1:2015/02/06(金) 17:45:17.67 :Wrl/NqsP0

文香「……私に、訊ねているんですか?」 

みく「ほかに誰がいるにゃー」 

文香「いえ……そうなんですけど……どうしたんですか、突然」 

みく「んにゃー、みくね、今日収録のとき、ディレクターさんに「もっとみくちゃんらしさみたいなのを出していこうよ」みたいなこと言われちゃったのにゃー」 

文香「はぁ……」


2:2015/02/06(金) 17:45:53.89 :Wrl/NqsP0

みく「みくはみくのこの猫キャラがちょーみくらしい! って思ってるんだけど、でも違うのかにゃあ?」 

文香「違わないと思いますが……」 

みく「でっしょー!? でもね、同時に思っちゃったのにゃ。みくがもし猫キャラやめたら、みくはみくらしさを失うことになるのかにゃー? って」 

文香「なるほど……とても、難解な問いですね……」 

みく「そう! それで、Pチャンはこういうこと聞いても頼りないし、文香チャンのとこに来たのにゃ!」 

文香「……わかりました。では、ソクラテスほどではないですが……軽い、問答の真似事……を通して、答えを探して……みましょう」 

みく「モンドー? っていうのはよくわからにゃいけど、さっすが文香チャン! 頼りになるにゃあ!」


3:2015/02/06(金) 17:46:20.40 :Wrl/NqsP0

文香「いえ……では。みくさんの、みくさんらしさですか……確かに、猫キャラは……とても可愛らしく、みくさんの良さが溢れていると思います」 

みく「うにゃあ! でっしょでしょー? にゃははー、わかってるにゃあ!」 

文香「ですが……みくさんを、みくさんたらしめるのは……猫キャラ、だけでしょうか……」 

みく「……ゴメン、何にゃあ?」 

文香「えぇと……みくさんの自分らしさは……猫、だけですか、という質問です。猫以外に好きなものや、嫌いなもの……みくさんの、特徴と言いますか……」 

みく「お魚キライ!」 

文香「はい」


4:2015/02/06(金) 17:46:47.65 :Wrl/NqsP0

みく「それからー……みくは歌も好きにゃ! アイドル、楽しいにゃあ」 

文香「それも、みくさんらしさ、ですね……」 

みく「! もしかして、みくのみくらしさって、一つだけじゃない、ってこと?」 

文香「はい。きっと……ディレクターさんも、猫プッシュ以外の面も、見てみたい……と、思ったのではないでしょうか……」 

みく「にゃるほどー……じゃあ悪いことしちゃったかにゃー」 

文香「悪いことと言いますか……みくさん、人は、いくつもの要素でできている、ということには……同意してもらえますね?」 

みく「もっちろん! その人らしさはたくさんあるのにゃ! なんで確認するにゃあ?」 

文香「ですが……いくつもの「らしさ」を、同時に見せる……ということは、できますか?」 

みく「できる……え?」


5:2015/02/06(金) 17:47:32.31 :Wrl/NqsP0

文香「みくさんの、「歌が好き」と、「猫が好き」を同時にアピールするには……猫の歌を歌えば良い」 

みく「そうだにゃ! そーすればみくの好きなこと二つとも……!」 

文香「ですが……アイドルが歌うことは……それが、仕事だから……」 

みく「にゃ……っ!」 

文香「「猫が好き」をアピールできても……「歌が好き」を、うまくアピールできてると……いえるでしょうか?」 

みく「う、にゃ、あ……じゃ、じゃあどーおするにゃあ! これじゃあみくのみくらしさがやっぱり一つしか伝わらないにゃあ!」 

文香「はい……困りましたね……ふふ」


6:2015/02/06(金) 17:47:59.17 :Wrl/NqsP0

みく「……なんか文香チャン楽しそうにゃあ?」 

文香「い、いえ、確かにみくさんの悩みはとても重大なものですが……ちょっと嬉しくて」 

みく「みくにも分かるよーに説明するにゃー!」 

文香「自己の探究を通して、みくさんと愛知活動……哲学ができることが、なんだか……嬉しいんです」 

みく「……にゃあ? 哲学してるの? これ」 

文香「はい」 

みく「そーいえば文香チャン最初にソクラテスがどーとかいってたにゃあ……みくもっと難しいと思ってたにゃ。ニーチェとか、デカルトーとか、カントーとか」 

文香「近代哲学者を、すらすら挙げてくるあたり、みくさん、けっこう……知的ですよね」


7:2015/02/06(金) 17:48:50.10 :Wrl/NqsP0

みく「当たり前にゃ! みくは学校ではマジメ……って違う! そーじゃなくて、みくらしさ!」 

文香「あ、す、すみません……少し、脱線してしまいましたね……では、元に戻しましょう」 

みく「えっと……みくのらしさは一個しかアピールできないって話にゃあ?」 

文香「はい。どうしたらよいか……解決を考えるところ、でしたね」 

みく「うにゃ!」 

文香「でも……案外簡単に答え……出ると思うのですが……特に、みくさんみたいに、芸能界……テレビ慣れしてる人なら……」 

みく「にゃあ!? ど、どういうことにゃ!?」 

文香「では、少し……単純に考えてもらうため……助っ人を呼びましょう。薫ちゃん……来て、いただけますか……?」


8:2015/02/06(金) 17:49:18.38 :Wrl/NqsP0

薫「はーい! どうしたのふみかおねーちゃん! あ、ねぇあとでせんせぇのかわりに宿題のまるつけしてー!」 

文香「はい。では、一つ……答えてくれますか……?」 

薫「なぁにー?」 

文香「テレビに出てるとき……トークを披露することには……限界があります。薫ちゃんなら、どうしますか?」 

薫「なにー? なぞなぞー?」 

文香「いいえ……思ったままに、答えてください」 

薫「かんたんだよ! となりの人にはなしかければいいんだよー! そうすれば二人でおしゃべりして、はなしも広がるよー!」 

みく「んにゃあ!?」 

文香「はい、ありがとうございます……では、あとで宿題、見させてもらいますね」 

薫「おねがいねー!」


9:2015/02/06(金) 17:49:47.85 :Wrl/NqsP0

文香「……みくさん、トークは一人でするもの……自分のらしさを見せるのは……孤独な行為だと……思い込んでませんでしたか……?」 

みく「にゃ、にゃああぁぁぁ……」 

文香「隣の方に話を振ることで……それまで話題になかった話が、みくさんも話せる範囲で……広がる……そうやって、猫以外のポイントも、アピールできると思いますよ……」 

みく「ふ、文香チャン……ありがとにゃあ! とーっても助かったにゃあ! よぉし、今度こそ猫チャン以外のみくを見せてやるにゃあ!」 

文香「……ところで、その番組は、どのようなものなんですか……?」 

みく「クイズバラエティだけど?」 

文香「……トーク、難しそうですね……」


10:2015/02/06(金) 17:52:36.28 :Wrl/NqsP0

短いけどおしまい。南条と「正義」、まゆと「愛」、春香と「嫌悪」、ウサミンと「理想」なんてテーマでも考えてたけど、前川さんと「自己」でひとまず書いてみました。気が向いたら続き書きます。失礼しました


11:2015/02/06(金) 17:57:38.28 :D+RG9pb+0
乙です 

のあと「信頼」とかどうかな?

12:2015/02/06(金) 18:11:39.80 :qoNL4S6qO
乙 
次は実存哲学も取り入れてほしいな

14:2015/02/06(金) 19:32:31.67 :/heJGGimo
乙。 
茄子とほたるかレナさんで「運」とか見たい

15:2015/02/06(金) 19:35:30.70 :IoHnRQTfO
乙。卯月と欲望とかも気になるな。

16:2015/02/06(金) 20:58:15.44 :D+RG9pb+0
アーニャで「言葉」も良さそう

17:2015/02/06(金) 21:15:12.36 :QfROOh3Io
期待が持てる 
みくがちょっとにゃぁにゃぁ言い過ぎと思った 

ぷち眺めてる感じじゃそんなににゃぁにゃぁ言ってない





19:2015/02/07(土) 00:39:05.03 :URKLnAwE0

光「おはようー……」 

文香「……おはようございます、光ちゃん……プロデューサーは、席を外してますよ……」 

光「そ、そっか……うん……なぁ、文香さん、少し、いいかな」 

文香「……なんでしょう」 

光「文香さんは、正義ってなんだと思う?」 

文香「私の知らない間に……事務所で、哲学が流行しているのでしょうか……?」 

光「昨日、特撮見てたんだ」 

文香「……私がまだ、挑んでいないジャンル、ですね……」 

光「それでさ、アタシは正義があって、悪があって、二つが戦って、最後は正義が勝つ! って思ってたんだけど……」 

文香「必ずしも、そうではない……と」 

光「そうなんだ。ちょっとショックというか……何が正義で、何が悪なんだろう?」


20:2015/02/07(土) 00:39:40.23 :URKLnAwE0

文香「……面白い、ですね……光ちゃんは、正義とは、なんだと思いますか?」 

光「え? えーっと、悪を倒すもの!」 

文香「では……悪とは、何でしょう……」 

光「そりゃ、悪いことする人たちだよ。人体改造、世界征服。ミサイル打ち込んだり、人を殺したり。そうだろ?」 

文香「はい。もちろんそれらは「悪いこと」です。ですが……それは、悪いことであって、「悪」の本質、ではありません」 

光「あ、悪の本質?」 

文香「……イデア論は少し、難しいかもしれませんね……言い方を変えてみます」 

光「お、おう」 

文香「光ちゃんが挙げたのは、悪の具体例で……悪そのものではない、ですよね……」 

光「確かに……」 

文香「でも、光ちゃんが最初に尋ねてきたのは、正義……それと、対を成す、悪」 

光「なるほど。なんとなくわかったぞ。つまり、悪や正義っていう言葉の意味だな! 辞書を引こう!」


21:2015/02/07(土) 00:40:37.23 :URKLnAwE0

文香「良い選択です……せ、せ……正義。人の道にかなって正しいこと。正しい意義、解釈」 

光「人の道……?」 

文香「……社会行動の基準で、その違反に対し厳しい制裁をすること」 

光「えっと……せ、説明してくれ、博士!」 

文香「それは……変身ヒーローというより……ロボットアニメでは……そうですね……つまり、正しいと思われている世界を守るための力と、それのための基準、でしょうか」 

光「な、なるほど! それはなんとなくわかった!」 

文香「それが、正義です」


22:2015/02/07(土) 00:41:40.26 :URKLnAwE0

光「……アレ? でも待てよ、正しい、正しくないなんて、誰が決めてるんだ? 正義って、文香さん、基準だって言ったよね?」 

文香「はい」 

光「基準ってことは、それを決める誰かがいるってことだ。それは、誰だ?」 

文香「……とても、鋭い指摘です。これは、近代……フランス革命以後の社会では民衆が、法律という規律を通して決めています……それ以前の西洋では、キリスト教とその教えが社会規律となって、正義の役割をはたしていました……同じ時代、日本では各国が……」 

光「うわぁぁちょ、ストップストップ! 文香さん!」 

文香「……すみません。少し、熱がこもってしまって……」 

光「つまり、みんなで決めてる、ってことでいいんだよね?」 

文香「……異論はありますが、おおむね正解です」 

光「でも、それを決めてる人って全員正義の味方じゃないじゃん! アタシだって知ってるぜ、法律を決めてるのが政治家で、政治家には悪い奴もいるってな! 警察にもいたし! カニに食べられた……」


23:2015/02/07(土) 00:42:20.37 :URKLnAwE0

文香「……蟹は知りませんが……はい、そうです。社会を作っているのは、良い人ばかりではありません……だからこそ、悪もあるのです……」 

光「それじゃ、ホントの正義なんて言えないんじゃないかな? ねぇ、これはホントの正義なの?」 

文香「その質問に、答えるには……まず、正義が本当に存在するのか、を問う必要があります……」 

光「……え?」 

文香「正義、悪……どちらも、人間の行動の結果です」 

光「うん。らしいね」 

文香「自然界……サバンナを想像してもらうとわかりやすいでしょうか……そこには、弱肉強食という、一定の規律は存在すれど、善悪は……ありません」 

光「正義や悪なんて、ただの思い込みだってこと……?」 

文香「いいえ……少し、簡潔に説明してしまってもよろしいでしょうか……」 

光「う、うん」


24:2015/02/07(土) 00:42:58.79 :URKLnAwE0

文香「正義、とは……光ちゃんが、何を信じているかで、変わるものだと思います……」 

光「信じる……もの……?」 

文香「自分が信じたものの正しさ……それを行うための、正義、だと、私は思っています……」 

光「ご、ごめん、よくわからない……」 

文香「私も、ほとんどの人がそうであるように……日本の法律が、正しいと……それが正義だと信じています……」 

光「うん、それはアタシもだ」 

文香「ですが、そうは思わない人たちもいる……彼らには、別な正義がある、ということです」 

光「!?」 

文香「正義とは……正しさである間は、まだ、力を持ちません……ですが、正義として、行使し始めた場合……それは、誰かの悪になりうるのです」 

光「オルフェノクが、ライダーと戦うって、もしかしてそういうことなのか……!?」


25:2015/02/07(土) 00:43:54.62 :URKLnAwE0

文香「それは、よく知りませんが……警察官の思う「正しさ」は……犯罪者の「正しさ」とは……対立します……光ちゃんは、どちらを味方しますか?」 

光「もちろん、警察だ!」 

文香「では……光ちゃんの正義は、犯罪者にとっては「悪」です……」 

光「な、なるほど……!」 

文香「……ご理解、いただけましたでしょうか……?」 

光「誰かの悪になっても、アタシが信じ続けられるもの! それが、正義なんだね!」 

文香「……はい」 

光「ありがとう文香さん! なんだかすごくスッキリしたよ!」 

文香「よかったです……ところで、光ちゃんが見ている……特撮……ちゃんと善悪が描かれているんですね……興味深いです……」 

光「おう! すっごいぞ! たとえば仮面ライダーダブルでは、主人公二人は王道の正義を貫くんだけど、照井っていう警察側にいる仮面ライダーがな、あっ、主人公二人は探偵で、みんなで同じ事件を追いかけて……えっと、事件ってのはドーパント、怪人が起こす怪事件のことで……」 

文香「私が、何かに夢中になって話すのは……きっと、こんな感じなのでしょうね……ふふ、今度、貸してください……あの、光ちゃん? 聞いて、ますか……?」


26:2015/02/07(土) 00:47:34.55 :URKLnAwE0

以上になります 
少し勢いで書いたとこもあるので、あんまり深い話にできず申し訳ないです……哲学はかじった程度なので…… 
クラリスと「神」という、とんでもないやりとりを想像してしまい、クラリスの信じるものが打ち砕かれぬよう祈るばかり…… 
偶像崇拝とかいったら十字架で殴られるかな 
では、ネタバレはまだ書かない方がいいと思ってるので、Twitterの方にいってきますww


元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423212317