2006年05月

2006年05月21日

奇跡の一粒5

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単結晶X線構造解析という分子構造決定法があるのはご存知でしょうか。私は学生時代から数えるともう18年もこれをやり続けています。

今日もガラス瓶の中から一粒の単結晶をすくい取り、X線を照射して測定を始めました。約30時間もすれば測定は終了、その後はパソコンで計算処理をすることで分子の正確な構造が手に取るように分かります。

この測定法、たった一粒の単結晶があれば測定できます。そのサイズは0.2〜0.4 mm程度です。

顕微鏡下で、いかに良質な単結晶と出会えるかで勝負が決まります。今日の作業はまさに奇跡、作業開始から1時間、何度となく「こりゃダメだ」と諦めかけましたが粘りに粘ってある一瞬、チラッと見えたその時、その美しい一粒に出会いました。

「おぉ〜これならなんとかいける!」

その一粒を紙のこよりで大事に大事に母液から流動パラフィンに移動させ、ナイロンループで金魚すくいの要領ですくい取り、液体窒素で瞬間冷凍して固定させ、X線を照射して測定を開始しました。

「おぉ〜なんとかシャープな回折点が映っている!」

この一粒との出会いがあるかないかで、研究が進むか挫折するかが決まります。

これまでの18年間で、私は幾度となく「奇跡の一粒」との出会いを経験してきました。何百とある結晶の中で、美しい結晶面に囲まれて、亀裂もなく、宝石のように輝くその最高の一粒との出会い、それは人生の中での人との出会いに通じるものがあります。

後から振り返れば、その出会いがなかったら、という仮定は恐ろしくなります。その出会いの結果、現在があるかと思うと、ありがたくも不思議な気持ちになります。

良質な単結晶が一粒あれば、単結晶X線構造解析によりその化学物質の分子構造は正確に分かり(→例えば硫酸銅五水和物の単結晶X線構造解析の例)、DV-Xα分子軌道計算で電子状態を計算し、分子軌道を三次元可視化システムVENUSで見て楽しむことができます。

その一粒と出会えるか否か、私はガラス瓶を開封して顕微鏡下で結晶を探すとき、まずは雑念を捨てて意識を集中し、深呼吸をして心を落ち着けて、祈るような気持ちで真摯に接眼鏡を覗き込み、顕微鏡下で「運命の一粒」に出会えることを信じて作業することを心がけています。



tgs0001 at 12:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 自然科学 | 教育

2006年05月16日

岡山理科大学で開催するDV-Xα分子軌道計算講習会5

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9月8日(金)、岡山理科大学にて、DV-Xα分子軌道計算講習会を開催いたします。定員は70名、参加ご希望の方はお早めにDV-Xα研究協会事務局までお申し込みください。今回の講習会は、これからDV-Xα分子軌道計算を始める初心者向けの内容で、Windowsパソコンを使ったことのある方なら分子軌道計算の経験が全くない方でも大丈夫です。

岡山理科大学の情報処理センターの学生用パソコンにはDV-Xα法プログラムと三次元可視化システムVENUS(含・VICS-II)がインストールされており、私の担当している授業の中で実際に使っております。一酸化炭素分子、水分子、メタン分子、ベンゼン分子などの分子軌道を授業の中でひとりひとりが自分で計算し、VENUSでその分子軌道を三次元可視化して楽しんでおります。



tgs0001 at 20:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 岡山理科大学 | 分子軌道