2008年03月22日

絲山秋子「袋小路の男」2

「袋小路の男」
袋小路に住む男と私のカンケイは、たまに電話をしたり
バイト先のバーに行って話をしたり、
そしてたぶん1年に一度くらい御飯を食べにいったりする
東京と大阪に分かれても、私に恋人が出来ても
いつの間にか二人は同じカンケイを続ける

 出会ってから12年たって私たちは指一本触れたことがない
 厳密に言えば、割り勘のおつりのやり取りで
 中指がしびれたことがあるくらい
 手のなかに転がりこんできた10円玉の温度で、
 あなたの手が暖かいことを知った

「小田切孝の言い分」
袋小路の男・小田切の目から見たことと私の目から第三者的に
見たことを書いた作品 
「言い分」なので「私」が書いて出来事とはまた別のストーリーが
書かれているように感じさせる


「袋小路...」での、冷たい格好良さみたいに見えた小田切は、
ただの戸惑いや悩みをもつ売れない作家であったり
弱くて待ち続けるような「私」は、気まぐれで勝手な後輩でしかなかったり

いつくかのエピソードを入れて、まったく違う世界に描かれた
この話は、まるで人の恋愛を見るような滑稽さがある

この言い分が、ただのネタ落ちでなく(当たり前だが)
人間同士のカンケイの面白さを感じさせる

「アーリオ・オーリオ」
14歳の姪と叔父との往復書簡
プラネタリウムに連れて行き星に興味をもった姪は
叔父に手紙を書き始める
飼いはじめた子犬、将来の夢、星の話を作り
ふたりだけの宇宙を作る

手紙のやり取りのなかで失った日々や恋人のコトを思い出す
今見える星の光は、何万光年のも宇宙の先から時間をかけて私に届いたもの
星にとって「過去」であっても私にとっては「今」なのだ

さて、この三作品のなか
「袋小路の男」は第30回川端康成文学賞受賞を受賞している
amazonで見た選評がすごかった...

 <袋小路の男>は純愛物語です
多くの作家が書こうとして、なかなか書けなかったテーマを、絲山秋子は達成しました
大都会の真ん中で育った子供たち特有の、過度なまでの節度、孤立したとまどいと寡黙の出口のない切なさが、読者である私にも迫ってきた

すごい改めて審査員の読みってホントなのかと思ってしまった
そこまで読めなきゃダメなの?
真実であろうとなかろうと私ならあまり書かれたくないな〜
って私のことじゃないけど...

学生時代から12年間思い続けた男..
近づき過ぎて失うのなら、何も求めずそばにいたい
たぶんこれも、一つの愛のカタチなんだろう
求めない自分に満足して、そして葛藤を繰り返す
求めないと言う選択は、たぶん相手に伝わっていて
コトバにするより大き過ぎるものになっていたりする

ん〜絲山氏は、やはり好みじゃないな〜と思いながら
「アーリオ・オーリオ」は好きである

tg-wco4be2 at 04:16│Comments(7)TrackBack(0)clip!絲山秋子 

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この記事へのコメント

1. Posted by 菱沼   2008年03月23日 09:45
きりりさまo(^-^)oこんにちは♪「袋小路の男」が純愛ものとは知りませんでした(^_^;)私は腐れ縁みたいに感じました。
2. Posted by きりり   2008年03月23日 13:19
菱沼さま 私も腐れ縁のが正しいような気が.... 書評がちょうど載っていて驚いたんですよ いろんな解釈あるんだなと
3. Posted by ソーラ   2008年03月23日 16:17
きりりさん
わたしもこの著書で絲山氏が
そんなに好きではなくなりました。
デビュー作「逃亡くそたわけ」の勢いが
なんとなくかげっていますよね。
きりりさん紹介の書評はオーバーですね。
びっくりです。
4. Posted by ソーラ   2008年03月23日 16:23
きりりさん
思い違いしていました。
この「袋小路の男」の方が「逃亡・・」
より先に書かれたのですね。
もうひとつ、
「沖で待つ」が芥川賞受賞作なんですね。
勘違いしてました。すみませんでした。
5. Posted by きりり   2008年03月23日 21:40
ソーラさん いえいえ この批評凄いですよね 内容よりこちらの方が印象に残るほどです
沖で待つも意味わからなかったし たぶん合わないだけだと思うので、だったら読まなきゃいいんだけど、たまに読んじゃうんですよね賞とってたりすると 
6. Posted by 弥勒   2008年03月26日 13:01
読めなくても全然いいと思います(´∇`)
標題作の袋小路の男(でしたよね?)は
結構好きでした〜
言い訳はなんか微妙…
短編、良かったですよね!
7. Posted by きりり   2008年03月28日 13:14
弥勒さん
でも図書館にあると、たまに読んじゃうんですよ〜
好きなのもあるんですけどね(これも言い訳なような)

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