私の世代、最も有名なギャング映画と言えば「ゴッド・ファーザー」がまず頭に浮かびます。ゴッドファーザー1973年に公開されたこの映画で、マフィアのボス、ドン・コルレオーネを演じた名優マーロン・ブランドは、アカデミー主演男優賞を受賞しました。

ところで、「ギャング」という言葉の語源ですが、もともとは「行進」「行列」という意味のドイツ語、オランダ語です。この言葉がイギリスを中心として港湾作業で使われるうちに世界的に広がり、船内荷役作業員・沖仲仕の集団を指すようになったようです。おそらく、荷揚げでは船倉の荷物を一個ずつ取り出してかつぎ、荷下ろしもまた然り。クレーンやコンテナが登場する以前の荷役作業はすべてが人力です。DSC_0282積込その行列や行進からギャングという言葉につながったのだろうと思います。そして、現代でも海事用語として「ギャング」という言葉が使われているようで、少なくとも海運業界においては「悪党」や「暴力団」というような意味は持っていないという事です。

しかしながら、ギャングの本来の意味が歪んでしまうような実態でもありました。コンテナが海運業界に導入される以前、世界中どこの国の港も、雇用の一大供給源でした。港で荷役作業に従事する労働者は、危険ではあるが高賃金、筋肉で勝負する荒くれ者たちが多かったのです。船倉の荷物から高級酒、ラジオ、宝飾品などを抜き取ってしまう窃盗行為は日常茶飯事。殴り合いのケンカは娯楽のようなもの。従って、当時の港は一般市民や観光客などとても近づくことのできない危険地帯でした。

そこで働く労働者のほとんどは日雇いでしたから、自分たちの仕事や利益を守るために強固な集団=ギャングを形成していったということです。そして、このギャングがやがて労働組合へと発展するのですが、中には密輸などの組織的犯罪に加担する集団も存在したことから、いつしかギャング=悪党集団というような意味に変わり、世界的には悪党集団という意味だけが広まったのでしょう。

さて、ギャングがさらに組織化された労働組合は、自分たちの仕事と生活、筋肉で勝ち取った利権を守るため、あの手この手でコンテナリゼーションを阻止しようと激しく抵抗することになります。コンテナ輸送とは、それまでの物流に劇的な革命を起こす一方で、港湾労働者から多くの仕事を取り上げることだったのです。