山田詠美

2009年09月06日

山田詠美「学問」5

「ひとりっきりの秘密は、役に立たない秘密なんだ」

ふたり vs この世のすべて
ふたりで 秘める 密かごと
だから、ふたりは特別になれる

東京から美流間に引っ越してきた7歳の仁美が、はじめて秘密をもった相手
それがテンちゃんこと心太
常に皆の中心、そしてリーダーとなるべく存在する少年
そして眠るコトが生き甲斐の社宅で仁美の隣に住むチーホ
食べるコトが生きるコト、病院の息子であるムリョ
小学校時代から高校まで、まさに奇妙なカンケイを育みながら
美流間で成長していく四人
まるですぐ先に横たわるありふれた死を既視感のように眺めながら
生と性の輝きは一段と増すのだ
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2007年04月23日

山田詠美「風味絶佳」4

この本のあとがきに書かれていた
 世に風味風味豊かなものは数多くあれど、
 その中でも、とりわけ私が心魅かれるのは、
 人間のかもし出すそれである........

6人の肉体労働をする人達を軸とした「風味絶佳」
肉体の技術をなりわいとする人々に敬意を払って来た...と書く彼女が描く短編集

鳶・ゴミの収集車・ガソリンスタンド・引越し屋・排水溝の清浄・火葬場
登場する男達は肉体的な仕事をしていて、彼らを愛する女、そして愛される女が登場する
「彼の体は私がつくるんだ」彼を食べさせることに心血そそぐ女
男が何の不自由もないように隅から隅までいつくしむ女
何十年たって再会した母の初恋の人が気になる女

登場人物達の愛は、溢れに溢れてわき上がり、どの話も窒息ししてもよさそうな程なのに
山田詠美の話にはそう言うところがない がんじがらめた愛などない
愛があふれて器にいっぱいになってるのが、あたりまえ
きっとこれが、この人の愛と言うものなのだろう続きを読む

tg-wco4be2 at 00:45|PermalinkComments(4)TrackBack(0)clip!

2007年03月26日

山田詠美「無銭優雅」5

流れるような文章の本がある 自然に流れてすらすらと読まされていってしまうような
文章にはリズムを感じる本がある
例えば舞城を読んでると息をつくのを忘れてしまい、気づくと ふぅ〜と肩ごと息を吐いている
句読点がないだけでなく、どんどん繋がって過剰する言葉に息を吐くことが上手く出来ない
たぶん言葉のリズムで私は本を読んでいると言うか読まされてるんだろう

「無銭優雅」は、プツプツと言葉が短く切られて、なかなか先に進めない
流れるようには読めないのだ  なんだ これ?  なんだかまどろっこしい
一行が短く、点を多い だから読むのに、いつもの2倍かかった
それはまるで山田詠美に、すらすらなんて読ませてやらないよ〜、と言われてるような気がした

 「心中する前の日の心持ちで、これからつきあっていかない?」
慈雨と栄が出会ったのは42歳の時  
たしかに明日死ぬと思えば、その人の仕草も言葉も、ため息ひとつも何もかもが愛おしくなる
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