寒の戻りと勘の戻り、現代の情報化社会と古き良き時代の書、人類としての勘一家のトイレに一枚周期表

2007年04月01日

世界一美しい周期表と一家に一枚宇宙図

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2006年11月17日の私のブログ「周期表机と世界一美しい周期表ポスター」で紹介した「世界一美しい周期表」いろいろな経緯があって日本でも気軽に入手できることになり、とても喜んでおります。

この「いろいろな経緯」については、仮説社発行の月刊教育雑誌『たのしい授業』07年03月号に詳しく説明が掲載されています。私も所々で登場する臨場感あるドラマチックな記事で、とても面白い記事だと思いますので是非ご覧下さい。この記事に登場してくる「世界一美しい周期表」の作者グレイ氏は周期表机の製作を評され、2002年イグノーベル化学賞を受賞されています。

うちの研究室(岡山理科大学理学部化学科の錯体化学研究室)では大学院生にはプレースマットを、その他ゼミ生にはA4版の「世界一美しい周期表」を贈呈し大好評でした。昨年度(2006年度)の卒業式の日には、この「世界一美しい周期表」と一緒に卒業記念写真を撮影したほどです。

またこの「世界一美しい周期表」は、うちの研究室の先代教授・黒谷寿雄先生の卒寿のお祝いの会(同窓会)で、黒谷先生や参加者にも贈呈して好評でした。

今年度(2007年度)の私の担当講義「無機化学III」では、受講生のみなさんにこの「世界一美しい周期表」を全員に贈呈するつもりですので、受講者の方はお楽しみに。

さて、この「世界一美しい周期表」はいくら眺めても飽きないほど美しく楽しい周期表ですが、日本の文部科学省が作成した一家に一枚周期表も、これに負けるとも劣らず楽しい周期表です。

elements何と言っても楽しいイラストと日本語による懇切丁寧な説明が限られたポスター面積の中にぎっしりと詰まっていますので、自宅でトイレにでも貼っておけば、踏ん張る合間の空き時間に眺めるといつも何か新しい知識が得られたり発見があったりして楽しいものです。

一家に一枚、しかもできたら一家のトイレに一枚周期表が好適であると私は思います。

genom文部科学省は一家に一枚周期表以外にも、これまで一家に一枚ヒトゲノムマップというポスターも製作・配布をしてきました。人間の遺伝子がついに解読されたということがいかに凄いことなのか、そして化学とも切っても切れない重要な話であることは、先日の私のブログ「桜の開花と結晶成長、みんなの四苦八苦」でも紹介いたしました。

cosmosそして今年は文部科学省により一家に一枚宇宙図が製作・配布されます。

化学を勉強している皆様にとっても、周期表の元素は、いつ、どこで、どのように合成されていまここにあるのか、それを実感するためにもこの一家に一枚宇宙図はとても素晴らしいポスターです。

再来週の月曜日から始まる私の担当講義「無機化学III」では、一家に一枚周期表」、「一家に一枚ヒトゲノムマップ」、「一家に一枚宇宙図」、いずれも受講者に贈呈いたします。もちろんその理由は、講義内容に直接関わる重要な内容が、これら3枚のポスターに濃密にまとめられているからです。楽しみながらもその奥深く広範な内容を概観・俯瞰し、自然科学全体の中での化学(特に無機化学)の位置、意義を理解・実感していただければと思っております。

理科(自然科学)は数学、化学、生物、物理、地学と分類がなされています。

例えば大学の理学部に入ってきた方々は、そのどれかの科目を特に好きになって、もっと深く勉強しようと思って入学されてきたと思います。

理科(自然科学)という学問の対象とするものは「自然」であり、一人の人間が相手にするにはあまりに巨大な対象です。そして人類が得た自然科学の膨大な知識は、人類の歴史と共に増加の一歩を辿っています。

新しく分かった情報を追加していくだけでは年々教科書もどんどん分厚くなっていきそうなものですが、大学の講義時間内に扱える量には限りがありますので、結局は丁寧な説明が割愛されたり、もう過去の分かっていることは省略されたり、といった過程で教科書の厚さは維持されているように思います。

ゆえに私は、古い時代の専門書(古書)を丁寧に読むことがとても好きです。このあたりの話については最近の私のブログ「寒の戻りと勘の戻り、現代の情報化社会と古き良き時代の書、人類としての勘」に書きましたのでご参照下さい。

理学部に入学した方は、特定の分野(化学科なら化学)の勉強に邁進することになります。そしてそのうち、特定の分野の中でもさらに細かい特定の分野(例えば私の場合は無機化学・錯体化学)を選択し、研究室に配属になって研究生活に入ることになります(いわゆる卒業研究です)。

大学院に進学した場合は、修士課程(通常2年間)、博士課程(通常3年間)とさらに研究生活を続けていくとになり、奥深くされど針の先のように狭い専門分野に突き進んで、その分野の最先端に辿り着くことができることでしょう。

理学部の大きな特徴は、「自然科学」を相手に「真摯に真理を探究」する学部だということです。理科が好きで、理科について人類の到達した最先端のところまで勉強して、さらにその先を研究してみたい、といった人が切磋琢磨して学ぶ場というのが理学部です。

しかしそうはいっても人類の把握する「自然科学」の広さは年々拡大深化し、一人の人間が全体を把握できるものではありません。

実際には大学の学部4年間程度の時間で最先端にたどり着けるのは、広い広い「自然科学」の分野の、針先で点を突くような狭い分野でしかないかもしれません。

たとえるなら世界中に人類が築き上げた自然科学の山は沢山あるけれども、4年間という短い時間ではその山の内のせいぜい一つの山頂にたどり着けるぐらいが精一杯、だけれども一つでも山の山頂までたどり着いてみると自然科学全体の様子が初めて俯瞰できる(見渡せる)のだよ、といったところです。

理科は好きだけれども職業とは直接結びつかないから、といった理由で医学系、薬学系、教育学部系など、資格職業と直結する学部を選択される方も多いとは思いますが、「広い広い自然科学の分野の中で、どれか一つでも最先端、山頂まで自分の足で歩いて登ってみる」という経験は、理学部ならでは体験できる経験だと思います。

そしてその経験は、将来どんな分野のどんな職業に就こうとも、自然科学に対しての接し方(山の登り方)を身につけた人材として、活躍していけると私は思っております。

例えば政治家、日本では多くの方が文化系分野出身者だと思いますが、私などは是非理学部の出身者にも政治家になって欲しいと思っています。例えば現在深刻化している地球温暖化、海面変動、異常気象の問題など、理学部での経験を持った人材でないと、正しい判断などできないと考えるからです。

理学部の学生さんにはどれか一つでもいいから、自分で面白そうと思える山に登って山頂まで登ってみて欲しい、その登り方を身につけて欲しい、私はそう思っています。

しかしその登り切った山からは、是非、広い自然科学の世界を見渡して欲しいのです。登ったことだけに満足せず、実際には広い広い自然科学全体を見渡して、俯瞰して、その大きさ・広さを感じて欲しいし、その裏返しに地球という存在、一人の人間という存在の大きさと位置を実感して欲しいのです。

理学部化学科では「化学」を学びますが、それは広い自然科学の中で、どのような守備範囲の学問なのか、他の分野とはどう関わっているのか、化学科の学生さんには掴んでいただきたいと思っております。

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というわけで、自然科学全体を俯瞰しようという時、一家に一枚周期表」、「一家に一枚ヒトゲノムマップ」、「一家に一枚宇宙図」、この3枚は是非いつも(トイレででもよいので)眺めていただきたいポスターだと思っております。



tgs0001 at 00:40│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 自然科学 | 教育

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