【SS速報VIP】【アイマス】ライバル?
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432653079/


■関連SS
【アイマス】レモンのサプリメント
【アイマス】2人の距離
【アイマス】ライバル?


1 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:11:29.92 :SbCCCbYqo

勢いだけでやっつけたので色々ひどい所がある気がする 


一応以下の世界観の中の話です 
【レモンのサプリメント】 
【2人の距離】 


2 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:12:32.76 :SbCCCbYqo

「料理、ね。誰に教えてもらえばいいのかしら」 

午後のレッスンのために事務所にやってくると、千早ちゃんがため息をついていた。 

「ちーはーやーちゃん、おっはよー」 

落ち込んでいるんなら、元気づけてあげたいと思う。 
それにはまず、私が元気でないとね。 

「あら春香、おはよう」 

「どうしたの?なんだかため息ついてたみたいだけど」 

「ちょっと、プロデューサーに脅されてしまって……」 

「え!?プロデューサーさんって、この前千早ちゃんの担当になった、あの?」 

思わず聞き返す。 
いつもにこにこ優しそうなあのプロデューサーさんが、脅迫? 
でも、千早ちゃん冗談とか言わないし…… 


3 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:13:24.69 :SbCCCbYqo

「ごめんなさい、言い方が悪かったわね。私の食生活について、釘を刺されてしまったの」 

詳しい話を聞いてみると、まったくもって大した話ではなかった。 
少し過激な表現はあったけど、むしろこの問題は私も気になっていたことで。 
プロデューサーさん、ナイスです。 

「けれど、私は料理をほとんどしたことがないから、誰かに教わらないと……」 

何かに気づいたように、千早ちゃんの視線が私から動かなくなった。 
うん、何が言いたいのか、もうわかちゃった。 
でも、言っていいのかな?断られたらどうしよう?って感じにオロオロしている千早ちゃんが可愛い。 
よし、しばらく様子を見よう。 


4 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:14:01.64 :SbCCCbYqo

「あの、春香?」 

意を決して口火を切る千早ちゃん。 
そんなに不安そうな顔しなくていいのに。 

「なに?」 

「春香って、お菓子作り得意よね?」 

「そうだね、お菓子に関してなら自信あるよ」 

「それでね、相談なんだけれども……」 

駄目、その上目遣い、駄目。 

「相談?いいよ、何でも言ってみて」 

「私に、料理を教えてくれないかしら」 

ああ、なんでだろう。 
今日の千早ちゃんには少しイジワルをしてみたくなる。 

「うーん、お菓子作りと料理って、ちょっと勝手が違うからお役に立てるかなあ?」 

「え?」 

やめて、濡れた子犬のような瞳で私を見ないで。 
今までに感じたことのない良心の呵責が押し寄せる。 
これ以上は私が駄目になってしまいそう。 

「なーんて、冗談だよ、じょーだん。不肖天海春香、喜んで千早ちゃんの力になっちゃうから」 

「ありがとう、春香!!」 

ああ、笑顔がまぶしい。 
千早ちゃんごめんなさい、今の私はその笑顔を向けてもらう資格がないよ。 
よし、料理教室で罪滅ぼしをしよう。 


5 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:15:05.01 :SbCCCbYqo

―――――― 
―――― 
―― 

「ねーお母さん、料理が苦手な人でも失敗しない料理って何かなー?」 

大見得を切ってしまった手前、失敗はできない。 
使えるものは何でも使って、千早ちゃんの信頼を裏切らないようにしないと。 

それにしても、あんなに表情豊かな千早ちゃんは初めて見たかも。 
何かいいことあったのかな? 


6 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:15:58.68 :SbCCCbYqo

*************************** 


週末、千早ちゃんの家にお邪魔して料理を教えることになった。 
話を聞く限り、最低限の調理道具と調味料はあるが、材料はないらしい。 
というわけで、まずは買い出しに行くことにした。 

「ねえ春香、今日はどんな料理を教えてくれるの?」 

「うーん。色々考えたんだけど、いきなり凝った料理は無理だし、パスタとかどうかなって」 

「私にもできる?」 

「乱暴に言っちゃえば、麺を茹でて、具とソースに絡めるだけだからね。その割に工夫次第でバリエーションは豊富だし」 

お母さんおすすめの、初心者用料理がパスタだった。 
まず、よほどのことがない限り失敗することはないとのお墨付き。 
それでいて凝りだしたら奥が深い、らしい。 


7 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:16:41.15 :SbCCCbYqo

「わかったわ。何を買えばいいのかしら」 

「パスタは当然として、玉ねぎ、キノコにウィンナー。あっ、ベーコンでもいいよ。それと大葉、くらいかな」 

「キノコはどれを買うの?」 

「千早ちゃんが気になったのを適当に選んでいいよ。きっちりしたレシピがあるわけじゃないから」 

「そんないい加減でいいのかしら」 

「だいじょーぶ、自分で食べるものを作るだけなんだから。まずは料理することに慣れていかないとね」 

自分で選んだ食材で料理をするのと、用意された食材で料理するのとでは気合の入り方が違う。 
これもお母さんの弁だ。 

 
8 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:17:38.81 :SbCCCbYqo

―――――― 
―――― 
―― 

「それでは、今日はキノコの和風パスタをつくりたいとおもいまーす」 

「よろしくお願いします、天海先生」 

「先生って、そんな大したもんじゃないよ?」 

実際に作るのは千早ちゃんなわけだし。 
というわけで手順を説明する。 
 1.湯を沸かす 
 2.具材の下ごしらえ 
 3.具材を炒める 
 5.パスタを茹でる 
 6.混ぜる 

 
9 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:18:31.54 :SbCCCbYqo

「下ごしらえは何をすればいいの?」 

「キノコの石づきを取って、後は食べやすい大きさに切るだけ」 

「それならできるわ」 

「準備できたらフライパンに油をひいて、玉ねぎの色が変わるまで弱火で炒めます」 

「玉ねぎが最初なの?」 

「うん、そのあと残りを全部入れちゃう」 

「思っていた以上に大雑把なのね」 

「でしょ?あ、残りの具材と一緒にバターを加えるんだけど、焦がさないように注意してね」 

「焦がさないように、焦がさないように……」 

ちょっとくらい焦げても、それはそれでアリなんだけど。 
私の言葉を忠実に守って、真剣な表情で菜箸を操る千早ちゃん。 

「あとはしょう油をフライパンに一回しくらいと、塩コショウで味を整えたら一区切りだよ」 

 
10 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:19:35.31 :SbCCCbYqo

「春香、パスタを茹でるときに注意することは何かある?」 

「うーん、多めのお湯に塩を適量。あとは固まらないように適度にかき混ぜるくらいかな。茹で時間は袋に書いてある通りでいいよ」 

「さっきから、具体的な数値がわからない単語が多くないかしら」 

「まあまあ、その辺りはやりながら覚えていくものだから」 

レシピ通りに作ったものが自分の口に合うとは限らないから、どうしても感覚的な話になってしまう。 
そもそも、自分で作るときにそんな細かいことを考えていないし。 

「茹で上がったパスタとその茹で汁を少々、フライパンで具材と絡めたら完成!!あとはお皿に盛りつけて、大葉を散らすだけだよ」 

「思ったより簡単だったわね」 

「最初にニンニクを炒めて香りを出すと一味違ってくるんだけど、今日は省略しちゃいました」 

「まあ、最初だしできるだけ工程が少ないほうが助かるのは事実ね」 


11 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:20:24.96 :SbCCCbYqo

*************************** 


「「いただきます」」 

大皿にパスタを盛り、2人でつつきあう。 
うん、美味しい。 

「どう、千早ちゃん。自分で作った料理の味は」 

「失敗して食べられない味になることも覚悟していたのだけれど」 

「逆に、才能がないとそこまでいかないと思うな」 

「不思議ね。自分で作ったというだけで美味しく感じるわ」 

千早ちゃんの顔から笑みがこぼれる。 
私もつられて笑顔になった。 

 
12 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:21:16.50 :SbCCCbYqo

―――――― 
―――― 
―― 

「「御馳走様でした」」 

「春香、今日は本当にありがとう」 

「え?気にしないでいいよ、私も楽しかったし」 

お礼と遠慮の応酬になる予感がしたので、話題を変えてみる。 
最近気になっていたことなのでいい機会だ。 

「そういえばさ、千早ちゃん、プロデューサーさんと何かあった?」 

「どうしたの、急に」 

 
13 :◆Hnf2jpSB.k :2015/05/27(水) 00:24:00.88 :SbCCCbYqo

「最初の頃はいてもいなくても関係なし、って感じだったのに。最近の千早ちゃん、ちょっと柔らかくなってきた気がする」 

最近の千早ちゃん、普段の表情に余裕が出てきたというか。 
それに、料理を教えてと頼んできた千早ちゃんは反則級だった。 
何もないのにあんな風に変わるなんて思えないんだけど…… 

「特に何があったというわけではないのだけれど。変に気を遣わなくて済むから、かもしれないわね」 

「そうなんだ」 

なんとなくわかる気はする。 
プロデューサーさん、普段は存在感薄いのに、困ったときとか気づいたら近くにいてくれてるし。 
いつも笑顔で、安心感を与えてくれる。 

でもなんだろう。 
こんな短期間で千早ちゃんに影響を与えてしまったプロデューサーさんに、ちょっぴりジェラシーです。 
こうなったら、もっと千早ちゃんと仲良くならなくちゃ。 

「また何か作りたくなったら呼んでね。いくらでも手伝っちゃうから」 

「ええ、その時はまたお願いするわ」 

負けませんからね、プロデューサーさん。 

<了>