serendipity

2008年03月06日

好奇心と集中力と粘りで養い掴むセレンディピティ5

自然科学の分野では、よくセレンディピティという言葉を耳にします。自然科学では「偶然、貴重なものを発見すること、またはその能力」といった意味で使われる言葉です。

"serendipity"は、「目的以外のことで偶然得られた大発見」「思わぬものを偶然発見する能力」といった意味の語句で、18世紀にイギリス人作家Horace Walpoleによって作られた英単語です。少し大きめの辞書や百科事典にはこの"serendipity"という英単語の説明が掲載されているかと思います。英語の単語の中でも、とても幸せな意味の単語であるこの"serendipity"について、是非調べてみてください。語源となったおとぎ話は、最近日本語でも全訳が4冊出版されています。

  1. Elizabeth Jamison Hodges翻案, 真由子 V. Brechignac, 中野泰子, 中野武重共訳, Patricia De Mori画「セレンディップの三人の王子」バベル・プレス 2004年.
  2. 竹内慶夫訳「セレンディップの三人の王子たち〜ペルシアのおとぎ話から」偕成社 2006年.
  3. Elizabeth Jamison Hodges著, よしだみどり翻訳「セレンディピティ物語−幸せを招ぶ(よぶ)三人の王子」藤原書店2006年.
  4. クリストファロ・アルメーノ著, 徳橋曜監訳「原典完訳・寓話セレンディッポの三人の王子」角川学芸出版 2007年.

セレンディッポの三人の王子―原典完訳 寓話

セレンディップの三人の王子たち―ペルシアのおとぎ話 (偕成社文庫)

セレンディピティ物語―幸せを招ぶ三人の王子

セレンディッポの三人の王子―原典完訳 寓話

 自然科学の研究では、このセレンディピティにより大発見がなされてきました。偶然とは文字通り、予期できない時に突然予知できない事が起こることです。しかしいざそれが起こったとき、その偶然を認識し、思索を深めて発明や発見につなげるためには、その偶然に出会った人が旺盛な好奇心や深い認知力と洞察力などに富んでいることが不可欠なのです。そのような準備の出来ていない人の場合は、目の前でそれが起こっても、それを認識できずに見逃してしまいます。自然科学の研究は、思った通りに進行しているうちは大発見とはならないもので、思わぬことが起こったときこそが大発見となるものです。

 大学の卒業論文作成のための研究で、特に実験系の研究室では、指導教員は「セレンディピティ」が訪れる可能性のあるテーマを学生に与えてくれることが多いと思います。そもそも実験系の研究というものは、ある程度の予測はあるものの、実際にはやってみなければ分からないことが多いのです(だから"実験"するのです)。それに対して1年生、2年生などで受講する学生実験は、いわば答えの決まっている(分かっている)実験で、「セレンディピティ」が訪れる可能性のあるテーマではありません。

 岡山理科大学理学部化学科では、Mコースでは3年次から、Gコースでは4年次から、どこかの研究室に配属となり、研究現場の最前線で研究(実験)を行います。常日頃「セレンディピティ」を養っていれば、あとは運次第で幸運の「セレンディピティ」が訪れるかもしれません。教員の指示どおり着実に実験を行い、よくよく観察してしっかり記録をとって洞察するうちに、もしかすると指導教員の予測も付かない大発見が学生の目の前に訪れる可能性がないとは言えないのです。たとえば、新しい化合物の合成の研究で、狙っていたものではない思いもかけない面白い新しい化合物が合成できてしまった、ということはよくあることです。

 旺盛な好奇心を持ち、深い認知力と洞察力を養っていれば、研究室配属後の実験現場では「セレンディピティ」による大発見が訪れることを期待して実験・研究を楽しむことができます。

セレンディピティー―思いがけない発見・発明のドラマ

創造的発見と偶然―科学におけるセレンディピティー (科学のとびら)

化学者たちのセレンディピティー―ノーベル賞への道のり

セレンディピティーを知っていますか

成功者の絶対法則 セレンディピティ

幸せな「セレンディピティ」が次々におきる本―夢をかなえる“幸せ脳”のつくり方 (Serendip Heart Selection)

偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方 (角川oneテーマ21)

セレンディピティの探求―その活用と重層性思考 (角川学芸ブックス)

「幸福な偶然」(セレンディピティ)をつかまえる

セレンディピティ (DHC完全字幕シリーズ)

金属学プロムナード―セレンディピティを追って

小さな偶然が幸運に変わるハッヒ゜ーシク゛ナル

「ふと…(セレンディピティ)」の芸術工学 (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ)

楽しい薬理学―セレンディピティ

セレンディピティ・マシン 未知なる世界、発見への航海

セレンディピティ―幸運を生むタマゴ

暮らしのセレンディピティ―環境にやさしい裏ワザ (はなしシリーズ)

 巷にはセレンディピティ本が溢れかえっていることが分かりますね。セレンディピティを掴んだ人は、その幸せを他者に語りたくなる心境になる、とても良く分かります。皆様も限られた人生の時間の中で、好奇心と集中力と粘りを養い、いつか訪れるセレンディピティを逃さずに掴み取ってください。



tgs0001 at 18:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote