1 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:35:52.50 :U1aQCAbc0

雪美に独自設定があるので苦手な方は注意


2 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:38:25.16 :U1aQCAbc0

――正午 某テレビ局・食堂


P「みく、雪美、お待たせ。セットの定食、適当に持ってきたぞ」トン

   メニュー
   白米・味噌汁・サンマの塩焼き・野菜サラダ・プチケーキ(チョコ)

みく「魚は苦手って言ってるでしょー!」

P「好き嫌い直さないとトップアイドルになれないぞ」

みく「そんな話聞いたことないにゃ!」

雪美「魚……いらないの……? なら、私のケーキと、交換……しよう……?」

みく「え、そんな……さすがにそれは悪いにゃ……」

雪美「チョコ、苦手だから……」

みく「……本当に、いいのかにゃ……?」

P「雪美は魚が好きだもんな。……雪美のほうが猫ちゃんアイドルとして売り出したほうがいいかな?」

みく「フニャー!! そんなことさせないにゃ!」

雪美「……ふふっ。猫ちゃんアイドル…………ならない……ならないよ?」

みく「なんでちょっと考えたにゃ!?」


3 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:39:37.26 :U1aQCAbc0

みく「大体、みくは猫ちゃんアイドルをやるために、この事務所に来たの。そこは譲らないにゃ!」

P「そういえばそうだったな」

みく「人のアイデンティティを『そういえばそうだった』とは何事にゃ!」

雪美「……ふふっ」

みく「……そういえば、雪美チャンはどうしてアイドルになったにゃ?」

雪美「それは……プロデューサーと、約束……したから……」

みく「約束って?」

雪美「秘密」

みく「……秘密にされると、気になるにゃ」

P「まあ、俺と雪美だけの秘密だからな。絶対教えないぞ」

みく「……秘密の約束を叶えるために、アイドル……なんだかロマンチックにゃ」

P「ロマンチック……ああ、そうかもな」

みく「……Pチャンがそう言うなんて、なんだかアヤシイにゃ……」


4 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:40:36.01 :U1aQCAbc0

――翌日・昼ごろ 事務所


みく「……ということがあったんだにゃ」

こずえ「ゆきみはねー……ねこだからねー」

アヤ「まあ確かに、雪美のほうが猫っぽいかもな」

みく「重要なところはそっちじゃないにゃ! 秘密の約束、気にならないにゃ!?」

こずえ「おんなはみんな、ひみつをもってるんだよー」

アヤ「どこから覚えてきたんだ、こずえ……まあ気になるっちゃ気になるけど、秘密にしていることをわざわざ探らなくても……」

ちひろ「確かに気になりますよね……」

みく「ちひろさんもかにゃ? ……ちひろさんがノってくるの、珍しいにゃ」

ちひろ「ふふ。雪美ちゃんには、前から少し気になっていることがあって……」

アヤ「ちひろさんも何かあったのか?」

ちひろ「雪美ちゃん、プロデューサーさんにだけ異様に懐いてるんですよね」

みく・アヤ「「あー」」


5 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:42:27.44 :U1aQCAbc0

アヤ「よく静かに近づいてきては、プロデューサーの膝に乗ってきてるよな」

みく「昨日も内緒話を何回もしていたにゃ」

こずえ「ゆきみがきたときねー……おてて、つないでたよー」

ちひろ「言われてみれば、最初から距離が近かったような……もしかしたら、その約束が何か関係しているのかもしれませんね……秘密の約束、ねぇ……」

こずえ「とっぷあいどるになるー」

みく「それだけじゃないはずにゃ……トップアイドルになったら、なんでも言うことを聞いてくれるとか……」

アヤ「言うことを聞く……結婚するとか?」

ちひろ「そんな、まゆちゃんみたいな……」

まゆ「呼びましたか?」

ちひろ・みく・アヤ「「「ひゃあ!?」」」

まゆ「うふ……まゆは、婚約なんて……まだ、してないですよ」

みく「まだ、って……あれは婚約の一種じゃないの……?」

まゆ「……うふふ。プロデューサーさん、鈍いから……」

アヤ「あっ……なるほど……」


6 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:44:23.19 :U1aQCAbc0

ガチャ

雪美「おはよう…………あれ、プロデューサー……いない……」

みく「あ、雪美チャン! いいところに来たにゃ!」

雪美「…………?」

こずえ「あのねー、みんなで、ゆきみのおはなし、してたのー」

雪美「私の……?」

まゆ「ひょっとして、雪美ちゃんもプロデューサーさんを狙っているんですか!?」

アヤ「話が飛躍しすぎだ!」

雪美「……どうして……そんな話に……?」

ちひろ「実は、こういう話をしていて……」


………………


雪美「……ふふっ……秘密の約束……知りたいの……?」

みく「知りたいにゃ!」

雪美「……だめ……教えない……」

みく「じゃあヒントだけ! ヒントだけでもいいから!」

雪美「ヒント……? ……えーと………………ノーヒント」

みく「ケチぃ!」

ちひろ「ヒント、思いつかなかったのね……」


7 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:47:45.81 :U1aQCAbc0

ガチャ

春菜「みなさん、おはようございます!」

ちひろ「おはようございます……あれ、なんか不思議な匂いがしますね」

雪美「……!!」

みく「どこかで嗅いだような……」

春菜「ええ、これです! マタタビです!」

アヤ「マタタビって、あの猫の好きなアレか。みくは反応しないのか?」

みく「ごろにゃ~ん……って、反応しないにゃ」

ちひろ「……あれ、雪美ちゃん、どうしたんですか? 顔が赤いような……」

雪美「……ぅぅ……」プルプル

みく「雪美チャン?」

雪美「……ごろにゃ~ん……」

みく・アヤ・まゆ・春菜「「「!!???」」」


8 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:48:57.19 :U1aQCAbc0

みく「猫キャラはみくの専売特許にゃ! って、そんな恥ずかしがってやらんでも!」

雪美「……うう……春菜……それ、しまうにゃあ……」

春菜「え!?」

アヤ「……って、雪美……なんか、尻尾みたいなの、生えてるぞ……?」

まゆ「なんだかリアルな尻尾……って、さっきは無かったような……?」

ちひろ「ひょっとして……本物……!?」

ポン

猫「んにゃあー!!!」バッ

春菜「わわっ!」

こずえ「ゆきみ、ねこにへんしんして……またたびにとびついたー」

アヤ「のんびり解説している場合か!?」


9 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:49:51.67 :U1aQCAbc0

ガチャ

P「おはよう、みんな揃ってるかー……って……」

猫「んにゃー? …………にゃー……」

P「…………え、えっと……猫でも拾ってきたか?」

ちひろ「……あの……信じられないと思いますけど……雪美ちゃんが……」

みく「雪美チャンが、猫になったにゃあー!!」

P「……え……本当か……春菜……?」

春菜「……」ゴシゴシ

P「一心不乱にメガネを拭いてる……はぁ……」

まゆ「あの、プロデューサーさん……これって……」

P「…………ああ、秘密にしていたんだがな……雪美は、猫娘なんだ」

ポン

雪美「………………見られちゃった……」


10 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:51:08.26 :U1aQCAbc0

みく「ちょっとどういうことにゃ!?」

まゆ「説明してくれませんか?」

P「……ああ。あれは、去年の年明けくらいだったかな」



~~~~~~~~~~~~~~~~


――某日夜 京都・某神社


P「帰省ついでに前から気になってた神社に来てみたけど、イメージしていたより凄いな……というか、まさかこんなキツい山だったとは……暗いし、足場も悪いし……」

グキッ

P「痛ってぇ!! ……足が……軽く捻ったか……これくらいなら……いや、降りるのも30分くらいかかるよな……」

P「電話は……うわあ……充電切れてる……」

ガサゴソ

P「……! 誰かいますか!?」

猫雪美「にゃー……」

P「……猫か」

猫雪美(この人……さっき、他の人に、水あげてた人……)

P(少し足を休めてる間、猫を可愛がるか。実家を思い出すなあ……)

P「どうしたんだー? 俺、エサも何も持ってないぞー」ナデナデ

猫雪美(なで心地、良い……猫の扱い、分かってる人間だ…………この人なら……)

猫雪美(この人なら、結婚、したい……)

猫雪美「……にゃー……」

ポン

P「あれ……猫が、女の子になった……?」

雪美「……ふふっ……ごめんね……驚かせた……?」


11 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:52:32.88 :U1aQCAbc0

P「猫娘……化け猫……? 妖怪……?」

雪美「うん……私、人間でいう……妖怪……」

P「……本当にいたんだな……それにしても、見た目は普通の可愛らしい女の子だな……」

雪美「…………褒めても、ご利益……無いよ……?」

P「え、神様なんですか?」

雪美「違う……けど、間違われたこと、ある……」

P「そうか……あの、会ってすぐで、申し訳ないんだけど……その、誰か助けを呼んでくれないかな」

雪美「…………あれ……怖がらないの……?」

P「いや、職業柄、変わった人を見ることが多くてね……ガチ霊感持ちとか、猫ちゃんアイドルとか……」

雪美「……アイドル……?」

P「ああ。アイドルのプロデューサーをやっていてね。って言っても、猫娘……って呼べばいいのかな……君には興味ないかもしれないけどね」

雪美「私、雪美……雪美って……名前で、呼んでほしい。それで、アイドル……って……?」

P「ああ、アイドルっていうのは……なんていえばいいのかな……大勢の人を注目させて、歌ったり踊ったりして、皆を楽しませる職業だ」

雪美「……大勢の人を注目…………」

P「ああ。俺はそのアイドルの面倒を見るのが仕事だ。そして、皆に見てもらえる、トップアイドルを育て上げるのが夢なんだ」

雪美「……トップアイドル…………」


12 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:53:55.06 :U1aQCAbc0

雪美「……あの……私、アイドル……やってみたい……」

P「…………え?」

雪美「私……猫娘は、たくさんの人に、認められたら……人間に、なれるの……」

P「…………そうなのか……」

P(なんか凄い事聞いてるような……)

P「アイドルをやって、大勢の人に立派な人間と認められて、猫娘から人間になりたい……で、合ってるか?」

雪美「……うん……」

P「……そんな不思議な話もあるんだな……でも、トップアイドルへの道は厳しいぞ、大丈夫か?」

雪美「……大丈夫…………相応しい人間になって……結婚、したい……」

P「……そうか。人間と結婚したいんだな。……頑張ろうな」

雪美(あれ……伝わってない……?)

雪美「……まあいいや…………約束……ね……」

P「ああ。絶対に雪美を、大勢の人に認知してもらえるトップアイドルにして、人間にしてあげるからな」

雪美「…………じゃあ、下まで、運んであげる……」スッ

P「……え?」

雪美「……私、人間より、力……あるよ……」

P「……まさか俺を持てるなんてな……頼んだ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~



雪美「……それで、私……アイドルに……なった……」

みく「まさかの動機がまゆチャンと同じにゃ!?」

まゆ「まさか、こんな所に小さなライバルがいたなんて……!」


13 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:55:11.93 :U1aQCAbc0

雪美「……でも、みんなに……バレちゃった……どうしよう…………人間に、なれない……」

P「おい泣くな雪美。まだ人間になれないって決まったわけじゃ……」

みく「……猫チャンになる手品、凄いにゃ! みくにも教えてほしいにゃ!」

雪美「……え?」

アヤ「いやー、最近疲れっぽくてな……全然手品のタネ、分からなかったぜ」

春菜「私、眼鏡が曇っていたみたいで……何があったんですか?」

まゆ「さぁ、プロデューサーさんのことを考えてたら、見逃しちゃいました」

こずえ「……ふわぁー……おもしろい、おはなしだったー」

P「そんな話があれば面白いよなー。はっはっは」

雪美「……プロデューサー……みんな……ありがとう……!」

P「はいはい。もう時間も時間だから、お仕事の打ち合わせ、行こうな」

みく「猫ちゃんトーク、楽しみだにゃ!」


14 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:57:11.26 :U1aQCAbc0

――打ち合わせ後

みく「直前に凄い話を聞いたせいで、打ち合わせが全然耳に入ってこなかったにゃ……」

P「ははは。まあちゃんとメモったし、後で読み返そうな」

みく「ありがと、Pチャン。……でも、トップアイドルになったら人間になれるって、変な話だよねー」

P「ああ、それはな、意外と当然の話なんだと思うぞ。あの時は不思議な話だと思ってたんだがな」

みく「どういうこと?」

P「みんなが人間だと思っていたら人間、ってだけさ」

みく「……そういうもんなの?」

P「ああ。もしみくが、雪美に出会ったばかりであの姿を見たら、当然、人間だと思わないだろ? でも、今は……」

みく「……今でも、あれは何かの間違いで、雪美は人間だと思っているにゃ」

P「そう。だから、そういうもんなんだよ。ああいう人間がいてもいい。みんながそう思っているから、市民権を得ているんだよ」

みく「うーん……やっぱり何か騙されているような……」

P「例えば、みくは自他共に認めるアイドルだよな?」

みく「何言ってるの? 当然だにゃ」

P「そう。誰に聞いてもアイドルと返ってくる。みんながアイドルだと思っているからな。もしこれが、まだ駆け出しの頃だと……」

みく「皆にアイドルと思われていなかったにゃ……」

P「それと一緒でな。自分が何を言っても、結局自分を決めるのは、大勢の他人なんだよ」

みく「……え、それって、自分を決めるのは自分、っていう言葉は、嘘ってこと?」

P「いいや。結局自分の振る舞いで他人にどう思われるか決まるからな。自分を決めるのは他人っていうのは、単なる結果論だ」

みく「……なるほど……」


15 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:58:09.21 :U1aQCAbc0

みく「……でも、アイドルだなんて、やっぱり回りくどいような。隠すだけでいいんじゃないの?」

P「そうなんだけどな。そこまでして人間にならなくても、って思ったけど……どうしても、"相応しい人間"になりたいらしいからな」

みく「あ、それって……」

P「ああ。結婚してみたいんだと。猫娘でも結婚に興味あるんだな」

みく(……あれ……何かズレているような……?)

P「派手な結婚式とか、一緒に長い間過ごすこととか、そういうのに憧れでもあるんだろうな」

みく「……そうじゃないと思うにゃ……」

P「? そうじゃないのか?」

雪美「…………みく…………」クイクイ

みく「……あ、雪美チャン。……えーっと、言わなくていいのかにゃ?」

雪美「耳……かして……」

みく「?」

雪美「私が……トップアイドルに、なってから……告白、するの……」コソコソ

みく「……やっぱりロマンチックだったにゃ」

雪美「それに……ちょっとニブい、プロデューサーも……好き……だから……」コソコソ

みく「あーはいはい! そんな耳元で惚気るなにゃ!」



おわり


16 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/22(金) 23:59:53.60 :U1aQCAbc0

おまけ

アヤ「しかし、猫娘って本当にいたんだな……って、あれは手品、あれは手品……」

春菜「妖怪みたいな不思議な存在、実在してたなんて……まあ私は何も見ていませんが」

こずえ「ふしぎなそんざいはねー、いがいとみじかにいるんだよー」

春菜「……そういえば、こずえちゃんだけノーリアクションだったような……」

アヤ「もしかして、最初から知ってた……?」

春菜「ひょっとして、こずえちゃんも……?」

こずえ「?」



おわり


17 :◆qTT9TbrQGQ :2019/02/23(土) 00:04:21.11 :U1aQCAbc0

ギリギリ猫の日に書きあがった、猫の日ネタでした。
夏コミに出る佐城雪美猫化合同では、もっと猫化雪美の密度が高いと思いますので、そちらもよろしくお願いします。
私も寄稿するかもしれない。今日でネタ一つ消化したけど。


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【SS速報VIP】【モバマスSS】猫な雪美
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