横山秀夫

2010年04月29日

横山秀夫「クライマーズ・ハイ」5

 若い自衛官は仁王立ちしていた
 両手でしっかりと、小さな女の子を抱き抱えていた
 赤い トンボの髪飾り
 青い水玉のワンピース
 小麦色の 細い右手が だらりと垂れ下がっていた
 自衛官は天を仰いだ
 空はあんなに青いというのに
 雲はぽっかり浮かんでいるというのに
 鳥は囀り 風は悠々と尾根を渡っていくというのに
 自衛官は地獄に目を落とした
 そのどこかにあるはずの 女の子の左手を探してあげねばならなかった

1985年、御巣鷹山で起きた日航機墜落事故
もうワタシの記憶に薄い しかし、その後偶然出会った女性が
長年つき合っていた恋人をその事故で亡くした話を聞いていたので
心の片隅に事件の名前だけが残っている続きを読む

tg-wco4be2 at 20:36|PermalinkComments(3)TrackBack(0)clip!

2010年04月10日

横山秀夫「震度0」3

阪神大震災が起きた日
かなり離れた警察署内では幹部会議が行われ被害状況の分析に追われていた
しかしその場に現れないものがいた
警務課長・不破義仁
彼は前の晩から帰宅していなかったのだった

不破の車が前任地内の公園で見つかり
何か事件に巻き込まれたのか? それとも蒸発?
ある者は不祥事発覚、警察のスキャンダルを恐れ、
ある者は自分のスキャンダル発覚を恐れ
またある者は、事件を利用して出世や天下りのことまで謀を巡らす
最高幹部たちは己の身をまもるため、周りを出し抜く情報戦や
公社に住むそれぞれの妻たちまでが動き出す.....

己のエゴ、プライド、階級、出世だけに気を取られる警察幹部たち
アマゾンで感想を読んでたら、実際こんなことが起こってんでしょうね
とか書いてる人がいたが、あ〜めんどくさい こんな世界!
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tg-wco4be2 at 21:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2006年12月19日

横山秀夫 「動機」3

署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した 犯人は内部か、外部か?
警務課調査官の貝瀬が警察内部と思われる犯行を追い詰める「動機」
他 「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」を収録

第53回日本推理作家協会賞受賞作した表題作「動機」
前回読んだ初横山作品の「陰の季節」と同じく警察内部激しい応戦を繰り広げる

前作は、警務課調査官 二渡のイメージが強かったし、何作か彼が出ていた為
非常に印象があるが、こちらはあまり良さがわからなかった
日本推理作家協会賞の短編で受賞しているものって良さがわからないコトがある
きっと私が理解できないのだろなんだろうが

比べて次の「逆転の夏」がとても良かった続きを読む

tg-wco4be2 at 23:59|PermalinkComments(6)TrackBack(2)clip!

2006年10月14日

横山秀夫「陰の季節」3

主役は二渡真治 警務課調査官 
警察内の人事を素案作りをする若き警視 エースである
エースの意味は、若くて秀でてると言うのではなく、
まさに人事のカードのエースを握っているからである
不祥事を起したものを目立たせず どこかへ飛ばしたり、
勇退の先の天下り先を探したり、普通の企業以上に内部のものを納得させ、
外部に本意を気が付かれぬよう段取りしなければならない 大変だよね...
そしてまたその自分が下した人事が自らの評価となるのだ 

この短編集は犯人を捕まえる話ではなく、警察内部側の部署の人間達の話だ
警務課調査官・監察課監察官・生活安全課・警務課婦警担当・秘書課...
婦警さん以外聞いた事のない部署ばかりで、私なんて警察は、刑事と婦警さんと派出所おまわりさんしか存在しないと思っている

「陰の季節」「地の声」「黒い線」「鞄」の四編を収録続きを読む

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