しとしと

  しとしと……

―――加蓮's room

「…………」

「…………う……」モゾ…

加蓮「……暑い」モゾモゾ

加蓮「ん……」コロリ

加蓮「……あたま、いたい……」

加蓮「……助けてぇ……」ズキズキ…


2 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:13:39.93 :asUk6so0O

加蓮「暑い……」

加蓮「痛い……」

加蓮「雨、うざっ……」

加蓮「勘弁してよ……せっかくのお休みなのに……」

加蓮「ていうか今何時――」

加蓮「……3時て。……お昼ご飯~……」グゥー…

 
3 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:15:14.09 :asUk6so0O

加蓮「……はぁ」

加蓮(……今頃なにしてるのかな。李衣菜、泰葉……)

加蓮(お仕事、上手く行ってるといいな)

加蓮(雨のせいで風邪ひかなきゃいいけど)

加蓮(傘持ってってるかな。あ、雨足強いからPさんが送ってくれてるか)

加蓮(ううん、そうでなくても最近は暑くなったり寒くなったり、体調崩しやすいし――って)

加蓮「……ふふっ。説得力なさすぎでしょ私……いたた」

 
4 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:17:31.41 :asUk6so0O

加蓮「はぁ、早く治さないとなぁ――」

こんこんっ

加蓮「あ……、お母さん?」

「――あら、起きたの? 入っても大丈夫?」

加蓮「うん、さっき。いいよ」

かちゃり

母「具合はどう?」

加蓮「さいてーさいあく」

母「ふふ、そう。お粥作ってあるけど……食べれそう?」


5 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:19:43.57 :asUk6so0O

加蓮「うん、食べる。お昼抜きはさすがにつらかったとこ」

母「なら良かった。起きれる?」

加蓮「ん、それくらいは余裕――あやっぱダメ、死にそ」クテン

母「ふざけないの」ペシ

加蓮「いっ……!? ま、まだ頭痛いのマジだからぁ……っ!」ズギンズギン…!

母「あらら、それはごめんなさいね。ちゃっちゃと起きなさい」

加蓮「うぅ、冗談なのにぃ……!」


6 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:21:51.45 :asUk6so0O

母「言って良いことと悪いことがあります」

加蓮「ぁい……ごめんなさい……」ムク…

母「……ここ? 首辺り?」サスサス

加蓮「あ……うん、ていうか全体……? 久しぶりだから分かんない」

母「そうね……。寝込むほど体調崩すなんて、もう風邪をひいたときくらいかしら?」ナデナデ

加蓮「ん……アイドルになってからはそうかも。あはは、健康優良児とはいかないね、やっぱり」


7 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:24:58.67 :asUk6so0O

母「ふふふ。ここまで頑丈になっただけ大したものよ」

加蓮「かな? まぁだいぶ鍛えられてるしねー」

母「…………。よく頑張ったわね、加蓮。……ううん、今もすごく頑張ってる」

加蓮「……そっかな」

母「ええ。アンタは私の自慢の娘」ナデナデ

加蓮「~~っ……! い、いいからお粥っ」ペシー

母「ふふっ、はいはい♪ すぐ持ってくるから」

加蓮「もう……!」

 
8 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:27:35.13 :asUk6so0O

―――

加蓮「はぐはぐはぐ」

母「いい食べっぷり……そんなにお腹空いてたの?」

加蓮「ん」モグモグ

母「お味はどうかしら」

加蓮「んっ」bグッ

母「そう」クスッ

 
9 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:29:23.43 :asUk6so0O

加蓮「……んぐ。でもやっぱりちょっと薄い……懐かしいけど」

母「お母さんも久しぶりに作ったからね……立派になってくれたおかげで」

加蓮「それはいいってば……。ごちそうさまでした」

母「はい、お粗末さまでした。うーん、全部食べたわねぇ」

加蓮「うん。……変?」

母「だって、前は半分は残してたでしょう? 残りを食べちゃうのが私の密かな楽しみだったんだけど……」

 
10 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:31:10.17 :asUk6so0O

加蓮「密かな楽しみって。私そんな残してたっけ?」

母「ええ、大抵は。まだいけそうじゃない、その様子だと」

加蓮「ポテトいけます」

母「調子に乗らないの」ポフッ

加蓮「あぅふ……っ!」ズキンズキン…!

母「でも、そうねぇ。今までは一度寝込むと2、3日はダウンしてたのに」

加蓮「い、今にもダウンしそうなんですけど……」ピクピク…

 
11 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:33:09.38 :asUk6so0O

母「それが今や半日で軽口叩けるまでになるなんて……お母さん感激」

加蓮「オフで良かったような、タイミング悪かったような……」

母「ふふ、本当は遊びに行きたかったんじゃない?」

加蓮「んーん、どっちにしろ雨だし……自主レッスン行きたかったな」

母「あら。あのめんどくさがりが自主レッスン?」

加蓮「そ、あのめんどくさがりがね。……ふたりに置いてかれたくないもん」

 
12 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:36:06.57 :asUk6so0O

母「なるほど。李衣菜ちゃんと、泰葉ちゃんか」

加蓮「うん。せめて隣にいられるようにってね。頑張らないと」

母「……ふふ」

加蓮「ん、なに?」

母「そんなふうに思えるお友だち、できたのね」

加蓮「えへへ……。李衣菜の人懐っこさと、泰葉の優しさのせいでね……いつの間にかこうなっちゃった」

 
13 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:38:57.91 :asUk6so0O

母「んふふ、なかなか良いようにイジられてるみたいねぇ?」ニヤニヤ

加蓮「あぁ、それね……。まさに今みたいなお母さんが増えた感じ」ムス

母「ふふ♪ 加蓮が人前であんなに慌てたり焦ったりなんて、今までだったらありえないわね♪」

加蓮「う、うるさいっ! あー頭に響く……!」ズキズキ

母「はいはい、加蓮ちゃんいいこいいこ♪」ナーデナーデ

加蓮「うぅ……なんでこうなったんだろほんと……」

母「ふふふ――」

母(それだけ李衣菜ちゃんと泰葉ちゃんに心を許してるってことよね……)

母(本当に……良かった。ありがとうね、お友だちになってくれて……!)

 
14 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:41:16.88 :asUk6so0O

加蓮「――う……ごめ、ほんとに頭痛ぶり返してきた……」

母「あらま。お母さんもごめんね、こんなに話しちゃって。横になんなさい」

加蓮「うん……ちょっと寝る~……」

母「夕飯は……そうね、適当に作っとくから、夜中に目が覚めたらそれ食べて」

加蓮「ん……ありがと」

母「明日は元気な姿見せなさいね?」

加蓮「任せて、今までとは違うんだから。ふふふっ」

母「ふふ。おやすみなさい」ナデ

加蓮「ん。おやすみ、お母さん……」

 
15 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:42:48.61 :asUk6so0O

かちゃり

ぱたん……

加蓮「…………んん」モゾ

加蓮「……うん」

加蓮「気合だ、北条加蓮」

加蓮「さくっと治して、また明日から頑張れ私っ。根性見せろっ」

 
16 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:45:04.64 :asUk6so0O

加蓮「……ふふ」

加蓮(気合だ根性だなんて、昔の私が聞いたらなんて言うかな。ねぇ――)

加蓮「…………」

加蓮「李衣菜……泰葉……」

加蓮「……Pさん、ちひろさん」

加蓮「…………」


加蓮「………………好きぃ」ポソリ

加蓮「…………」

加蓮「…………」


加蓮「……うぁ~……!」カァァ…

 
17 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:47:27.87 :asUk6so0O

加蓮「さ、さっさと寝よう。寝るに限る」モゾモゾ

加蓮(うわー……顔、あつっ……)

加蓮(体が弱ってると……うん、つい口走っちゃうこともあるって。うん)


加蓮(……寂しがり、だなぁ……私)

加蓮(まぁ、それでも……いっか……)ウト


加蓮(あした、は……えがお……で……)ウトウト


加蓮「…………すぅ……すぅ……」





ピンポーン

 
18 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:49:10.86 :asUk6so0O

―――

――


加蓮「……んー」モゾ…

加蓮「…………トイレ……」ムクリ

加蓮「……お。頭軽い……治った、かな?」

加蓮(ふふ、これなら明日はよゆーかなー♪)

加蓮(今は……なんだ、まだ10時か……。夕飯作っとくって言ってたし、少しだけ食べよっと)

加蓮「~♪」トテトテ

 
19 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:52:02.22 :asUk6so0O

加蓮「――あれ……?」

加蓮(リビング騒がしい……?)

がちゃり


父「――いやぁありがとね泰葉ちゃん。アイドルにお酌してもらうなんて幸せだなーえへへ」

泰葉「ふふ、全然構いませんよ。私の両親は九州ですし……こういうの、憧れてました」

加蓮「……へっ?」

 
20 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:54:08.65 :asUk6so0O

加蓮「な、え、……はっ?」

父「ん? あぁ加蓮、起きたんだね。母さんから聞いたけど具合はどうかな?」

泰葉「加蓮! 頭痛治ったの? もう、心配かけて……」

加蓮「う、うん。もう大丈夫――」

加蓮「じゃなくて! なにやってんの泰葉!? どうしてうちにいるの!? ていうかなにお父さんにお酒注いでんの!?」

泰葉「ふふ、こんばんは加蓮」ペコリ

加蓮「あ、こんばんは」ペコ

加蓮「って挨拶はどーでもいいんだってばッ!」

 
21 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:55:50.79 :asUk6so0O

父「どうどう。落ち着きなさい」

泰葉「どうどう。あと質問はひとつだけね」

加蓮「はぁ……はぁ……! じゃ、じゃあ……なんでうちにっ?」

泰葉「朝LINEくれたでしょう? いつもなら何度もメッセージ送ってくるのに……」

李衣菜「――朝のそれっきりだったからね。おかしいと思ってお仕事終わりに寄ったら案の定、ってわけ」トコトコ

加蓮「うわぁやっぱり李衣菜もいた……」

李衣菜「うわぁってひどくない? ……良かった、元気になったみたいだね。へへへ」


22 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/22(水) 23:57:57.12 :asUk6so0O

父「加蓮、お礼言いなさい。心配してお見舞いに来てくれたんだから。改めて僕からもありがとう、娘のために」

李衣菜「そんなそんな。お礼なんていいですよっ」

泰葉「勝手に押しかけて、夕飯までごちそうになっちゃいましたし……」

加蓮「お見舞いに来て人んちでご飯食べるってどうなの……」

母「――ふふ、起きたのね加蓮。治ったみたいね」スタスタ

母「それと、夕飯作るのも手伝ってもらったのよ。というかほとんど作ってくれて助かっちゃったわ♪」

泰葉「加蓮が元気になるように、と思ったので。ふふふ」

李衣菜「いつもより気合入れて作ったんだ、加蓮ママや加蓮パパにも喜んでもらえるようにっ」

加蓮「えぇ~……」


23 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:00:03.86 :hijsN4bQO

父「うーむ、加蓮も僕に手料理作ってくれないかな……」

李衣菜「教えようとはしてるんですけどねー。本人が乗り気じゃなくて」

父「そっか……。いや、李衣菜ちゃんお願いだ。なんとか粘り強く――」

李衣菜「分かりました! 私が絶対に――!」

母「私の立つ瀬がないわねー。李衣菜ちゃんほんと料理上手なんだもの」

泰葉「いえ、立つ瀬がないなんてそんなこと。加蓮の好きな味を知っているのは加蓮ママじゃないですか」

母「はっ、そうね、そうだったわ! 李衣菜ちゃんの料理スキルと私が長年培った加蓮への愛……それを合わせれば!」

泰葉「ええ、そうしたらきっと最高の料理が――♪」

母「ありがとう泰葉ちゃん――!」

わいわいがやがや

加蓮「……馴染みすぎでしょふたりとも……」


24 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:02:42.87 :hijsN4bQO

李衣菜「――あっ! そうだ忘れてたっ。加蓮、お腹空いてるでしょ?」

加蓮「う、うん。食べたいけど」

李衣菜「じゃあすぐあっためてあげるよ、待ってて!」タタッ

加蓮「はいはいありがと。ふふ、そんな急がなくてもいいのに……」

加蓮「って、私トイレに起きたんだった。ちょっと行って――」

泰葉「あ、ひとりで平気? ついてく?」

加蓮「バカにしてる? ねぇバカにしてる?」


25 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:04:03.87 :hijsN4bQO

泰葉「ふふっ、冗談なのに」

加蓮「子どもか私……んもー」

キッチン<トイレはリビング出て右だよー

加蓮「知ってる! 自分ちで迷子ってなんなの!」プンスカ


母「ふふふ♪」

父「なんだか君にからかわれてるみたいだね、加蓮」

母「そうね。でもいいじゃない、私たち以外にもあんな顔を見せるようになってくれて」

父「……ああ。そうだね」ニコ


26 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:06:22.48 :hijsN4bQO

加蓮「――で。こんな時間までいるってことは、泊まるつもりなんでしょ?」モグモグ

李衣菜「まぁね。着替えまだ置いてあったっけ?」

加蓮「うん、あるよふたりの分。なんか久しぶりだよね、うちに泊まるの」

泰葉「ふふ、いつもは私の家だものね。今日はお世話になります」

加蓮「ふっふっふ……覚悟してよね、今夜は寝かせないんだから♪」

李衣菜「…………」

泰葉「…………」

泰葉「すみません、夕飯どころかお泊りまで……」

母「いいのいいの♪ あ、お風呂入っちゃいなさいな。お仕事で疲れてるでしょう?」

李衣菜「えへへ、ありがとうございます! 一緒に入ろう泰葉~♪」

加蓮「……無視されるってつらいねお父さん」モグモグ…

父「そうやって人は大人になっていくんだよ加蓮」ポフポフ


27 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:08:31.76 :hijsN4bQO

加蓮「待ってよ、私も入る~!」

李衣菜「え、3人行ける?」

加蓮「イケるイケる、うちのお風呂広いし」

泰葉「……そうよね……。私の家なんて狭苦しくて息が詰まるよね……」ウル…

加蓮「えっ!? や、違っ、そういう意味じゃ……!」

李衣菜「あーあ。泰葉かわいそう」

加蓮「ちょ、ちょっと泰葉っ、ごめんってば――」

泰葉「というわけで加蓮はもう出禁です」シレッ

李衣菜「わー♪」

加蓮「」


28 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:10:38.73 :hijsN4bQO

加蓮「また人のことからかってぇぇええっ!!」

泰葉「ふふふっ、怒った……♪」

李衣菜「あははっ! 逃げろ泰葉~♪」

母「あんまり騒いじゃダメよ~、静かに入んなさーい」

「「「はーいっ」」」


母「……ふう。なんだか娘が増えたみたい」

父「いやぁ、賑やかで楽しいね。……楽しいついでに僕はもう一杯」

母「今日はもうダメです」ペシ

父「ちぇー」

母「……あら?」

母「いつの間にか雨止んだのね。ふふっ……」

母「明日は晴れますように。あの子たちには元気でいてもらわないと♪」


おわり

 
29 :◆5F5enKB7wjS6 :2016/06/23(木) 00:14:01.93 :hijsN4bQO

というお話だったのさ
このシリーズの加蓮がわりかしイジられやすいのは、ゼロ距離で接してくる彼女たちのせい……おかげなのかもしれない


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【SS速報VIP】李衣菜「北条加蓮の」泰葉「今日は雨だから」
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