■765のグルメシリーズ
「律子のグルメ」
「春香のグルメ」
「貴音のグルメ」
「響のグルメ」
「やよいのグルメ」
「千早のグルメ」
「あずさのグルメ」
「雪歩のグルメ」
「真のグルメ」


1:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:05:55.32 :Wnd2tYxY0

遅く起きた朝。 
時計を見ると既に10時を回っている。 
母さんはとっくに朝食を下げ、父さんは仕事に出ていた。 

冬休みに入り、仕事も休みの今日。 
とりあえず寝間着から着替え、日課のランニングをこなそう。 
みっちり二時間走ったらちょうどお昼時になるし、そのまま外で昼食を摂るのもいい。 
うん、そうしよう。 


2:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:06:28.03 :Wnd2tYxY0

思い立ったが吉日、すぐに運動着に身を包み、母さんに昼食はいらない旨を伝えて家を飛び出した。 
雲ひとつ無い快晴。 

風も弱くスッキリとした天気の中、家を出て河川敷まで走る。 
そのまま土手を走って走って走り続けた。 

ともすれば耳の痛くなるような寒さの中、こうやって走るのがボクは好きだった。 

真「ふぅ」 


3:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:06:57.98 :Wnd2tYxY0

きっちり二時間走っていい汗をかき、河川敷から家までの道のりを、ジョギングで流す。 
クールダウンは大事だ。 

突然止まったり、歩いたりすると最悪の場合倒れてしまう。 
だから、走る速度を緩めながら徐々に歩くようにしていくのが良いと、父さんから教わった。 

たっぷりの運動の後はお腹が空くもので、今ボクは、家に帰りがてらお昼ごはんを食べられる所を探している。 
家の近所だから食べられる物は限られるけど、今の気分では何がいいだろうか。 

ジョギングから歩きへと変わり、のんびりと街中を歩く。 
道行く人は皆忙しなく、師走とはこういうことなのかと思いふけった所で、鼻腔を刺激する匂いに気づいた。 
スパイシーで、心惹かれる香り。 

カレーだ! 


4:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:08:14.66 :Wnd2tYxY0

通りに面したお店から漂うこの香りに、そして運動後の、ともすれば今日何も食べていない身体には抗うことは出来ず、匂いに誘われるまま気づくと扉を開いていた。 

店員「イラッシャイマセ」 

店に入って出迎えてくれたのは、日本人ではなくアジア系の外国の人。 
内装も、所々に仏様の絵や、像が飾られていたりと、異国情緒を感じさせる。 
二人がけのテーブル席に通されると、すぐに水を運んできてくれた。 

片言の日本語ながら、丁寧な接客をしてくれている。 
一所懸命な感じが伝わってきて、とても好印象だ。 

真「さて、何を食べようかな」 


5:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:09:08.91 :Wnd2tYxY0

備え付けのメニューを見ると、どうやらランチセットメニューがあるようだった。 
カレーと言えばインドというイメージだが、この店はネパールカレーのお店みたいで、たまたま選んだ店ではあるが思いがけない出会いは嬉しくなる。 

ランチセットメニューはAからDまであり、Aは順に値段が上がっていっているようだ。 
上の等級になればその分セットの内容も増えるので当然だろう。 
ランチ以外のメニューにも目を通してみたが、単品だとそれなりに値は嵩むし、なにより初めて来た店で冒険する勇気はない。 
なのでここはセットを頼むのが無難だと思い、Bセットを頼むことにした。 

真「すみません」 

食べるものを決めて、手を上げて店員さんを呼ぶと、すぐに来てくれた。 


6:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:10:48.04 :Wnd2tYxY0

店員「ハイ、ナニニシマスカ」 

真「このBセットを一つ。辛さは中辛で」 

メニューには0~10段階で辛さが選べるようになっていて、更にその上にも30とか50とか、最大で100までの辛さが設定されていた。 
100辛とかもう想像つかないな……。 

店員「アリガトウゴザイマス、Bセットヒトツ。ライストナンハドッチシマスカ?」 

真「ナンでお願いします」 

注文を受けた店員さんはすぐさま厨房へオーダーを通している。 
こういうところに来たら、やっぱりナンで食べたくなる。 


7:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:12:04.13 :Wnd2tYxY0

ちなみにAセットはシンプルにカレーとナンかライスとサラダのセット。 
Bセットはそれにラッシーが付く。 

真「このパパダってなんだろう……?」 

B以上のセット全てに付く謎のメニュー、パパダ。 
凄くインドとか、そっち方面の雰囲気を感じる名前だが、名前からどういったものか全く想像がつかず、メニューに写真も載っていない。 
注文する時に聞いてみればよかったな。 

料理が来るまでに持て余してしまったので、なんとなく店内を見渡してみる。 
昼時ということもあり、お世辞にも広いとはいえない店の中は客で埋まりつつあった。 
ボクが来た時はピーク直前だったのだろうか。 
席に着いてからもひっきりなしに客がやってきている。 
人気のお店なのだろう。 


8:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:12:39.64 :Wnd2tYxY0

料理が来るのを待っていると、店員さんが陶製のカップを持ってきた。 

店員「サービスノスープデス」 

薄く濁りのある半透明のスープが運ばれてきた、テーブルに置かれたカップから湯気が立ち上っている。 
礼を述べてからカップを持ち上げて、ふーふーと息を吹きかけ冷ましてから口を付ける。 

真「あっつい!」 

息を吹きかけて冷ましたくらいじゃ全然きかないくらい熱い。 
しかし、味は旨い。 
生姜が入っていて、寒い日には身体が温まってぴったりだ。 


9:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:13:21.50 :Wnd2tYxY0

暫くスープを楽しんでいると、サラダが運ばれてきた。 

箸は無いのでフォークでサラダをつつく。 
黄色いドレッシングのようなものがかかっており、カレーの味がするのかとおもいきやそうでもなく、何だか不思議なドレッシングだった。 
サラダをつつき続けていると、お盆に載せられてカレーとナンとラッシーが運ばれてきた。 

ナンがでかい。 

お盆から前も後ろもはみ出している。 

メニューによるとカレーはポークカレーのようだ。 


10:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:13:54.88 :Wnd2tYxY0

両手を合わせ、スプーンを親指と人差し指の間に挟んでから 

「いただきます」 

そう宣言してからまずはスプーンでカレーをひとすくい。 
ナンにつけずに一口。 

真「あ~……んっ……ん~! あんまり辛くない!」 

以前行ったインドカレーのお店では中辛でも結構辛かった覚えがあるが、これはそこまででもなく、マイルドな辛さだった。 

お待ちかねのナンはまだ熱を持っていて、柔らかくちぎりやすい。 
二口分くらいのサイズにちぎって、カレーの中へ。 
白いナンが、朱色の衣装を纏って口の中へ入ってきた。 


11:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:14:22.18 :Wnd2tYxY0

真「はぐっ……んむっ……んっ!?」 

美味しい。 
カレーとの相性がいいのもさることながら、単純にナンだけで美味しいのだ。 

真「もっちもちだ……あぐっ……んぐっ……ほいひい……!」 

残った一口分はカレーに付けずに食べてみた。 

真「んむっ……んぐっ……んっく……ぷぁ……」 

何も付けずに食べるナンがこんなに美味しいとは思わなかった。 
軽く衝撃を受けていると、ナンに隠れて小皿の上に謎の物体があることに気づく。 

薄焼きせんべいのような色をした、半円状の物。 

真「なんだろう、これ……?」 


12:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:14:51.30 :Wnd2tYxY0

思い当たるフシとしては、パパダと呼ばれる物だが。 
とりあえず手に取ってみる。 
特に匂いはなく、少し力を入れるとすぐに割れてしまった。 
見た目以上に脆いようだ。 

とりあえず割れた欠片をひとつ、恐る恐る口の中へ。 

真「あ~むっ……」 

カリカリとした食感だった。 
まるでお菓子みたいに。 
しかし、ものすごく味が濃く、そのままでは感じなかったのに、噛むことによって香ばしさが口内で爆発的に広がった。 

初めは食べるのが少し怖かったけど……。悪くない、決して悪くないぞ。 


13:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:15:29.85 :Wnd2tYxY0

濃い味同士だからカレーとは合わないけど、サラダを乗せて食べたら意外なくらいに良く合った。 

真「はぐっ……んぐんぐ……はぁ」 

小さなパパダはあっという間に無くなり、それに合わせてサラダも無くなった。 

真「こんなに美味しいとは思わなかった……」 

ここで一度ラッシーに口を付ける。 
シンプルなヨーグルト味のラッシーは、口の中のカレーやパパダの味を全部洗い流してくれた。 
もしもカレーを辛くしていたら、辛さも一緒に洗い流してくれるんだろう。 


14:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:15:58.52 :Wnd2tYxY0

さて、ここで箸を、もといスプーンをカレーに戻す。 
ポークカレーなので、ルーの中にゴロゴロとした豚肉が入っている。 
よく見ると、細長い野菜のような物の姿も。 
気になってすくって食べてみる。 

真「はむっ……あむっ……むはっ……これ、生姜だ!」 

食前のスープ、そしてカレーにも生姜が入っている。しかし、生姜特有の辛味がするわけではなく、味付けのアクセントとしての生姜味にとどまっていた。 
これならば生姜が苦手な人でも食べやすいのではないだろうか。 

真「は~むっ……ん~、お肉もやらかい……まぐっ……んっく……」 


16:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:16:42.48 :Wnd2tYxY0

一口大の豚肉はよく煮込んであるのかとても柔らかく、噛むとほろほろと崩れ、しかし味わいがぎゅっと閉じ込められている。 
スプーンで肉をすくってナンに乗せ、かぶりつく。 
ナンの柔らかさと旨さ、そこに肉とカレーの旨さがそれぞれ喧嘩せずに交じり合っていた。 

真「あむっ……はむっ……んっく……ぷはっ」 

カレーを食べ、合間にラッシーを飲んで口の中をスッキリさせる事で、最初の一口目のような新鮮さを保てる。 
そんな風に食べていたらあっという間にカレーもナンも最後の一口を残すだけとなっていた。 

真「は~むっ……んぐんぐ……んっく……はぁ~。ごちそうさまでした!」 

全く手付かずだった水を最後に飲み干し、口元をティッシュで拭って一息つくと、来た時よりも店内に人が溢れている事に気づいた。 
混雑時に長居しても迷惑になるのですぐに出ることにしよう。 


17:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:18:16.67 :Wnd2tYxY0

伝票を掴んでレジまで行き、会計を済ませる。 

店員「961円デス」 

真「えっと、あ、じゃあちょうどで」 

店員「アリガトゴザマス」 

真「ごちそうさまでした! 美味しかったです」 

扉を開けると、朝と違って冷たい風が吹くようになっていた。 
ランニングとカレーとで、沢山の汗をかいた身体に風が心地よい。 

すっかり温まった身体を冷やし過ぎない内に家に帰って、あっついシャワーを浴びよう。 





おわり


18:◆sIPDGEqLDE:2014/12/31(水) 22:19:26.43 :Wnd2tYxY0

終わりです。 

ナンカレーって美味しいですよね。 

少しでもお腹を空かせられたら幸いです。 
それではお目汚し失礼しました。


21:2014/12/31(水) 22:28:58.60 :/qYqSbCJo
乙です。 
正月気分なので、カレーはクるW

23:2014/12/31(水) 22:50:54.01 :JC3ja3kX0
タイムリーでカレー食べてるww 
小鳥さんとカレー食べたい


元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420031155