DV-Xα分子軌道計算講習会のご案内Auto-eduDVで計算できる原子・分子・イオンの紹介

2013年10月18日

メニューから原子、分子、イオンを選ぶだけで覗ける量子化学の世界

Auto-eduDV


教育用分子軌道計算システムeduDVに、新機能「Auto-eduDV」を追加しました。

以下のURLからダウンロードできます。

1.泉富士夫先生の粉末回折情報館より、DV-Xa.zip (2013/10/17; 835 KB)

2.坂根弦太の楽しい電子状態計算より、eduDV.zip (2013/10/16; 10.4 MB)

この二つの圧縮ファイルをダウンロード、解凍して、c:\dvxaの下にMacros, data, execなどのディレクトリ(フォルダ)を(中身のファイルごと)上書き保存すれば、アップデート作業は完了です。

新規に、Windowsパソコン(Windows 8, 7, vista, XP)に「DV-Xα法計算支援環境」を構築する方法については、こちら(DV-Xα法計算支援環境を構築するためのリンク集)をご参照ください。

使い方は、以下の通りです。

1.秀丸エディタを起動

2.eduDVボタンをクリック

3."00. Automatic【データ自動入力】..."を選択、計算したい原子、分子、イオンを選ぶ

4.VESTAボタンをクリック

あとはVESTAの世界で、分子の形をBall-and-stickで確認し、Edit-Edit Data-Volumetric Data...で三次元可視化したい波動関数を等値表面図で描き、静電ポテンシャルも可視化できます。

すなわち、DV-Xαについては何の知識も要求されず、DV-Xα法の操作については、意識する必要がありません。

秀丸エディタ上のDV-Xα法計算支援環境で、ただ原子、分子、イオンを選ぶだけで、あとはもうVESTAの世界です。

VESTAの操作にはある程度慣れていて、原子軌道、分子軌道の世界を気楽に覗いてみたいという方には好適です。

もちろん、Auto-eduDVのメニューにない原子、分子、イオンは計算できません。その場合は、従来と同様のeduDVが利用できますし、従来と同様のDV-Xα法計算支援環境が使えます。

DV-Xα法計算支援環境利用の手引きのeduDVの章に掲載してあるデータ(原子番号、原子間距離、原子間角度、酸化数など)は、今回の改定ですべてeduDV(Auto-eduDV)に内蔵させました。

eduDV実行時、もう「DV-Xα法計算支援環境利用の手引き」を参照する必要はなくなったのです(授業や実習の際は、効果的な時間節約になるので、教員側としては進行が楽になりました)。

今回のAuto-eduDVは、私(坂根)自身が、教育現場でとても使いやすいと、かなり強い好感を持っています。

・DV-Xα法に敷居を感じている方

・eduDVの仕組み(何を入力すればよいのかなど)を理解することに敷居を感じている方

・コマンドプロンプト操作が苦手な方

・eduDVで入力する原子間距離や角度のデータを調べるのが面倒な方

・タブレット端末(Windows 8)でタッチパネルでのタップだけで操作したい方

・普通のWindowsパソコンでも、なるべくマウス操作だけですべてを済ませたい方

など、今回のAuto-eduDV機能は感じている敷居を軽々と乗り越え、思っている欲求を十二分に満足させてくれます。

ユーザーの(情報リテラシーや量子化学に関する)知識、経験、バックグラウンドなどに関係なく、いつでも、どこでも、誰でも、同じように操作できる「ユニバーサルデザイン」の教育システムであると考えています。

例えば講義や講習会では、まず最初にVESTAの使い方の説明をしたい場合、あるいは短時間で要領よく分子軌道を三次元可視化したい場合、このAuto-eduDV機能は重宝しそうです。

今回公開した「Auto-eduDV」は、「VESTAの(量子化学的な)入力データ作成システム」である、という見方もできます。

量子化学、DV-Xα法などに縁遠く、敷居を感じている方にとっても、今回の「Auto-eduDV」なら、メニューから化学の教科書に載っているような有名な分子やイオンを選ぶだけで、あとは何から何まで全自動でやってくれて、ユーザーはVESTAさえ操作できれば良いことになります。

Auto-eduDVに現在登録されている「モデル」は、

1.単原子(ノンスピン版のみ)        94種類

2.単原子イオン(ノンスピン版のみ) 248種類

3.分子またはイオン(ノンスピン版) 137種類

4.分子またはイオン(スピン版)   137種類

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

              合 計  616種類

です。

これだけあれば、たいていの授業・演習・講習会などに対応できます。

原子間距離、角度は、ほとんどが「化学便覧 基礎編 改定5版(丸善)」に掲載されている値です。

一部の分子、錯体(イオン)は、Cambridge Crystallographic Data Centreのデータベースより、十分にR値が下がっていて、対称性が乱れていない(なるべく新しい年代の論文の)単結晶のCIFを読み取って、原子間角度・距離をAuto-eduDVに登録しました。

CIFを使用した場合の引用論文は、「楽しい電子状態計算」のウェブページに掲載してあります。

例えば、



などです。

今後も、教科書に出てくるような有名な分子、錯体について、化学便覧に構造データがない場合は、CCDCのCIFからデータを調べ、Auto-eduDVに登録していこうと思っております。

このように、分子や錯体の構造データをAuto-eduDVでライブラリ化して、いつでもどこでも誰でも、DV-Xα法で計算し、VESTAで三次元可視化する方法については、いろいろな化学分野で重宝する可能性があります。

それぞれの分野で蓄積されている「結晶学的な構造データ」をライブラリとしてAuto-eduDVで整理、データを内蔵させおき、必要な時にDV-Xα計算を実行できる仕組みです。すなわち、結晶学的な構造データのデータベースから、量子化学的な電子状態のデータベースを構築できることになります。

11月2日に神戸で開催されるDV-Xα分子軌道計算講習会のアドバンスコースA(午後の演習:坂根担当)でも、Auto-eduDVを使って、VESTA 3 の講習を最初に行う予定です。

VESTA 3 に十分慣れていただいてから、DV-Xα法計算支援環境の解説をしていこうと思っております。

アドバンスコースA(午後の演習)では、最新版のAuto-eduDVを含めて、参加者にご持参いただいたWindowsノートパソコンに、必要なプログラムをインストールして環境を構築するところから始めます(必要なプログラムは、USBメモリに格納して、参加者に(USBメモリごと)進呈します)。

さらに、Auto-eduDVについての説明も掲載した最新版の「DV-Xα法計算支援環境利用の手引き」をカラー両面印刷・製本した冊子を配付する予定です。 

参加申し込みは10月30日まで受け付けておりますので、ご興味をお持ちの方はご参加をご検討ください。

Auto-eduDVに登録されているモデルは前述のとおり616種類。

例えば折れ線型AB2型分子が計算できるc2v12シリーズ(C2v対称)では、以下のような分子が登録されています。


Auto-eduDV2


このプルダウンメニューから、例えば「オゾンO3」を選べば、全自動でオゾンの分子軌道計算がDV-Xα法で実行され、すぐにVESTAでオゾン分子のHOMOやLUMO、静電ポテンシャルマップなどを三次元可視化できます。


Auto-eduDV3


D6h対称のA6B6型分子が計算できるd6h66シリーズ(ノンスピン版)では、ベンゼン分子、ヘキサフルオロベンゼン分子、ヘキサクロロベンゼン分子、ヘキサブロモベンゼン分子、ヘキサヨードベンゼン分子を選べます。

Auto-eduDVが内蔵している原子番号、原子間距離の情報をもとに、完全にD6h対称になっている座標が自動作成され、D6hの対称軌道が適用され、DV-Xαのセルフコンシステントな繰り返し計算が行われ、やがて収束に至り、その後、様々なDV-Xα関連プログラム(ユーティリティプログラム)が全自動で実行され、秀丸エディタのタブで、一番表にf01が表示されます。

ユーザーは秀丸エディタのDV-Xα法計算支援環境のVESTAボタンを押すだけで、計算モデルの形状の確認、分子軌道の等値表面表示、静電ポテンシャルマップ表示などをVESTAで楽しめます。


BF3


平面正三角AB3型分子が計算できるd3h13シリーズ(D3h対称)では、三フッ化ホウ素分子、三塩化ホウ素分子、三臭化ホウ素分子、三ヨウ化ホウ素分子が選べます。


Auto-eduDV4


平面正方形[AB4]n- 型イオン(錯イオン)が計算できるd4h14シリーズ(D4h対称)では、テトラクロロ白金(II)酸イオン(テトラクロリド白金(II)酸イオン)、テトラクロロパラジウム(II)酸イオン(テトラクロリドパラジウム(II)酸イオン)、テトラクロロ金(III)酸イオン(テトラクロリド金(III)酸イオン)が選べます。


Auto-eduDV1


6配位正八面体型イオン(錯イオン)が計算できるml6シリーズでは、ヘキサフルオロクロム(III)酸イオン(ヘキサフルオリドクロム(III)酸イオン)、ヘキサクロロクロム(III)酸イオン(ヘキサクロリドクロム(III)酸イオン)、ヘキサブロモクロム(III)酸イオン(ヘキサブロミドクロム(III)酸イオン)、ヘキサヨードクロム(III)酸イオン(ヘキサヨージドクロム(III)酸イオン)が計算できます。これらの錯体のHOMO(t2g軌道)とLUMO(eg軌道)の間隔(ギャップ = Δo = 10Dq)を比較すれば(F08E.hlgapというファイルにΔoは出力されています)、槌田龍太郎の分光化学系列〜配位子編〜の学習に好適です。


Auto-eduDV5


一連のヘキサアクア錯体、水分子を点と考えれば6配位正八面体型ですが、DV-Xα法では配位水の水分子の水素原子まできちんと計算しますので、D2h対称です。このmh2o6シリーズには、14種類のアクア錯体が登録されています。槌田龍太郎の分光化学系列〜金属イオン編〜の学習に好適です。


Auto-eduDV6


三角錐AB3型分子が計算できるc3v13シリーズ(C3v対称)、アンモニア分子、ホスフィン分子、アルシン分子、スチビン分子など、様々な分子を計算できます。


Auto-eduDV7


正四面体AB4型分子が計算できるtd14シリーズ(Td対称)、メタン分子、四塩化炭素分子、シラン分子、スタンナン分子など、様々な分子を計算できます。


Auto-eduDV8


単原子・・・


Auto-eduDV9


単原子イオン・・・


Auto-eduDV10
 
 
などなど、選んでVESTAで楽しめます。

是非、一度お試しください(さらに他の例は、本ブログの2013年10月21日の記事「Auto-eduDVで計算できる原子・分子・イオンの紹介」をご参照ください)。

秀丸エディタのみシェアウェアですが、その他のプログラムはすべて無償でダウンロードできます(使用許諾条件等はそれぞれのウェブサイトの指示に従ってください)。 

「Auto-eduDV」については、泉富士夫先生の粉末回折情報館(新着情報)、DV-Xα法に関するブログにも情報があります。 


tgs0001 at 13:49│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 分子軌道 | 量子化学

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