2007年04月18日

パソコンで見る動く分子事典の分子をそのままパソコンで分子軌道計算5

benzenenitrogen泉富士夫先生の掲示板で紹介されている泉先生が作成された「DV-Xα法計算支援環境」、私はテストユーザの一人として日々の教育・研究活動にすでに活用しています。

このDV-Xα法計算支援環境の便利さ、快適さ、素晴らしさは、実際に使ってみられた方でないと実感はできないかとは思いますが、相当なものです。感動的な使いやすさです。

これまで、Windowsのコマンドプロンプト画面を起動して、MS-DOSコマンドを使ってDV-Xα法の計算を行ってきた方がこのDV-Xα法計算支援環境を使ってみられたら、きっとあまりの使い勝手の良さに、開いた口が塞がらないほど驚きと共に感動されることと思います。

もちろん、DV-Xα法を使ったことのない方にとってもDV-Xα法計算支援環境は実に懇切丁寧な使いやすい環境です。MS-DOSの各種コマンド類の名称や使い方(DIR, MD, RD, CD, COPY, MOVE, RENAME, TYPE, MOREなど)を覚える必要もありませんし、DV-Xα法の数多くの覚えにくい各種プログラムの名称(MAKEF05, DVSCAT, MAKEL04, LVLSHM, DVPLOT, BNDODR, NETC, POPANL, POPANLS, LVLBNDS, BASEF, MAKED04, DOS, CONTRD, ATKIST, BLLISTなどなど)を覚える必要もありません。さらにそれぞれの各種プログラム名で予め準備する必要のある入力ファイルも自動的に準備されますので、その入力ファイルの名称(F01, F05, L04, L05, D04, D05, X04, X05, B05, LB4S, LB5S, C04Dなどなど)を覚えておく必要もありません。入力ファイルのいじり方については、hajimete市販の黄色い書籍:はじめての電子状態計算―DV‐Xα分子軌道計算への入門を見れば丁寧に説明が書いてあります。さらにそれぞれの各種プログラムを実行した後、人間が見るべきファイルは自動的にタブエディタでopenされて見ることができますので、様々なプログラムを実行した後の出力ファイルの名称(F01, F05, F26, F36, F06Z, F08E, F08P, L07, I08, BN8, D07, D07S, X07, X07Sなどなど)を覚える必要もなくなったのです。

いやはや、なんと心地よいのでしょう!

私自身、このDV-Xα法計算支援環境をはじめて使い出したとき、久々に心打たれる感動を味わいました。古くさいMS-DOSのイメージが見事なまでに払拭され、春の小川の川面に浮かぶ桜の花びらの如く、滑らかに計算が進んでいくのです。いやはやまさかこれほどのものとは、想定外の感動でした。

マウスでボタンを押していく、あるいは実行するマクロをプルダウンメニューで選択するだけで、必要なファイルを読み込んでプログラムが実行され、人間が見るべきファイルがタブエディタで表示される・・・。確かに些細なことかもしれません。当たり前のことを当たり前のようにこなす環境、だけどその当たり前の環境が今までは無かったのです。

このDV-Xα法計算支援環境、元々がエディタというところがミソです。編集する必要のあるファイルはいつでも編集ができるのです。しかも狭い画面でも同時に多数のファイルを取り扱えるタブエディタです。

何とも素晴らしく合理的で快適な環境です。

使われているタブエディタ秀丸エディタはシェアウェアですので、これだけは別途ご入手(ご送金)いただく必要があります。しかし、金銭的に難儀をしている学生さんの場合は、このページから申請することにより、送金無しで秀丸エディタをご利用頂ける制度があるそうです。

DV-Xα法の熟練ユーザにとっても、初心者にとっても、共に使いやすい設計、まさにユニバーサルデザインDV-Xα計算環境といっても過言ではないでしょう。ちなみに私の愛車は、TOYOTAがユニバーサルデザインという考え方で設計した自動車「ラウム」です。この「ラウム」も、相当に使い勝手の良い自動車です。ある特定の人を対象とせず、誰にとっても、痒いところに手が届くように、あるべき所に、あるべきものが、あるべき姿で、あってくれる、そんな設計思想こそがユニバーサルデザインです。

三次元可視化システムVENUSの構成プログラムの一つである次世代・統合3D可視化システムVESTAと一緒にこのDV-Xα法計算支援環境を使うと、とにかく座標データさえあれば、ボタンを押していくだけで、すぐにDV-Xα法による高精度な分子軌道計算を行うことができ、VESTAで分子軌道の形状を眺めたり、静電ポテンシャルマップを三次元可視化して電子の僅かな偏り具合を見たりできるのです。

Inorganic Chemistry with CDROM (3RD ed.)

パソコンで見る動く分子事典―デジタル3D分子データ集の決定版

例えばこういった書籍に添付されているCD-ROMには、有名どころの有機・無機分子の座標(*.mol)がてんこ盛りに入っております。

こうした座標ファイル(*.mol)を泉先生が作成された「DV-Xα法計算支援環境」で読み込み、あとは順番に並んでいるボタンを押していくだけで、DV-Xα法により高精度な分子軌道計算が行われ、各分子軌道のエネルギー準位、各分子軌道の構成原子軌道の割合、結合次数、ネットチャージなどの基本データはもとより、全分子軌道をVESTAにより三次元可視化でき、また静電ポテンシャルマップも簡単に描いて、電子の僅かな偏りを美しく三次元可視化できます。

この泉先生が作成された「DV-Xα法計算支援環境」、現在ではこれらの講演会・講習会の参加者に配布される予定になっております。

もちろん、DV-Xα法計算支援環境をお使いになられる場合は、DV-Xα法プログラム一式が添付CD-ROMとして納められている下記書籍

hajimeteはじめての電子状態計算―DV‐Xα分子軌道計算への入門

は別途、ご入手いただく必要があります。

粉末X線構造解析や単結晶X線構造解析で原子座標が決まっているならば、この「DV-Xα法計算支援環境」を使って、いとも簡単にDV-Xα法を使って高精度な電子状態計算ができます。CIFを読み込んで、あとはボタンを押していくだけです。

岡山理科大学理学部化学科の柴原研究室では、単結晶X線構造解析によってクラスター錯体の原子座標を決定した後は、DV-Xα法計算支援環境を使ってすぐに電子状態計算を行い、HOMOやLUMOの形状、結合性分子軌道と反結合性分子軌道の分布、化学結合状態や電子の僅かな偏りなどの議論を行っています。

粉末や微結晶にX線を照射した場合、物質中の電子によってX線が反射(回折)するという現象が起こります。X線回折という実験は、この現象を利用して、粉末や微結晶におけるミクロサイズでの電子密度分布を測定・決定していることになります。

しかし、そうして実験的に決定した電子密度分布情報だけでは、原子の種類と原子の座標は決定できても、どの電子がどの原子のどの原子軌道の電子なのか、この原子とこの原子の結合に使われている電子の数はどれぐらいなのか、電子は僅かにどこに偏って分布しているのか、などの議論はなかなかできません。

波動関数を自乗したものが電子の存在確率、内殻から電子の数の分だけそれを足していけば電子密度になります。

逆に電子密度の情報からは、元の波動関数の情報(位相の情報)は分かりません。波動関数の位相がプラスであろうと、マイナスであろうと、自乗してしまえばプラスの電子密度になってしまいます。

実験的に求めた電子密度の情報からだけでは、そもそもその電子密度がどのような原子のどのような原子基底関数の集積から成っているのか、HOMOやLUMOがどんな形をしているのか、それが結合性の分子軌道なのか、反結合性の分子軌道なのか、分子軌道に関する情報は分からないのです。

せっかくX線回折という実験で電子密度分布を測定し、原子の種類と原子の座標を決定したのであれば、そのままDV-Xα法計算支援環境で、量子化学に基づいた分子軌道計算を行ってみることをお勧めします。

CIF(*.cif)さえ用意できているならば、DV-Xα法計算支援環境でそれをopenし、あとは作業の順序に予め配置されているボタンを押していくだけで、驚くほど沢山の知見が得られます。そして様々な実験(例えば電子スペクトル、X線光電子スペクトルなど)から得られた物性の帰属(理解)にも役立つことでしょう。

nitrogenbenzene小分子の例として、窒素(N2)分子およびベンゼン(C6H6)分子DV-Xα法によって電子状態を計算し、VESTAでHOMO, LUMO, 静電ポテンシャルマップを三次元可視化した画像(VESTAで出力したJPEG画像をつなげてアニメーション化したもの)を作成しましたのでご覧下さい(←クリックしてください)。

 



tgs0001 at 14:17│Comments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 分子軌道 | 教育

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1. [分子の形][科学とアート]久々のHOMO・LUMO計算  [ こども省 ]   2007年07月10日 21:11
今日,拙著(共著)「動く分子事典」付録CDの掲載分子データを出発座標にして,いろいろな分子計算をしてくれている以下のブログを偶然発見したので記事例とともに紹介させていただく。 坂根弦太のDV-Xα&VENUS日誌 パソコンで見る動く分子事典の分子をそのままパソコンで

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