2007年10月25日

黒川博行「国境」4

 殴ったら、すぐに蹴らんかい

そうなのだ! 殴っただけじゃダメなのだ
ダメージを与えた後に、さらなるダメージを
徹底的に相手に歯向かわせない程のダメージを与えるコトが
喧嘩の極意だと何かで読んだコトがある よっしゃー!
って、人を殴ったコトすらない私が、殴った後蹴り倒せるのか、かなり疑問だ

自分が強者になるコトを建設的かつ野性的に徹底的して知っているのはヤクザなのだろう
それも、ただの自己満足のために強くなるわけではなくて、強くなるための理由は「金」だ

このシリーズの主役二人、二宮と桑原の金に対する執念は凄い
どんなにカッコ良くしても「金」にウルサい桑原と
どんなに格好わるくても「金」にウルサい二宮 
彼らが、今度は「金」のため、詐欺師を探しに北朝鮮まで行った....

おもしろい!!! 読み終わった時に軽く叫びたかった 感想の最初に言うのも何だけど
最後の一言が、ホントにうまい さっすが黒川博行 オトしてくれる
いや〜面白かったな〜 文庫800ページ以上の厚さだけど感じさせない厚さ

ま〜でも北朝鮮 どんな強気な桑原でも逆らえないものがある
ヤクザ達から10億だまして、北朝鮮に渡った趙 を探して、監視役の朝鮮人をケムにまき
趙の居場所を調べ上げ、日本に帰った後、再度北朝鮮へ中国まわりで密入国をはかるのだ

とにかく北朝鮮の描写が凄い 監視された北朝鮮の状況や、密入国して行った
北朝鮮の地方の貧困さや悲惨さは想像を絶するものだ
そして、無茶をしたら何をされるか分からない この国での密入国や役人達とのやりとりなど
まさに冒険につぐ冒険と言った感じで手に汗にぎりながら、次へ次へと読み続けてしまう

そんなリアリティのある描写のなか、どんな国にいても、悪態をつく二人の会話の面白さは抜群だ
それに加えて、中国からの通訳ガイドとなった李さんや愚連隊系(古い?)の長・黄、
在朝日本人(?)の食堂の女性など、どの国にあっても人情や義に重きをおく
泣かせる奴らが登場し、前作の「疫病神」以上のエンターティメントを作りあげている
絶賛ですな〜 相変わらずな私

二度の北朝鮮行きで、約三分の二 そこでふっと今回は、あまりに二宮が活躍してない..と
思うと、ここから舞台が日本に戻り、事件の黒幕探しにひとり、遮二無二動き出す

私がこの二人で不思議だな〜と思うのが、二宮
普通悪態つきながらも、心のなかで認め合ったりとか心の結びつきとかがあるが
二宮は、ほんとに桑原を嫌っていて、隙あれば桑原を騙してまでも金を取ろうとするなど
どこまでも格好悪く、どこまでも泥臭い人物だ
逆に意外と桑原は、二宮が危機一髪の時に絶対に必ず助けにきたりとか、無情な奴ながらも
二宮を気に入っている節があったりする
この微妙なバランスが、変におしどりカップル作られるより、数倍面白いのだと思う

何と言っても私が気に入ったのは李さん
日本語が喋れるが、ヨッボヨボの通訳ガイドに、はじめは疑った桑原だが
外見とは裏腹に、したたかで、義に厚く、最後の最後まで見せ場を作ってくれる

もうシリーズ三作目 読む気満々でございます
やっぱり桑原が、あぶない時に駆けつけて、口でも腕力でも暴れまくる様は、もう読んでて
痛快そのもの  このくらい自分も肚を決めて、やってみたいと危ないコトを考える

本書2001年後期の直木賞候補です  受賞は山本一力「あかね空」と唯川恵「肩ごしの恋人」
「あかね空」は知らないけど、「肩ごしの恋人」より面白いと思うんだけどね

tg-wco4be2 at 02:22│Comments(2)TrackBack(0)clip!黒川博行 

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この記事へのコメント

1. Posted by レイバック   2007年10月28日 11:33
これがもしかすると、
最高傑作かも知れませんね、
黒川氏は^^ 面白かったなぁ。
「あかね空」も人情話で良いですよ。
山本一力氏はお気に入りです。
2. Posted by きりり   2007年10月28日 13:58
レイバックさん こんにちは〜 黒川氏は美術モノ、警察モノなんでも好きです 
国境は重いものなはずなのに、舞台を変えても生き生きと彼らのい様が面白い作品でしたね〜
山本一力氏の「あかね空」読んでみます 楽しみです

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