食品
2013年06月06日
ブドウ糖分子とエタノール分子

左のポストカード(クリスマスカード)の主役はブドウ糖分子です。ブドウ糖がリースになっています。
右のポストカード(クリスマスカード)の主役は(サンタクロースと)エタノール分子(配役:トナカイ)です。
ブドウ糖は実験室ではよく、還元剤として使われます。エタノールは溶媒ですね。
一方家庭においては、ブドウ糖もエタノールも、私たちにとっては身近な「食材」です。
その分子の姿は、こんなにも楽しそうな姿をしている・・・、自分が原子・分子のサイズになった夢の中に出てきそうです。
これらのクリスマスカードは、仮説社の通信販売でも購入できますし、以下の楽天サイトからも購入できます。

ユカコさんの「分子模型ポストカード〈エチルアルコール・クリスマスカード〉」
2007年05月10日
どろめにめろめろ
岡山の郷土料理 - livedoor Blog 共通テーマ岡山も含め、瀬戸内海地方ではこの季節、「どろめ」がスーパーマーケットの魚売り場に並びます。
この「どろめ」、私は先日紹介した「べらた」に勝るとも劣らぬほど大好きです。
「べらた」は透き通る透明感、細長くてぬめりがあって滑らか、咬むと甘い食感でのど越し爽やかなのに対して、「どろめ」は不透明で白濁、長さも短く細くて脆く、口の中に入れて咬むと少し苦味があって、ざらっとした食感、「べらた」とは実に対照的です。
地球の地殻の主成分である珪素の酸化物に喩えるなら、「べらた」は美しい石英(quartz), SiO2(二酸化珪素)の完璧なる単結晶である「水晶(rock crystal)」のような崇高さ、気高さを感じさせますが、「どろめ」は水ガラス(water glass)(珪酸ナトリウム水溶液)のようにどろっとアルカリ性で苦味があって、べたべたな庶民派といった雰囲気を感じさせます。水ガラスは塩酸を加えてゲル化した後に乾燥させれば乾燥剤のシリカゲルになりますが、「どろめ」も乾燥させると、ある身近な食材になるところまでそっくりです(詳細は後述)。
しかしこの「どろめ」、食べだしたら一口一口にけっこうインパクトがあって、忘れられない病み付きになります。値段も結構高いので、スーパーで一パック購入しても一口分ぐらいしかないのですが、「うぅ〜どろめを丼(どんぶり)いっぱい一気喰いしたい〜」と心の中で欲求がわきあがってくるような魅力があるのです。
実は「どろめ」って、鰯(いわし)、具体的にはマイワシ(sardinops melanostictus)、ウルメイワシ(round herring)、カタクチイワシ(anchovy)などの稚魚なんです。
生でそのまま食べるんですよ。ポン酢で食べるのもいいですが、何と言っても生醤油をちょっと垂らして食べるのが最高です。
いわば「生しらす」「生チリメンジャコ」といったところでしょうか、この「どろめ」を乾燥させたものが「しらす(dried young sardine)」「チリメンジャコ(boiled and dried baby sardines)」です。イワシの稚魚は餌を求めて河口沿岸にやってきます。このイワシが食べるプランクトンが、「どろめ」を食べたときに感じるほのかな苦味の原因ではないかと私は思っています。
いやぁ〜可哀想に、こんなに集団で私の胃袋に収まってしまうなんて、立派な鰯にまで成長させてから、塩焼きにしたり刺身にしたりして食べたら凄い量になるのになぁ、もったいないなぁ〜、などと毎回同じ事を考えながら、私は「どろめ」に舌鼓を打ちます。ポンポンポン
瀬戸内地方に4月下旬〜5月上旬にお越しの際には、是非「どろめ」をご賞味下さい。
味には少々クセがあり、ちょっとじゃりっとした食感で泥を食べているかの如く美味しく食べられます。咬むと少し苦い味が感じられ、歯ごたえはそれほど強くありません。もちろんお酒の肴としては最高でしょうが、お酒が無くても十分楽しめる味ですよ。
知らない人がみたら、何これ?!と思う「どろめ」、この「どろめ」を毎年食べられるというだけでも、瀬戸内海地方に住み続ける価値はあると、案外私は本気でそう考えています。愛媛県、高知県などでもこの「どろめ」は人気の食材のようですね。岡山でも「どろめ」ファンは多いと思います。
ところで私、休日には時々下津井に行きます。大学院生時代には、院生仲間と下津井港まで海釣りに行ったこともありました。ちょうど瀬戸大橋の岡山側の起点が下津井です。とても静かで味わい深い良い雰囲気の漁村です。
何をしに下津井に行くのかって?
それはもちろん、下津井名物の「たこ」を食べに行くためです。
岡山では「たこ」と言えば、生で食べるのが普通です。
生で食べる新鮮なたこの刺身の美味さといったら、もう筆舌に尽くしがたい、表現の仕様もない絶品です。
吸盤部分はコリコリ、コリコリ、お肉の部分は歯ごたえがあって甘くてトロリ、全国に流通している「ゆでだこ」とは別の食材かと思ってしまうほど、生で食べる「たこ」の食感は最高です。たまり醤油につけて食べるのが美味いですね。
このたこの刺身の方は、「べらた」や「どろめ」に比べれば、長い期間スーパーに並んでいますので、「べらた」や「どろめ」ほど季節を感じさせるわけではないのですが、「べらた」や「どろめ」が実に少量で高価なのに対して、思いっきりたくさん食べられるところが魅力といえば魅力です。
その他岡山では、一年を通して新鮮で美味な様々な魚介類を気軽に入手、食べるとこができます。子供時代は父親に連れられて毎週のように東京湾のあちらこちらで海釣りをしておりましたが、その時代に比べれば岡山での生活は夢のようです。
東京湾で釣り上げる魚介類(シロギス、カレイ、ハゼ、アナゴ、シャコ、サッパ(岡山でいうママカリ)、鰯に鯵に鯖にサヨリ等々)、苦労して釣り上げてそれはそれで美味しかったですけど、釣り場に行くまでの交通費、つりえさ代、沖合いの堤防までの渡船代、帰りの交通費、ウン万円かけて大した漁獲量ではなかったですから、それに比べれば岡山のスーパーマーケットで手に入る新鮮で美味で安価で豊富な種類の魚介類、私にとっては天国です。
私はどちらかというと、牛肉、豚肉、鶏肉よりは魚介類が好きです(牛丼や豚のしょうが焼きや焼き鳥も好きですけど)。
英国滞在時代はそういった意味では苦難の日々でした。新鮮な魚介類など、入手することは不可能でしたから・・・。まぁ揚げたてのときだけはまぁまぁ美味しいコッド(cod)やハドック(haddock, 一種のたら)の唐揚げに、もういらんっちゅーぐらいの芋(chips, 米語で言うwedged potato, くさび型のジャガイモの油揚げ)を一緒くたにした「フィッシュ&チップス」、漁村で売っているウナギのぶつ切りを塩水で茹でただけのウナギの塩水煮(salted eel)などは、まぁ食べられるほうでしたが、基本的に、牛肉、豚肉中心の食文化の国ですから、私は苦労しました(おかげで日本では、生涯献血のできない身体になってしまいました。狂牛病発生期に1年間も英国に住んでいましたので。)。
英国のスーパーマーケット(たとえばセインズベリー(SAINSBURY))で手に入る、まぁまともな生魚といえば、レインボートラウト(虹鱒)かレッドティラピアぐらいのものでした。レッドティラピア、日本流に料理すれば相当に美味でしたよ。雑食性で成長が極めて早く、淡水でも海水でも養殖が容易にできる丈夫な魚だそうで、将来日本が食糧危機になったら、このティラピアの養殖というのも一案でしょうね。私のレッドティラピアの料理レシピを公開しておりますのでご覧ください。ついでにレインボートラウトの料理レシピも公開しております。
このティラピア、漢字では“仁魚”と書きます。これは今上天皇陛下が皇太子時代にタイを訪れたときにタイでのタンパク源不足を聞いて50匹のティラピアを同国に贈ったことがその名の由来だそうです(陛下のお名前“明仁”の“仁”をとって“仁魚”)。その後同国ではティラピアの養殖に成功し、広く国民に親しまれるタンパク源として普及したとのことです。このティラピア、現在でもタイ国内でさかんに養殖されており、現在ではタイだけではなく、東南アジア各国で食べられているようです。1973年にタイ王国(Kingdom of Thailand)からバングラデシュ人民共和国(People's Republic of Bangladesh)への食料支援としてティラピア50万尾が贈られたという話も聞いたことがあります。
日本でも養殖して食べましょうよ、見た目は少々グロテスクかもしれませんけど、ホント美味しい魚なんですから。味は私(坂根)が保証します。ただしこのティラピア、薄味でみりんと美味しい醤油でコトコト煮る料理法が好適だと思いますよ。
同じ料理法で美味しい魚といえば、秋田の名産の「はたはた」ですね。身離れが良くて薄味で甘辛く煮ると最高の美味です。私が幼児時代など、ほとんどタンパク源は「はたはた」から摂取していたようなものです。それぐらい毎日毎日、我が家では「はたはた」の煮付けが夕食のメニューに並びました。東京都足立区の綾瀬に居住していたその頃、商店街の魚屋さんのところに母と妹と私の三人で行くと、「へぃいらっしゃい、ハタハタの坊やっ!」といつも声をかけられたものです。
当時、ハタハタは安くて美味い魚でした。一般的には卵の入ったメスが人気だったようです。しかし我が家では何と言っても「オスの白子」が好きで好きで、魚屋さんが見事にオスの「はたはた」を選り分けて売ってくれたものです。しかも値段も、オスの方が安いんですよ。
そんな風に、主に「タンパク源は魚類!」という家で育った私、岡山理科大学の学生だった時代など、私は旭川のすぐそばの下宿に住んでいたのですが、毎日のように旭川で、クチボソ、タナゴ、カワムツなどを釣り上げてきて、下宿で唐揚げにして食べていました。旭川の魚は寄生虫が多いですから少々危険なのですけど、頭部、内臓、鱗もしっかりと除去し、カリカリになるまで唐揚げにしてましたから、まぁ大丈夫だったのでしょう。
学生時代に私の下宿は、天文部仲間(先輩、同輩、後輩)のたまり場と化していた時期もあり、鍋だのカレーだのを大鍋で作って皆で食べておりましたが、あるとき、前述の「旭川のクチボソやタナゴの唐揚げ」を私は来客者に振舞ったことがあります。「ワカサギ(hypomesus pretiosus japonicus)の唐揚げだよ!」と嘘をつきながら・・・これぞほんまに“ワカ詐欺の唐揚げ”。
あれからウン十年、皆さん元気で生活されているようですから、きっとあのときの唐揚げは大丈夫だったのでしょう。皆さん胃腸は丈夫そうでしたし・・・。だいたい私自身、毎日のように食べていたのですから。私にとっては若き貧しかりき時代のソウルフードです。
2007年04月21日
べらたを食べたら
岡山の郷土料理 - livedoor Blog 共通テーマ私は1986年4月に岡山理科大学に入学して以来、岡山県民歴21年目を迎えております(途中1年間だけ、英国におりましたが)。
未だ岡山弁は話すことは出来ませんが(私に語学の才能はないようです)、岡山での生活にはすっかりと馴染んでおります。
暑すぎず、寒すぎず、晴天率は日本の中でも際だって高く、台風の直撃も少なく、今のところ大きな地震も来ておらず、ちょっと県南に行けば海水浴を楽しみながら魚介類に舌鼓を打つことができ、ちょっと県北に行けばスキー場があって、キノコなどの山の幸、牧場での美味しい牛乳・チーズ・アイスクリームなどを楽しむことができます。
まるで日本の縮図のような県、いつか誰かが岡山県のことをそう称していたような記憶があります。
岡山市中心部はけっこう都会っぽい(デパートも天満屋と高島屋があり、大型書店も丸善と紀伊国屋があり、といった点)ですし、ちょっと郊外にいけばのどかな田園風景が見られます。山有り、川有り、湖有り、海も近く、海と山と畠の豊かな食材に恵まれた温暖な土地、そんな岡山での生活は私はすっかり気に入っています。
その岡山県民歴21年目(半田山山頂に滞在し続けて21年目とも言いますが)の私が、一番好きな岡山の食材、それが「べらた」です。
ちょうど年度が替わるころ、3月から4月にかけて、岡山のスーパーマーケットの魚売り場には「べらた」が並びます。
私はこの「べらた」を食べることを毎年の一番の楽しみにしています。
この小さくて細長くて無色透明の小魚、いったい何だと思いますか。
生でそのまま食べるんですよ。酢醤油に紅葉おろしもいいですが、何と言ってもからし酢味噌をつけて食べるのが最高です。
この「べらた」、全国的にもあまり食べる地域は少ないようですね。岡山県では極めて一般的に食べられていると思いますが、全国的にはあまり流通していないようです。
聞くところによると、高知県では食べられてはいるそうですが、高知県では「べらた」とは呼ばないそうですね。「のれそれ」でしたっけ、確か違う呼称で呼ばれていたと思います。
なぜ、岡山県と高知県でのみ「べらた(のれそれ)」は食べられているのか、きっと岡山や高知にはこの魚が捕れる場所(川の河口の汽水域でしょうか?)があるのでしょうか。
さて「べらた(岡山県)」=「のれそれ(高知県)」の正体、そろそろ明かすことにいたしましょう。
実は「べらた」って、穴子(マアナゴ)のレプトケファルス幼生なんです。
レプトケファルス(Leptocephalus)、鰻とか穴子などの稚魚に見られる、平たく細長く笹の葉のような形をした無色透明の幼生のことです。いわばシラスウナギ、シラスアナゴなんです。目玉以外は無色透明、「内蔵が無いぞう〜」と突っ込みたくなってしまうような不思議な生物体です。
いやぁ〜可哀想に、こんなに集団で私の胃袋に収まってしまうなんて、大きな穴子まで成長させてから穴子丼にして食べたら凄い量になるのになぁ、もったいないなぁ〜、などと毎回同じ事を考えながら、私は「べらた」に舌鼓を打ちます。ポンポンポン。
岡山に3月中旬〜4月上旬にお越しの際には、是非「べらた」をご賞味下さい。
味にはクセはなく、ちゅるちゅるっと麺の如く食べられます。咬むと甘い味がして、ほどよい歯ごたえもあります。もちろんお酒の肴としては最高でしょうが、お酒が無くても十分楽しめる味ですよ。
知らない人がみたら、何これ?!と思う「べらた」、この「べらた」を毎年食べられるというだけでも、岡山に住み続ける価値はあると、案外私は本気でそう考えています。