忘れているかと思いましたが、きりりさんの感想で記憶がよみがえってきましたよ〜。素敵なお話でした。
プラッシー今でも売ってるみたいですね。飲んでみたい!!
4. Posted by エビノート   2007年07月31日 21:58
生まれてもいないのに、妙に懐かしさを感じさせられる作品でした。
物語も良かったし、物語の雰囲気と合っている挿絵も好きでした。
5. Posted by えち   2007年08月01日 18:43
この本絶対本屋大賞獲れると思ったのに、博士で獲ってるから除外されたんだってね。なんか納得できない。でも地味にじーんとくるよね。カバ飼いたくなりましたよ(^O^)
6. Posted by きりり   2007年08月02日 00:45
naruさん
プラッシーあるんですか!飲んでみたいな〜
派手な話じゃないけど、私はとても印象深い話でした
7. Posted by きりり   2007年08月02日 00:47
エビノートさん
かなり前の話ですよね 私も自分の記憶がないのに、それでも懐かしさとか感じさせる話でした
8. Posted by きりり   2007年08月02日 00:48
えち君 あ〜まさに本屋大賞系だね〜
博士も良かったけど、これもとても好きな本になった
カバはね〜 はじめ設定に無理を感じたけど、なんだかこの時代というかおとぎ話のような
不思議な雰囲気を作るのに良かったと思う

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