2009年01月26日

早瀬乱「サロメ後継」3

ふと気がつくと、見知らぬ箱が置かれていた
何かに惹き付けられるように男は、その箱を持ち上げ中を開く
中傷だらけの左手首
そしてすべての指が切り取られていた

その箱が置かれたビルでは、「約束の地」と言う会社の入社説明会が開かれていた
店舗数が拡大している その会社を調べはじめた井出川刑事は、その会社には
社長をはじめ自殺未遂りストカットをおこした女性がたくさん集まっていると聞きつける
井出川刑事は、妻がリストカットを繰り返し行い離婚、そして娘も同じ
妻や娘がリストカットを繰り返し離婚や家出をしていたと言う過去を持っていた


その会社に惹き付けられてしかたのない井出川は、事件からはずされた後も
自ら捜査を行いある仮説を導きだす.......

「三年坂火の夢」で江戸川乱歩賞を取った早瀬氏の本
ん〜気持悪い 指のない手首からはじまる本書
傷口から年月をかけて指が別々に切り取られているコトがわかる
そんな何年もかけての拷問なのか?監禁されているのか?
それを想像するだけで気持悪い! 被害者はいったいどんな状態でいるのか?

女性を見ると手首を見たくてしょうがない井出川
リストカットから始まり果てはサロメの生首まで、身体の一部を偶像にして
欲望の対象とし人々が集まり操られていく様は超現象的な話になっているミステリ&ホラー作品

井出川がリスカ女性と謎の自殺をし、真相を調べはじめた同僚の刑事が殺され、
また息子までもが姿を消したが事件はうやむやに終わる
そして数年後、さらに大きな会社となった「約束の地」に社長の姪である女性が
入社し、精神病院の治療の一環として行うサロメの舞台練習である男に出会ったコトから
まわりが狂いはじめる.....

本書、リストカットや自傷癖などの精神疾患の話や、ヨブ記などの宗教的な話
新興宗教的な話や、都市伝説のような「ササキさん」の話など、さまざまな要素が
盛り沢山な本

「欲望は伝播する」と言う仮説を残して死んでいった井出川刑事の欲望や
「約束の地」に集まった人々の欲望は何なのか?
文中時折出てくる「この欲望は誰のもの?」と言う問いかけは、きっと誰の心に
もう一つの何かの存在を生み出してしまいそうで怖い

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