1:2013/07/26(金) 00:37:39.57 :Ho3E/8YN0

美希「貴音ってさ」 

貴音「はい」 

美希「凄くカッコイイよね」 

貴音「…何ですか、突然」 

美希「あは、赤くなったの」 

貴音「からかってますね?」 

美希「違うよ、本当にそう思うの」 

貴音「…ありがとうございます」 

美希「それにとっても可愛いの」 

貴音「………」 

美希「また赤くなった」 

貴音「なっていません」プイ 


2:2013/07/26(金) 00:40:52.29 :Ho3E/8YN0

美希「ねぇねぇ貴音」 

貴音「はい」 

美希「貴音ってさ、ミキ達の前でいつもシャキッってしているけど」 

貴音「そう、でしょうか?」 

美希「そうなの、で、お家でもそんな感じなの?」 

貴音「皆の前では比較的楽にしていますよ、家に居るのと同じ心持ちです」 

美希「へー、ミキはすぐへにゃ~ってなっちゃうの」 

貴音「そのような自然体が美希の良さでもありますから、良いのではないでしょうか?」 

美希「ミキね、へにゃ~ってした貴音がみたいな」 

貴音「へにゃ~、ですか」 

美希「そう、へにゃ~」 

貴音「………へにゃ~」 

美希「口で言ってるだけなの」 

貴音「難しいですね、へにゃ~」 


3:2013/07/26(金) 00:57:48.18 :Ho3E/8YN0

美希「貴音ってさ、歌も踊りも出来るし、見た目も凄く綺麗でしょ?」 

貴音「…そんな事はありません、わたくしなどまだまだ未熟な身ですよ」 

美希「やっぱり努力って言うの一杯してるの?」 

貴音「そう…ですね、はい、努力はしていますよ」 

美希「ミキ、努力苦手だな~」 

貴音「れっすんは一生懸命ではありませんか」 

美希「楽しいことは頑張れるから、かな」 

貴音「…貴女のその素直さを、時折りとても羨ましく感じます」 

美希「美希は貴音みたいな完璧な人が羨ましいなぁ」 

貴音「完璧ではありません、いつも…」 

美希「いつも?」 

貴音「…いえ、なんでもありません」 

美希「?」 


4:2013/07/26(金) 01:00:57.47 :Ho3E/8YN0

… 

貴音「…ん?」 

美希「………」 

貴音「美希?」 

美希「……z」 

貴音「ふふ、話し疲れてしまったのですね」 

美希「…zzz」 

貴音「膝を貸しましょう、少し動かしますよ?美希」 

美希「んぅ…zzz」 

貴音「…」 

美希「…zzz」 

貴音「………口に出した言葉は言霊となり、自らに影響を与えます」 

美希「…zzz」 

貴音「ですが、今、この場だけは、どうか、どうか許してください」 

美希「…zzz」 

貴音「美希、わたくしは………」 

美希「…zzz」 

貴音「貴女が………羨ましい」 


5:2013/07/26(金) 01:02:24.78 :Ho3E/8YN0

貴音「わたくしは、毎日必死の思いです」 

貴音「折れず、曲がらず、傷つかず」 

貴音「常に凛とあるべしと自らに架し」 

貴音「貴女達に対してそう振舞いますが」 

貴音「…美希?貴女は追いかけるのもやっとの存在なのです」 

貴音「本当に神々しく」 

貴音「わたくしにとって、とても眩しい存在なのです」 

貴音「わたくしは」 

貴音「…わたくし…は」 

貴音「銀色の王女などと…言われては、いますが」 

貴音「その銀は」 

貴音「とても薄く」 

貴音「とても脆い」 

貴音「銀の鍍金なのです」 


6:2013/07/26(金) 01:04:54.14 :Ho3E/8YN0

貴音「立てぬ程の修練の後、顔を見上げれば」 

貴音「涼しい顔をし、手を差し伸べる貴女が居て」 

貴音「差し伸べられた貴女の優しさを掴んだ時に」 

貴音「おぞましい感情が胸に渦巻きます」 


貴音「こうも違うのか」 


貴音「この少女は何故にこんなにも眩しいのか」 


貴音「その眩しさが、何故、わたくしには無いのか」 


貴音「なぜ、こんなにも劣等感を抱くのか」 


貴音「わたくしは、わたくしの醜悪な部分に」 

貴音「剥がれて落ちた鍍金の裏側の部分に」 

貴音「いつも、押し潰されそうです」 


7:2013/07/26(金) 01:06:20.91 :Ho3E/8YN0

貴音「美希」 

貴音「貴女は、太陽に似ています」 

貴音「貴女を中心に周りが明るく、暖かくなる」 

貴音「人、景色、心」 

貴音「そして、わたくしも…」 


貴音「ねぇ?美希」 


貴音「銀色と言うのは」 

貴音「暗闇の中では」 

貴音「黒と一緒です」 


貴音「ねぇ?美希」 


貴音「きっと、貴女が居なければ」 

貴音「わたくしは、少しも輝けない」 


貴音「ねぇ?美希」 


貴音「こんな私を…」 

貴音「こんなにも弱い私を…」 

貴音「貴女が…知ってしまったら」 

貴音「幻滅…してしまうでしょうか?」 


8:2013/07/26(金) 01:08:56.74 :Ho3E/8YN0

貴音「月の銀色の輝きはそれ一つでは成り得ません」 

貴音「月の輝きは太陽の恩恵」 

貴音「輝きの無い月に」 

貴音「見惚れる者など居ない」 

貴音「わたくしは」 

貴音「それが」 

貴音「とても」 

貴音「………とても怖いのです」 

貴音「鍍金が剥がれ落ち」 

貴音「醜い中身を晒したわたくしは」 

貴音「貴女が照らしても輝けないのでしょう」 

貴音「だから、必死で、とても必死に取り繕いますが」 

貴音「どうやら、それも、長くは続かないと」 

貴音「貴女の小さくなった背中を見て、思うのです」 


9:2013/07/26(金) 01:11:58.29 :Ho3E/8YN0

貴音「美希」 

貴音「わたくしは、こう、願います」 

貴音「ずっと、輝く存在であってください」 

貴音「貴女の輝きと暖かさは、皆に与えられる物で」 

貴音「偽者の銀鍍金を照らす物では、無いのですから」 

貴音「決して、無いのですから………」 


貴音「………」 


貴音「少し、喋り過ぎました」 

貴音「貴女の眠りの邪魔にならぬよう」 

貴音「心を絞る程度の声で囁いたつもりですが」 

貴音「もしも、邪魔をしたのであれば申し訳ありません」 

貴音「ですが、これが、わたくしの鍍金の裏です」 

貴音「本当の、わたくし、なのです」 


10:2013/07/26(金) 01:13:30.63 :Ho3E/8YN0

美希「…ん」 

貴音「………」 

美希「貴音?」 

貴音「………」 

美希「寝ているの?」 

貴音「………」 

美希「頬に…涙の痕………」 

貴音「………」 

美希「貴音?」 

貴音「………」 

美希「ミキね、知っているよ?」 

貴音「………」 

美希「貴音が本当はとても弱い女の子だって」 

貴音「………」 

美希「あと、とても頑張っているんだって」 

貴音「………」 

美希「ミキは、知っているよ」 


11:2013/07/26(金) 01:15:39.48 :Ho3E/8YN0

美希「ミキはね?貴音」 

美希「そんな貴音が大好き」 

美希「レッスンの時、誰よりもがんばっている貴音が」 

美希「ミキを見て、たまに辛い顔で微笑む貴音が」 

美希「何だろうな、とても………とても、愛おしくなるの」 

美希「普段の貴音の【殻】の隙間から見えるその貴音は」 

美希「とっても可愛くて」 

美希「とってもかっこよくて」 

美希「ミキの大好きな貴音なの」 

美希「だからね?貴音」 

美希「貴音の中の貴音を、隠さないで」 

美希「銀色の王女よりも、とても綺麗に光る貴音を」 

美希「ミキにだけ………ううん、皆に」 

美希「もっと見せて良いって」 

美希「ミキは、思うな」 


12:2013/07/26(金) 01:18:45.97 :Ho3E/8YN0

美希「えへへ、何だか、照れくさいね?」 

美希「じゃあ、寝ている貴音を起こすのは良くないから」 

美希「ミキは帰るね?」 

美希「お膝、気持ちよかったよ」 

美希「ありがと…バイバイ、貴音」 

美希「また、明日ね?」 


… 


… 


… 


貴音「美希…」 

貴音「………」 

貴音「ありがとう…ございます……」 


14:2013/07/26(金) 01:22:58.64 :Ho3E/8YN0

美希「おーい貴音ー!!」 

貴音「あ、美希、お疲れ様です」 

美希「お疲れなの~!!どう?初のソロライブは上手く行きそう?」 

貴音「首尾は上々と言った所でしょうか」 

美希「さっすが貴音なの!!」 

貴音「ですが、正直な所、少しくたびれています」 

美希「へにゃ~って感じ?」 

貴音「そうですね、へにゃ~です」 

美希「アハッ☆貴音、それ、とっても良い表情なの」 

貴音「このようなだらしない表情でも、ですか?」 

美希「うん!とってもとっても良いって、ミキ、思うな」 

貴音「………そうですね、もう少し、自分を出すと言う事も肝心ですね」 

美希「貴音は、貴音でしょ?」 

貴音「…美希」 

美希「なぁに?」 


貴音「ありがとう」 


美希「………どういたしましてなの!でも、なにが?」 

貴音「美希が解らなければ、別に良いのです」 

美希「えー!何それー!! 


15:2013/07/26(金) 01:25:40.52 :Ho3E/8YN0

わたくしの鍍金の下は。 

どのような色でどのような物であるのか。 

わたくし自身も解りません。 

ですが。 

貴女が好きと言ってくれるのであれば。 

醜いかも知れない姿でも。 

進んでいこうと。 

そう、思うのです。 


貴音「と、言う事でらぁめんを食べに行きましょう美希」 

美希「え”ー!!ミキ、スパゲティが良いー!!」 

貴音「なりません、らぁめん、です!」 

美希「むぅ…こうなると貴音は頑固なの……」 

貴音「美希のせいでもあるのですよ?」 

美希「なんで?何でなのなのー!!?」 

貴音「ふふふ、それは、とっぷしーくれっと、です」 


そう 


銀の鍍金を脱ぎ捨てて。 


16:2013/07/26(金) 01:26:32.10 :Ho3E/8YN0

終わりです。 

弱い貴音は可愛いと思うのです。 

ありがとうございました。 


元スレ
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