【SS速報VIP】みく「にゃーにゃーにゃー」
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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:48:43.20 :K6cOLVHT0

「にゃっ」

 と猫じみた声を上げて、みくは目覚めた。

「にゃーにゃーにゃー」

 あれ、おかしいな。普通に喋ろうとしたけど、言葉が出てこない。

 どうして猫語しか言えないの? 声帯が猫のそれに変わっちゃったとか?

「っにゃ、にゃにゃにゃっ。にゃにゃにゃんにゃ!(って、それどころじゃない。もう時間だ!)」

 今日は休みだけど、事務所に行かなくちゃいけないんだ。時計から目を逸らして、さっそく支度に取り掛かる。

 少し寝過ぎちゃったかな? 間に合うと良いけど……。


2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:50:55.81 :K6cOLVHT0

「にゃにゃにゃんにゃにゃにゃ!(おはようございます!)」

 と言ったつもりだけど、やっぱり日本語が出てこない。案の定、みくの意味不明な言葉を耳
にした未央チャンが、目を輝かせて近づいてくる。

「どしたの、みくにゃん」

「にゃーにゃーにゃにゃにゃ」

「さすがの私でも猫語は理解できないかな」

「にゃーにゃーにゃーっ!」

 駄目だ、ちっとも通じない。未央チャンの頭上には疑問符が浮いている。


3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:52:06.28 :K6cOLVHT0

「もしかして、みくにゃんに猫が憑りついたとか!」

「にゃにゃんにゃ!(違うにゃ!)」

「そうに違いない! 本物のみくにゃんを返せー!」

「ふにゃーッ!」

 未央チャンの機敏な指先がこちょこちょとわき腹をくすぐる。

 く、くすぐったいにゃ!

「にゃはははははっ!」


4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:53:22.85 :K6cOLVHT0

「ほらほら、ここがいいのかなー?」こちょこちょこちょ

「にゃあっ、にゃにゃにゃっにゃにゃ!(にゃあっ、ギブアップにゃ!)」

 目に涙が滲んできた頃、未央チャンは、ようやくわき腹に這わせていた指を放す。乱れた呼
吸を整えながら、これからどうしたものかと考える。

 Pチャンが来るまで事務所にはいなくちゃいけないし……。

 結論。今の状況に耐え忍ぶしかない!


5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:55:14.84 :K6cOLVHT0

「まだ抵抗するか名も無き猫よ……」

 乗り気な未央チャンは、瞳に好奇心の光を揺るがせる。間違いない、まだ何かを企んでいる
眼つきだ。

「ふしゃーっ!」

 全身の毛を逆立てるように、口から威嚇する声を上げた。その剣幕に、未央チャンはびくっ
と反応する。

「怒ってる!? ならば……」

 さっと懐から取り出したのは、猫じゃらし。未央チャンはそれを片手に、みくの許へそろり
と足を進める。

 なんでそんなモノ常備してるにゃ!

「ホントはみくにゃんと遊ぶつもりで買ったんだけど、まさか本物の猫に使うことになるとは
ね。猫キャラだけに、みくにゃんはただの猫かぶりだから。ちょっと痛いし」

 何気にディスらないで欲しいにゃ!


6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:56:26.41 :K6cOLVHT0

「食らえ化け猫!」

 未央チャンは、右手の猫じゃらしを出鱈目な動きで振り回した。ふっ、みくがそんなモノに
反応するわけ――

「ふにゃああああっ!」

 あ、あれ!? 身体が勝手に動いちゃう! みくは左右に振られる猫じゃらしを追いかけ、
本能のままに飛び掛かる。

「やっぱ猫だこれ! みくにゃんじゃない! あの子、そこまで痛くないもん!」

「にゃにゃんにゃにゃにゃにゃにゃー!(痛いとか言うなー!)」

 抗議しながらも、みくの身体は猫じゃらしを追いかけ回す。


7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:57:47.27 :K6cOLVHT0

左右にふらふら、上下にふらふら。

 ……縦横無尽に振られる猫じゃらしを、目が追いかけちゃう。それにつられて、身体も反応
する。それこそ本物の猫みたいに。

「ほい! ほい! 今度はこっちだ!」

「にゃあ! にゃあ! ふにゃあ!」

「あはは、面白い!」

「にゃああぁ……」

 指先が猫じゃらしを掠めた時の、得も言われぬゾクゾクとした刺激。ああ、堪らないにゃ!

 それに……。

 みくの目は猫じゃらしとは別に、ひらひらと揺れる未央チャンのスカートをも捉える。


8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 22:59:19.50 :K6cOLVHT0

あの中、狭くて良い感じかもしれない。

 一たびそう考えてしまうと、身体の疼きが止まらない。

 ――も、もう我慢できないにゃ!

「ふにゃあああ――ッ!」

「へ?」

 頭を低く下げ、抉り込むように未央チャンの懐へ入る。そのまま低弾道のタックルをスカート内部に
かました。


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:02:43.74 :K6cOLVHT0

「ふにゃぁ~」

「え、わああああっ!?」

 薄暗くて、少し蒸している。どことなく甘酸っぱい匂いの漂う空間に、みくは快楽に蕩けた
声を漏らす。……うーん、落ち着くにゃ。

「ちょ、そんなに動かないで……んぁっ! そ、そこ、ダメだって! 頭グリグリしないで
ぇ……っ」

 珍しく、未央チャンが困惑したような声を上げる。でも、それだけじゃにゃいような?

 そんな疑問を深めていると、何の前触れもなく事務所のドアが開かれた。ギギ、と少し軋ん
だ音が耳に届く。


10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:03:59.37 :K6cOLVHT0

「――おはよう、み……お……?」

 声の主は李衣菜ちゃん。そう呟いたきり、口を噤んでしまったようだ。

 ……というか、この状況ヤバくないかにゃ!? めっちゃ誤解してるよね! でも、みくの
顔は見えていないから、正体はばれていないはず!

「みくちゃん……みおちゃん……」

 バレてるにゃあああぁっ! なんで分かるの!? みく、一言も発してないよね!

「分かるよ、匂いで……」

 匂いで!? というかさり気なく心読まないでよ! 


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:07:12.29 :K6cOLVHT0

「二人とも、そういう関係なんだ……。みおちゃん、ずるいよ……」

「ずるい!? いや助けてよ!」

「ねえ、私のパートは? エアでかき鳴らすのはもう嫌だな……」

 李衣菜ちゃんは一体なにをエアでかき鳴らしてるの!?

「だあああ! まずみくにゃん、いい加減にスカートから出ろおおお!」

「ふにゃああああっ!」

 業を煮やした未央チャンに、無理やりスカート内から追い出されてしまった。

 みくは転びそうになるも、俊敏な身のこなしで一回転、床に着地する。


12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:07:48.94 :K6cOLVHT0

「誤解しないでね。事の発端は――」

 未央チャンが事情を語り終えると、李衣菜ちゃんは納得したように頷いた。

「なるほど、みくちゃんが猫に……」

 そうにゃ、みくは変態じゃないにゃ!

「なら、良い考えがあるよ」

「え、どんな?」

「ちょっと待ってて」


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:09:07.86 :K6cOLVHT0

 李衣菜ちゃんは事務所から出て行くと、その十分後に戻って来た。手には買い物袋が提げら
れている。

「みくちゃんが猫に憑りつかれたか、その真偽を確かめるにはこれだ!」

 そう言って袋から取り出したのは……コンビニ弁当? 李衣菜ちゃんは真顔でその蓋を開け
ると、付属の割り箸で何かを摘まみ上げた。

「うにゃっ!?(お魚!?)」

 猫キャラなのに苦手な食べ物。それを、李衣菜ちゃんはビシっと突き付ける。

「さあ食べて!」

「にゃ、うにゃ……っ」

 無理、ぜったい無理! ……のはず。だけど意思とは関係なしに、身体が引き寄せられる。
勝手に口が開き、突き出されたお魚の切れ身をぱくり。もごもごと咀嚼してしまう。


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:09:59.98 :K6cOLVHT0

「ああっ、みくにゃんがお魚を! これは、やっぱり私の想像通り……」

 そ、そんな。みくは猫じゃない! みくは、みくなんだよ!?

 ……このまま、皆に誤解され続けたら? 

 ずっと猫の言葉でしか喋れなかったら? 

 みくは、もう皆と仲良くできないの? 誰も、みくの気持ちを分かってくれないの? どこ
ろか、みくはずっと猫として……。そ、そんなの――っ!


15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:11:03.10 :K6cOLVHT0

「待って」

 そこで、李衣菜ちゃんの冷静な声が割り込んだ。

「違うよ。この子は、猫じゃない」

「え、どうして?」

「よく見て。みくちゃん、顔をしかめてる」

「あ……っ!」

 ……李衣菜ちゃん!

「どころか、薄く涙まで滲ませて……。いくら猫っぽくなっても、身体の反応は誤魔化せない
みたいだね」


16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:11:48.59 :K6cOLVHT0

「つまり……猫に憑かれたとかじゃなくて。みくにゃんに猫の本能が備わってただけ、って
こと? どうして?」

「それはたぶん……」

 李衣菜ちゃんの目が、壁に掛けられたカレンダーへ転じる。

「今日が二月二十二日。猫の日だから、だと思う」

 ……な、なるほどにゃ! よく分からないケド!


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:13:13.76 :K6cOLVHT0

「……それで、みくにゃんはどうするの? こんな調子じゃ、今日は仕事にならないだろう
し。色々と不都合も……」

「それは問題ないよ」

「にゃ?(え?)」

 先に続く台詞を、李衣菜ちゃんは赤面しながら言った。



「……今日一日だけ。私が、みくちゃんを飼うから」

「ふにゃああああああっ!?(えええええええっ!?)」




 その後、二人でにゃんにゃんした。みくの猫化は翌日あっさり解けたにゃ!

                                     
   
                                 おわり


18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/22(月) 23:18:51.17 :K6cOLVHT0

短いですが以上です。少しでも楽しんでいただければ幸いです


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