2016年06月
2016年06月09日
ヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオンの電子状態計算
2016年6月8日(水)22:30、国際純正および応用化学連合(IUPAC)より原子番号113番元素、115番元素、117番元素、118番元素の英語元素名(案)、元素記号(案)が公表されました。
113番元素名(案)Nihonium, 元素記号(案)Nh 115番元素名(案)Moscovium, 元素記号(案)Mc 117番元素名(案)Tennessine, 元素記号(案)Ts 118番元素名(案)Oganesson, 元素記号(案)Og
第一原理分子軌道計算プログラムDV-Xα法では、早速、これらの元素を分子軌道計算に含められるようになりました。
従来の計算環境の、C:\dvxa\data\nonrel を、以下に公開されているnonrelに置き換えるだけで、ニホニウム(Nh)、モスコビウム(Mc)、テネシン(Ts)、オガネソン(Og)を分子軌道計算に含められます。
http://www.chem.ous.ac.jp/~gsakane/nonrel/nonrel
計算例として、ヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオン [NhIIICl6]3- の電子状態をDV-Xα法で計算し、三次元可視化システムVESTA Version 3.3.6 で分子軌道や静電ポテンシャルマップなどを三次元可視化してみました。
この計算では、相対論効果は考慮していません。また、ニホニウム(Ns)の寿命はきわめて短く、しかもまだ数原子しか合成されていないのですから、もちろんヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオンなどという化合物が実際に合成されたわけではありません。DV-Xα法でニホニウム(Nh)を含む分子軌道計算が動作するかどうかを検証したものです。
なお、ニホニウム(Nh)と塩素(Cl)の原子間距離は、2.5 オングストロームとして計算しました。
DV-Xα法の計算で入力する必要があるのは、原子番号と原子の座標のみです。
今回の計算で用いたDV-Xα法の入力ファイル【F01】を以下に示します。
サンプル点は30,000点、ごく普通のWindowsパソコンで計算は1分ちょっとで終わりました。

これが、計算したヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオン [NhIIICl6]3- です。

13a1g (LUMO+13)
(最低非占有分子軌道(LUMO)の13個上の電子が入っていない分子軌道)

12a1g(LUMO)
(最低非占有分子軌道(LUMO))

9eg(HOMO)
(最高占有分子軌道(HOMO))

8eg(HOMO-7)
(最高占有分子軌道(HOMO)の7つ下の電子が入っている分子軌道)

静電ポテンシャルマップ
(赤いところが電子が多いところ、青いところが電子が少ないところ)
DV-Xα法では、周期表のどの元素であっても、同じ精度で計算ができます。
しかも、計算は驚異的に高速で、ごく普通のWindowsパソコンで、重い元素をいくつも含む計算であっても、それほど計算時間は長くありません。
今回の改定版nonrelをお使いいただければ、原子番号1番の水素(H)原子から、原子番号172番のウンセプトビウム(Usb)原子まで、分子軌道計算に含めることができます。
ただし重い原子の電子状態計算には、本来は相対論効果を考慮することが必要です。
今回のヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオン [NhIIICl6]3- の電子状態計算では、相対論効果を考慮していない計算を行いましたが、DV-Xα法では、相対論効果を考慮した相対論版のプログラムがあります。
いずれ、この相対論版DV-Xαプログラムでも、ニホニウム(Nh)、モスコビウム(Mc)、テネシン(Ts)、オガネソン(Og)などを含んだ分子・クラスターの電子状態計算ができるようになる予定です。
参照:DV-Xα研究協会のホームページ
113番元素名(案)Nihonium, 元素記号(案)Nh 115番元素名(案)Moscovium, 元素記号(案)Mc 117番元素名(案)Tennessine, 元素記号(案)Ts 118番元素名(案)Oganesson, 元素記号(案)Og
第一原理分子軌道計算プログラムDV-Xα法では、早速、これらの元素を分子軌道計算に含められるようになりました。
従来の計算環境の、C:\dvxa\data\nonrel を、以下に公開されているnonrelに置き換えるだけで、ニホニウム(Nh)、モスコビウム(Mc)、テネシン(Ts)、オガネソン(Og)を分子軌道計算に含められます。
http://www.chem.ous.ac.jp/~gsakane/nonrel/nonrel
計算例として、ヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオン [NhIIICl6]3- の電子状態をDV-Xα法で計算し、三次元可視化システムVESTA Version 3.3.6 で分子軌道や静電ポテンシャルマップなどを三次元可視化してみました。
この計算では、相対論効果は考慮していません。また、ニホニウム(Ns)の寿命はきわめて短く、しかもまだ数原子しか合成されていないのですから、もちろんヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオンなどという化合物が実際に合成されたわけではありません。DV-Xα法でニホニウム(Nh)を含む分子軌道計算が動作するかどうかを検証したものです。
なお、ニホニウム(Nh)と塩素(Cl)の原子間距離は、2.5 オングストロームとして計算しました。
DV-Xα法の計算で入力する必要があるのは、原子番号と原子の座標のみです。
今回の計算で用いたDV-Xα法の入力ファイル【F01】を以下に示します。
【F01】
----+----1----+----2----+----3----+----4----+----5
| Z ||NEQ|| X || Y || Z |
113 1 0.00000 0.00000 0.00000
17 2 2.50000 0.00000 0.00000
17 2 -2.50000 0.00000 0.00000
17 2 0.00000 2.50000 0.00000
17 2 0.00000 -2.50000 0.00000
17 2 0.00000 0.00000 2.50000
17 2 0.00000 0.00000 -2.50000
---------------------------------------------
|NEQ|| CHG ||U/D|| RD || VD | 1
1 3.00000
2 -1.00000
---------------------------------------------
0 Unit (0:angstrom 1:atomic)
0 Spin (0:non-spin 1:spin )
0 M.P. (0:No 1:Yes )
30000 Sample Point ( <100000, =0 autoset )
----+----1----+----2----+----3----+----4----+----5
サンプル点は30,000点、ごく普通のWindowsパソコンで計算は1分ちょっとで終わりました。

これが、計算したヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオン [NhIIICl6]3- です。

13a1g (LUMO+13)
(最低非占有分子軌道(LUMO)の13個上の電子が入っていない分子軌道)

12a1g(LUMO)
(最低非占有分子軌道(LUMO))

9eg(HOMO)
(最高占有分子軌道(HOMO))

8eg(HOMO-7)
(最高占有分子軌道(HOMO)の7つ下の電子が入っている分子軌道)

静電ポテンシャルマップ
(赤いところが電子が多いところ、青いところが電子が少ないところ)
DV-Xα法では、周期表のどの元素であっても、同じ精度で計算ができます。
しかも、計算は驚異的に高速で、ごく普通のWindowsパソコンで、重い元素をいくつも含む計算であっても、それほど計算時間は長くありません。
今回の改定版nonrelをお使いいただければ、原子番号1番の水素(H)原子から、原子番号172番のウンセプトビウム(Usb)原子まで、分子軌道計算に含めることができます。
ただし重い原子の電子状態計算には、本来は相対論効果を考慮することが必要です。
今回のヘキサクロリドニホニウム(III)酸イオン [NhIIICl6]3- の電子状態計算では、相対論効果を考慮していない計算を行いましたが、DV-Xα法では、相対論効果を考慮した相対論版のプログラムがあります。
いずれ、この相対論版DV-Xαプログラムでも、ニホニウム(Nh)、モスコビウム(Mc)、テネシン(Ts)、オガネソン(Og)などを含んだ分子・クラスターの電子状態計算ができるようになる予定です。
参照:DV-Xα研究協会のホームページ