春香さんSSです。


2:2014/07/09(水) 00:43:13.52 :mnABnJOz0

 ………………………… ◇ ………………………… 

春香(最近はお仕事がキツキツのみっちみちで、事務所に行く暇がなかったので……) 

春香(今日はずいぶん久しぶりの事務所です!) 

春香『おっはようございま――』 

雪歩『どうぞ、プロデューサー』コト 

P『お、ありがとう』 

雪歩『どういたしまして、えへへ』 

P『……ふぅ……』 

雪歩『おつかれさまですぅ』 

P『いやあ、それほどでも』 

雪歩『お仕事、終わりそうですか?』 

P『出る時間までには終わるよ。それこそ、おしゃべりしながらでも大丈夫』 

雪歩『おしゃべり?』 

P『気晴らしにちょっと付き合ってくれよ。雪歩と喋ってると、のんびりできるんだ』 

雪歩『あ、あの、だったら、私、この間掘った穴の中で……』 

P『うん』 

春香『……』 

 ………………………… ◇ ………………………… 


春香「……」テクテク


3:2014/07/09(水) 00:45:51.38 :mnABnJOz0

 ………………………… ◇ ………………………… 

千早『この部分の歌詞の、気持ちの込め方なのですが』 

P『あー、ここね……』 

千早『……プロデューサー、お疲れですか?』 

P『え?』 

千早『今、目元を抑えていらしたので』 

P『ああ、平気平気』 

千早『……』 

P『画面ずっと見てたから、そのせいでちょっとだけ』 

千早『では、少し休憩なさってください。私、アイマスクを持っていますから、使ってください』 

P『いやでも、その歌詞の』 

千早『そんなことはあとででいいです』 

P『悪いな』 

春香『……』 

 ………………………… ◇ ………………………… 


春香「……」テクテク


4:2014/07/09(水) 00:49:03.17 :mnABnJOz0

 ………………………… ◇ ………………………… 

やよい『……』モミ 

P『……』 

やよい『……』モミ 

P『……やよい』 

やよい『……』モミ 

P『やよい、もういいよ』 

やよい『……』モミ 

P『もういいって。手疲れただろ』 

やよい『……まだ凝ってますよ』モミ 

P『そうかもしれないけど』 

やよい『プロデューサーは、いつも私たちのために頑張ってくれてるじゃないですか。だから、お返し、させてください』モミ 

P『……ありがとうな』 

春香『……』 

 ………………………… ◇ ………………………… 


春香「はあ……」テクテク


5:2014/07/09(水) 00:50:40.48 :mnABnJOz0

春香「ただいま戻りましたー……」ガチャッ 

春香「……」 

 シーン… 

春香「……」 

春香(誰もいない? でも、鍵開いてるし……) 


 カタン 

春香「!」 

春香(給湯室からだ。小鳥さんいるのかな) 

 ガチャッ 

春香「天海春香、戻りまし……」 

P「おう」 

春香「あ」


6:2014/07/09(水) 00:54:08.33 :mnABnJOz0

P「おかえり」 

春香「あ、はい……ただいま戻りました」 

P「……」 

春香「何の用意してるんですか?」 

P「紅茶」 

春香「紅茶? どうしたんですか、それ」 

P「雪歩が、たまには違う味のもので気分を変えたらどうかって、茶葉くれた」 

春香「そうですか……」 

P「いる?」 

春香「いえ……あ、いや、欲しいです」 

P「わかった」


7:2014/07/09(水) 00:56:46.24 :mnABnJOz0

P「……」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……」 

P「……沸かないな」 

春香「……」


8:2014/07/09(水) 00:57:23.22 :mnABnJOz0

春香「……」 

P「春香」 

春香「はい」 

P「今日はアレないのか」 

春香「アレ?」 

P「ないのか」 

春香「まあ、はい……」 

P「そういや今日の春香はちょっとテンション低いな」 

春香「ええと……」 

P「なんだ、楽しみにしてたのに。まあいいけど」 

春香「えっ?」 

P「どうした」 

春香「楽しみ?」 

P「ああ」


9:2014/07/09(水) 01:00:09.03 :mnABnJOz0

春香「今、休憩中ですか?」 

P「そうだよ」 

春香「せっかくの休憩時間なのに、いいんですか」 

P「そりゃあ」 

春香「え、でも、最近、プロデューサーさん疲れてるみたいだし……」 

P「まあなあ、少しは」 

春香「だったら……」 

P「だけど、疲れてるからこそ楽しみにしてたんだよ」 

春香「そ、そうですか」 

P「当たり前だ。こういうときこそ春香で遊ばなきゃ」 

春香「私『で』?」


10:2014/07/09(水) 01:02:45.40 :mnABnJOz0

P「さては気を遣ってたな」 

春香「そんなこと、ないですけど……」 

P「けど?」 

春香「……考えてみたら、今までプロデューサーさんがゆっくりできる時間を邪魔してたのかも……って、思って」 

P「邪魔ね」 

春香「……」 

P「わかってないな」 

春香「わかってないですか?」 

P「ああ」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……いいですか?」 

P「いいよ」 

春香「じゃ、じゃあ、言います! かまってください!」 

P「かまわん」 

春香「どっち!?」


11:2014/07/09(水) 01:06:06.73 :mnABnJOz0

P「どっちだろう」 

春香「はっきりしてくれないと困ります」 

P「ご想像にお任せします」 

春香「そんなぁ、思わせぶりなこと言わないでくださいよ!」 

P「ふん、ふん、ふふん」 

春香「それ、リズム違いますよ」 

P「そう?」 

春香「えへん、本当は、ふーん、ふ」 

P「沸いたかなー」 

春香「……ふーん、ふん、ふ」 

P「あっまだ沸いてなかった。うっかりだ」 

春香「聞いてください!」 

P「うわっ」


12:2014/07/09(水) 01:09:32.92 :mnABnJOz0

春香「もう、そうやってプロデューサーさんは、いつもいつも意地悪するんですから!」 

P「してないよ」 

春香「してます。みんなにはあんなに優しいのに……私のことは、かまってくれないし」 

P「かまってるだろ」 

春香「かまってくださいって言わないと、かまってくれないじゃないですか」 

P「……どういうこと?」 

春香「今日だって、雪歩にはプロデューサーさんの方から誘ってましたよね。私、見てました」 

P「ああ。拗ねてるのか」 

春香「拗ねてないです! ふーんだ」 

P「矛盾だろそれ」 

春香「私、言われたことないのにな。気晴らしにちょっと付き合ってくれよ、なーんて」 

P「気晴らしにちょっと付き合ってくれよ」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……そういうことじゃないんですー!」 

P「ええ……意味わからん」


13:2014/07/09(水) 01:17:52.33 :mnABnJOz0

春香「とにかく、プロデューサーさんはもっと私に優しくしてください」 

P「何言ってんだ。冗談はリボンだけにしろ」 

春香「どういうことですか!?」 

P「これ以上俺が優しくなったら大変だよ。仏様超えるぞ」 

春香「あー、罰が当たりますよ、そんなこと言っちゃうと。私知りませんよー」 

P「パス」 

春香「いらないです」 

P「罰パス」 

春香「罰ってそういうものでしたっけ……」


14:2014/07/09(水) 01:27:32.76 :mnABnJOz0

春香「プロデューサーさん」 

P「しない」 

春香「まだ何も言ってないじゃないですか!」 

P「言われなくても大体わかるよ」 

春香「え、それって……以心伝心、ってことですか?」 

P「違う、春香がわかりやすいだけ」 

春香「ええー……」 

P「だって、俺の考えてることは春香にはわからないだろ」 

春香「隣の人がめんどくさいなあ」 

P「あれ。よくわかったな」 

春香「めんどくさいから早くレッスン行ってくれないかな。ああめんどくさい、めんどくさい」 

P「……」 

春香「……悲しくなってきました」 

P「なら言うなよ。俺はそんなこと思ってないよ」 

春香「わかってます。本当は、隣の子がかわいいなあ、ですよね!」 

P「調子乗ってんな」 

春香「てへっ」 

P「……」


15:2014/07/09(水) 01:33:06.28 :mnABnJOz0

P「春香はさ」 

春香「はい」 

P「やよいや響に並ぶ、元気印のアイドルだけど」 

春香「はいっ! いつも明るく楽しく元気よく! 過ごすことが大事ですよ!」 

P「その割にはへらへら笑うよな」 

春香「へらへら!?」 

P「やよいはにこにこ笑うイメージだろ」 

春香「そうですね」 

P「響はけらけら笑う感じ」 

春香「まあ、たしかに……」 

P「春香はへらへら」 

春香「ちょっと待ってください!」


17:2014/07/09(水) 01:38:02.94 :mnABnJOz0

春香「も、もっとこう、別の言い方ないですか?」 

P「んー……へろんへろんとか?」 

春香「より悪いです!」 

P「そうか」 

春香「そもそもへろんへろんって、どんな笑い方なんですか……」 

P「こんな感じ」ヘロンヘロン 

春香「私そんな変な顔しません!」 

P「変な顔だと」 

春香「ぜーったい、違います!」 

P「そこまで言うなら……」 

春香「見せますよ! 見てください!」


18:2014/07/09(水) 01:44:15.88 :mnABnJOz0

春香「春香さんスマーイル♪」ニコッ 

P「……」 



春香「どうですか?」ニコニコ 

P「……」 

春香「プロデューサーさん?」 

P「……なんというか……あれだな」 

春香「はい」 

P「春香の笑顔を至近距離で見ちゃだめだな。くらっとくる」 

春香「え、えぇ……なん、……ふ、不意打ちで褒めないでくださいよぅ……」 

P「ほらその顔」 

春香「へっ?」 

P「あ、黙って写メ撮った方がよかったかな。今度はそうしよう」 

春香「えっ?」


19:2014/07/09(水) 01:50:57.22 :mnABnJOz0

P「まあ、へらへらの話はいいとして」 

春香「え、私あんまりよくない……」 

P「春香はいつも笑ってるから、真面目な顔とかしないよな」 

春香「しますよ」 

P「そうかなあ」 

春香「だってライブの直前とか」 

P「知らない」 

春香「知らない!?」 

P「見てない」 

春香「見てない!?」 

P「うん」 

春香「ステージ裏まで一緒に来て、励ましてくれるのにですか?」 

P「記憶にないなぁ」 

春香「じゃあいいです! 今からこれも見せますよ、私の真面目な顔!」 

P「ほう」 

春香「はいどうぞ!」キリッ


20:2014/07/09(水) 01:55:08.95 :mnABnJOz0

P「……」ジーッ 

春香「……」ジーッ 

P「……」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……」 



春香「…………んふっ」 

P「はいアウト」 

春香「待って!」


22:2014/07/09(水) 01:58:40.21 :mnABnJOz0

P「何を」 

春香「今のはその、笑顔の練習ですから」 

P「笑ってるじゃない」 

春香「笑ってません」 

P「というか春香、結構最初のうちから口もと緩んでたぞ」 

春香「もう一回! もう一回チャンスください! 今度は笑わないです!」 

P「えー」カチャカチャ 

春香「コーヒーメーカーいじらないでこっち向いてください!」 

P「まあいいけど」 

春香「いきます!」キリッ 

P「ふぅ~↑じこちゃ~ん紅茶飲む?」 

春香「っふっ! うふっ、くっ、えほっ」 

P「はいツーアウト」 

春香「ルパン三世はズルいですよぉー!」


23:2014/07/09(水) 02:04:37.43 :mnABnJOz0

春香「笑わせないでください!」 

P「わかったよ」 

春香「はぁ……もう、大変……」 

P「認めればいいじゃないか。真面目な顔はできませんと」 

春香「できますからね! 私、やればできる子ですから!」キリッ 

P「……」ジーッ 

春香「……」ジーッ 

P「……」 

春香「……んふふっ、ああダメだ、さっきの思い出しちゃう」 

P「スリーアウト」 

春香「あぁー……」 

P「できる子じゃなかったな」 

春香「うぅ、違うんですよ、プロデューサーさんの顔見てるとなんか笑っちゃって……」 

P「そして俺のせいかよ」


24:2014/07/09(水) 02:08:52.08 :mnABnJOz0

P「よしよし、沸いた」 

春香「……」 

P「……」コポコポ 

春香「……」 

P「はい、春香。お待たせ」 

春香「……あの、これ、無色透明です」 

P「ただのお湯だからな」 

春香「ただのお湯は頼んでません!」 

P「そうだっけ?」 

春香「そうです」 

P「まあでも、春香だし」 

春香「なんですか」 

P「……」 

春香「何が言いたいんですかプロデューサーさん?」 

P「ここにティーバッグあるから、ほら」 

春香「今そこで茶葉やってるじゃないですか!? 私もそっちがいいです!」


25:2014/07/09(水) 02:12:27.01 :mnABnJOz0

P「これはカップを温めるために淹れただけで、冗談半分だから気にするな」 

春香「半分は本気なんですね」 

P「春香なら……これくらいぐいっといってくれるんじゃないかって」 

春香「いかないです……」 

P「でも……買い被りすぎだったみたいだな……」 

春香「はい」 

P「……そうだな……」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……まさか私がっかりされてますか!?」 

P「……」コポコポ


26:2014/07/09(水) 02:17:15.98 :mnABnJOz0

P「はい、本物の紅茶」 

春香「わあ、ありがとうございます」 

P「お礼なら雪歩にもな。美味いか」 

春香「まだ飲んでないです」 

P「熱いから気を」 

春香「あちっ!」 

P「つけろよ……」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……プロデューサーさぁん……」 

P「アホ春香」 

春香「ひどい!」


27:2014/07/09(水) 02:23:22.85 :mnABnJOz0

春香「あの、プロデューサーさん」 

P「ん?」 

春香「紅茶を飲んでいると、何かお菓子が食べたくなりませんか?」 

P「いや別に」 

春香「……」 

P「……」 

春香「……」 

P「ちょっとなった」 

春香「……」 

P「すごくなった」 

春香「えへへ、そうですよね。それで私」 

P「めんどくさ」 

春香「そういうこと言わないでください! それでですね、私」 

P「うん」 

春香「クッキー焼いてきましたー! しかも偶然、紅茶味なんです!」 

P「ゴーヤ味?」 

春香「紅茶!」


29:2014/07/09(水) 02:28:20.05 :mnABnJOz0

春香「もう、今度は本当にゴーヤ味作ってきますよ」 

P「貴音しか食べないと思うぞ」 

春香「ですよね……」 

P「さ、仕事に戻るかー」 

春香「ちょっ待っWait!」 

P「なんだ? 頑張っていきたいのか」 

春香「Go My Wayじゃなくて! どうして、どうして今からクッキー出そうとしてるのにどっか行っちゃうんですか……」 

P「……悪かったよ。紅茶味のクッキー、くれるのか?」 

春香「はい! プロデューサーさん、手を出してください」 

P「ん」


30:2014/07/09(水) 02:31:36.85 :mnABnJOz0

春香「じゃーん! ほんのりピンクのハート型ですよ!」 

P「綺麗だな」 

春香「えへへへ……どうぞ、召し上がれ♪」 

P「いただきます」ポイッ 

春香「わ、まるごと」 

P「割るよかいいだろ」 

春香「……どうですか?」 

P「うーん……」 

春香「面白くなくていいので、率直な感想くださいね」 

P「じゃあ美味しいよ」 

春香「じゃあ!?」 

P「春香が作ったんだから美味しいに決まってるだろ。ふざけるな」 

春香「なんでちょっと怒ってるんですか!?」


31:2014/07/09(水) 02:35:12.66 :mnABnJOz0

P「さてと、ごちそうさまでした」 

春香「あ、いえ」 

P「俺は仕事に戻るけど、春香はどうする? もうレッスン行くか?」 

春香「んー……」 

P「……」 

春香「……せっかく事務所にいられるんですから、まだゆっくりしてたいです」 

P「ならもう少しおしゃべりしようか」 

春香「えっ?」 

P「しばらく付き合ってくれよ。春香と話すのは楽しいし」 

春香「えっ、えと、はい!」 

P「立ち話続けるのもなんだから、向こう行ってさ」 

春香「はい! たくさんおしゃべりしましょうね! じゃ、さっそく!」 

P「おい待て、こんなとこでスキップするな。転ぶぞ」 

春香「あっ、わっ、わわわっ!?」 

 ドンガラガッシャーン 

P「言わんこっちゃない……」


32:2014/07/09(水) 02:37:17.78 :mnABnJOz0

――― 

―― 

― 


―――机の下 


真美「……行った?」 

亜美「……行った」 

真美「……」 

亜美「……」 

真美「すごかったね」 

亜美「兄ちゃんのカップにこのバニラんっふっふーを入れるだけの作戦だったのに……」 

真美「まさかはるるんが来るとは……」 

亜美「……」 

真美「……」 

亜美「どうする? 飲む? これ」 

真美「戻しとこうよ」 

亜美「そーだね」


33:2014/07/09(水) 02:38:44.56 :mnABnJOz0

― 

―― 

――― 


春香「プロデューサーさーん」 

P「なんだよ」 

春香「今度はスコーン、焼いてきますね!」 

P「期待してるよ」 

春香「はい! 期待してください!」 

P「まあ、その今度はいつになるかわかんないけど」 

春香「そうですね……でも私、そのときを楽しみにしてますから」 

P「そっか」 

春香「次会ったときは、また」 

P「うん」 

春香「かまってくださいね!」 

P「わかった」 

春香「どっ……ええっ!?」 


おわり


34:2014/07/09(水) 02:39:16.17 :mnABnJOz0

おしまいです。 春香「かまってください」P「やだ」春香「なんで」 の続きでした。 
なので、ご存じでないと意味分かんないとこあるかもしれないです。先に申し上げとくべきでした。 

お付き合い頂きありがとうございました。おやすみなさい。


元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404834097