結晶

2018年01月31日

硫酸銅五水和物の単結晶構造解析

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青色の結晶、硫酸銅五水和物 CuSO4・5H2O の中で、銅原子と水分子と硫酸イオンの位置関係はどうなっているのでしょうか。

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青色の結晶1粒にX線を照射し、その結晶構造を解析しました。


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ピンク色の球は銅イオン(Cu2+)、赤い球は酸素原子、緑色の球は水素原子、黄色の球は硫黄原子です。

1つの銅イオンには、水分子(H2O)が4つ、平面型で結合しています。その上下には硫酸イオン(SO42-)が弱く結合しています。

そして、銅原子とは関係のない離れたところにぽつんと1つ(銅イオン1つあたり)水分子(H2O)がいます(結晶水)。

ところで、理化学辞典(第5版)の “硫酸銅” の項には、硫酸銅五水和物の構造の図が掲載されていますが、

cuso4_dic1

この図で右上の銅イオン(Cu2+)には、水分子(H2O)が5つ、硫酸イオン(SO42-)が1つ、結合していることになっています。

しかし、硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)の単結晶構造解析によれば、銅イオン(Cu2+)に結合している水分子(H2O)は4つであり、この図は間違っていると思います。

正しくは、

cuso4_dic2

赤色の箇所の水分子(H2O)は、硫酸イオン(SO42-)の間違いであろうと思います。

参照:http://www.chem.ous.ac.jp/~gsakane/cuso4.html


tgs0001 at 13:42|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2013年06月27日

ダイヤモンド型構造

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ダイヤモンド型構造の模型(モルタロウ)です。

モルタロウの分子模型は、透明感があって美しいですね!
タロウ(TALOU)は、Teaching And Learning Of Understandingの略だそうです。

モルタロウのDNAセットを昔、徹夜して組み上げたことがあります。


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ダイヤモンド型構造は、ダイヤモンド(炭素)、ケイ素、ゲルマニウム、α−スズなどの結晶で見られる構造です。

構成原子の配位数(隣の原子と結合している手の数)は4、共有結合性が強く、配位数が優先されるので、空間充填率は高くありません。

すなわちダイヤモンドは、とても硬い物質ですが、炭素原子のつまりぐあいは、金属元素の単体などにみられる六方最密充填、立方最密充填(面心立方格子)に比べると、けっこうスカスカなのです。

金属元素の単体に見られる最密充填は、常磐線のラッシュ時(私の高校時代、毎日通学で使っていた常磐線の松戸−北千住間は、信じられないほど人間の空間充填率が高い状態で、酸素不足で息が荒くなり、空気が循環しないので汗ばみ、湿度が高まり、最悪の環境でした)のように、もう体と体がビッタリとくっつきあって詰まっている様に譬えられます。

一方、ダイヤモンドにおける炭素原子の詰まり方は、炭素原子同士が、太い腕でがっしりと手をつなぎ合って、全体としてはがっしりと硬い構造をつくっているものの、体と体は接していない状態(こちらの方が、車内の空気は美味しそうで、涼しそうです)に譬えられます。

六方最密充填、立方最密充填(面心立方格子)の空間充填率が74 %ほどであるのに対し、ダイヤモンド型構造の空間充填率は34 %ほどです(原子球と原子球が接し合うと仮定したときの計算)。


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スズ(Sn)は普通(13.2℃以上)ではβ−スズ(白色の金属)の状態で、正方晶系、配位数は6、密度は 7.3 g/cm3 ほどです(正確な値は、データ集などをご参照ください)。いわゆるスズ金属がこの状態(構造)です。

しかし低温では、別の構造に変化します。

α−スズ(灰色の半導体)で、ダイヤモンド型構造をしています。

α−スズは配位数が4、密度は 5.8 g/cm3ほどです(正確な値は、データ集などをご参照ください)。

すなわち、β−スズ(白色の金属)がα−スズ(灰色の半導体)に変化すると、密度が小さくなり、体積としては膨らみます。

金属としての性質も失われるので、膨張するとともに展性も失われて、脆くなります。

マイナス何十℃という寒い環境では、スズ金属(β−スズ)は、まずある一部分から金属光沢を失ってくすんだ灰色になり、それがやがて全体に広がって、膨張して脆くなって、崩れやすくなります。

低温下で、まるで伝染病のようにスズが脆くなっていくので、この現象はスズペストと呼ばれています。

ナポレオンに率いられたフランス軍のロシア遠征で、フランス軍兵士の服のスズ製ボタン(金属スズ、β−スズ)が、ダイヤモンド型構造(α−スズ)に変化して、脆くなって崩れて取れてしまって、寒さを凌げなくなったことが、ロシア遠征の失敗の理由の一つであると歴史書には書いてあります。

ダイヤモンド型構造は、1種類の元素が結晶を形成したときの構造の一つですが、2種類の元素がダイヤモンド型構造をとった場合(1個おきの位置に、AとBという2種類の原子が並んだ場合)、これは閃亜鉛鉱(ZnS)型構造と呼ばれます。

zinc blend(ジンクブレンド)型構造とも呼ばれます。

※硫化亜鉛(ZnS)は天然で、閃亜鉛鉱またはウルツ鉱として産出します。
 閃亜鉛鉱とウルツ鉱は、化学式は同じですが構造が違います。

モルタロウで組み立てたダイヤモンド型構造を眺めているだけで、ダイヤモンド型構造をとる様々な物質の結晶構造が想像できます。

私は夜、けっこうすき間のあるダイヤモンド構造の通路を、自分が原子サイズになって飛んでいく夢をよく見ます。


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商標:タロウ
(2006-02-20)



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