2006年10月27日

イラク・泥沼からの脱出策はあるのか?

82c3f714.jpegイラク問題の解決は「分割統治」

 イラクが泥沼の状況に陥ってしまった。治安権をイラク当局に委譲したものの、情勢が悪化している地域では再び駐留米軍に権限を戻す方針を米国は決定した。(10月20日)

 米国ブッシュ大統領は「勝利するためには、更に米軍の増派を考えている」と記者団に語った。しかし、実際にはこれはイラク民主化への決意を示す範囲に留まると思われる。(10月26日)

 フセイン旧政権が崩壊、新憲法が国民の圧倒的支持で承認されてから25日で一年が経過した。しかし、イラクは未だに武装勢力が国土の大半を支配している。

 この武装勢力は各宗派によって組織化されており、深刻な宗教対立、民族対立の中で、まさに行き場のない混沌とした状況下にある。どう見ても米国のイラク統治は失敗である。

 そこで今回はこのイラク問題をどのように解決すべきかを論じてみたいと思う。米国がこのままイラクに深入りすればするほどに、喜ぶのは北朝鮮と共産支那(中国)、帝国ロシアである。

 私は最初から親米派ではなかった。東アジア地域における中国の台頭が目立つようになった頃から、日本は米国との同盟関係の強化、そしてそれは日本が守ってもらう立場から、共に戦う立場を確立していかなければと考えるようになりました。

 よって平成2年に起きた第一次湾岸戦争の時は、どちらかと言えば多国籍軍批判を展開していました。当時、『世界戦略放送』でもそれを主張していましたが、それを現在読み直すと意外にもその解決への糸口が見えたので、それをここで紹介させて頂きます。

 ただ、かなりの長い文章なので、その一部分だけを紹介します。

「欧米列強が思惑で線引きした、人工国家アラブの悲劇」

 イラクを始めアラブ各国の国境線はヨーロッパやアメリカの列強が勝手に引いた国境線です。イラクは「クウェートはイラクの一部である」と主張していますが、このことを考えてみたい。第一次世界大戦前、このアラビア半島はオスマントルコの領土でした。

 ドイツとオスマントルコは同盟関係にあり、イギリスはこの地域を狙っていたので、各部族を裏から支援して独立を企てました。アラブの各部族はイギリス、フランスと共にドイツとオスマントルコと戦いました。

 それは勿論勝てば独立が与えられると思っていたからです。事実裏ではそのような約束がなされていました。しかし、イギリスとフランスなどは旧オスマントルコ帝国領土の分割に取り掛かりました。

 アラブの部族への約束は全く無視されたわけです。中東地域は西欧列強と米国の植民地分割の舞台となり、なかなか国境線が確定されませんでした。

 ヨーロッパの当時の石油王・ガルベンキャンは1928年、ベルギーのオスデンにイギリス、フランス、アメリカなどの代表を呼んで、出席者全員の前で大きな中東の地図を広げ、一気に赤いクレヨンで太い線を引いた。

 そして自信満々の顔で「これでどうだ!」と言ったのです。反対する国はありませんでした。イギリスはカタール、オーマン、バーレンそしてサウジアラビアと周りの王国が自分の領地として入っていたのです。

 フランスはシリア、レバノンが入っているので、これも満足でした。アメリカですが、アメリカが既にメジャー開発に着手していたクウェートはこの赤線の中に含まれていませんでした。

 つまりクウェートはイギリスでもなく、フランスでもない。アメリカにしては都合の良い線引きだったのです。イラクのサダム・フセインが叫んでいるように、石油の権益を基に勝手に引かれた国境線でした。

 国家とは何か。その概念をもし挙げろと問われれば、我々は次のように答えます。

一つの民族

一つの宗教

一つの言語

 これらが歴史的、文化的に共有、ミックスされて一つの国家となるのです。

 そのように考えれば、これを無視した人工国家を誕生させた、その罪悪こそ責められるべき事ではないでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 もう、解決策は一つしかありません。イラクという国家の分割です。冷戦崩壊後、幻想の国家であったユーゴ連邦が、実体のある民族国家に分かれていったように、イラクもまた分割されるべきなのです。

 宗派と民族の分布を考慮して国土を分割、その宗派と民族に国家の運営を委ねるべきなのです。それしかこの泥沼からの脱出はないと思います。

 私がいつも見て勉強している米国の中東政策のブログを紹介しておきます。

苺畑より
http://scarecrowstrawberryfield.com/

グローバル・アメリカン政論
http://newglobal-america.tea-nifty.com/

ブログ・ランキング参加中! 応援よろしくお願いします!



Posted by the_radical_right at 17:39│Comments(22)この記事をクリップ!イスラム問題 
この記事へのトラックバック
日本の保守派ブロガーのなかでは日本内政情報についてのその知識の豊富さによって人気ナンバー1の極右翼評論の瀬戸弘幸さんが、なんと我がブログとアレックスさんのブログを並べてアメリカの中東政策情報の参考にしているとおっしゃってくださったので、新しく訪れた読者の...
イラク戦争には勝てるのか? 三つの段階を考える【In the Strawberry Field】at 2006年10月29日 03:50
≪我が日本は倫理を持ち、道義を見極めよ≫ 〜今年最後の経済・軍事評論二本立て〜  年の瀬だと言うのにも関わらず、あまりおめでたくない話を2つ。  『中東で大規模な戦争が起こる可能性がある』と言う事です。  元々当ブログは日本の外交とそれにまつわる国....
★日本経済危機&中東大戦争勃発【Flight to Freedom/神の国へ…】at 2006年12月30日 12:27
この記事へのコメント
瀬戸先生お疲れ様です、確かに先生のおっしゃるとおりですね。なにも、内戦までしている連中をひとつにすることはありませんね、クルド人、シーア派、スンニ派、代表者を国連に呼んで分割案を出してみればよいです、国境の線引きで多少は揉めるでしょうが、連中の望むような国家を作れるのですから、案外うまく行くような気がします。で、公の場で、お互いはもちろん他国へは干渉しない、攻め込まない等の約束をさせれば案外うまく行くような気がしますが、おそらくロシアは猛反対するでしょうね。
Posted by 場末 at 2006年10月27日 17:53
瀬戸先生
日々のご活動と努力皆感謝致しております。

イラン制裁発動され、益々米国から自衛隊のイラク際投入の打診が多くなるでしょう。北朝鮮が消滅しない限り投入せざる終えなくなるでしょう。
近々カルト連合に爆弾が落ちる噂が囁かれているようです。
Posted by 角さん at 2006年10月27日 18:30
泥沼化するイラクは現実的にはそれがベストなのでは?と思いますが何分不安定な地域ですからね、場末さんのおっしゃる通り、大国の思惑が交錯しますからね・・・。

それと、先日は拙ブログを紹介頂きありがとうございました。
今日、道人事委員会が裁決書を公開しました。

結果、朝日、北海道新聞の記事の捏造が明らかになりました。
裁決書自体もなかなか興味深いものがあります。
僕のブログにリンク貼ってあるので、よろしかったら見てみてください。
Posted by 農民 at 2006年10月27日 19:05
瀬戸先生こんばんわ。大変勉強になりました。
先生のブログは現代の手鏡ですね。
私の尊敬する坂本龍馬は勝海舟を師事したように
私は瀬戸先生を手鏡として精進したいと思いました。
Posted by 白圭 at 2006年10月27日 19:20
アメリカがイラクを攻撃したのは、アメリカの間接的な同盟国イスラエルを助けるためで、民主主義を広げることではないと思われますが、アメリカも石油資源を守るために必死なんですかね?

米中間選挙、民主党支持率、共和党を19%上回る(http://www.asyura2.com/0610/war85/msg/1122.html)

これでは日米同盟が機能しないのではないですか!?心配です(哀)
Posted by datetopic at 2006年10月27日 19:31
↑ウイルス注意
Posted by カルト調査隊 at 2006年10月27日 19:35
各民族の生活、宗教、権力闘争、恨み、石油資源が複雑に絡みあっている以上、平和的解決は、困難でしょう。国連のような、部族単位で議決権を持つような議会が作れれば良いのですが…。
アメリカは、一刻も早く手を引かないと、アメリカの国家破産などの悪夢が生じたら大変です。共和党政権の誕生は、アメリカ軍の撤退を容易にしますが、日米同盟が形骸化する可能性が怖いです。
Posted by なっとく at 2006年10月27日 19:49
瀬戸先生

本日の記事について分析力と見解は頭が下がりました。
ご活動は大変と存じますが国内外の仲間と共に影ながら応援しています。

日本はこれからです。
Posted by 匿名 at 2006年10月27日 19:53
瀬戸先生、皆様こんばんは。
瀬戸先生の毎日二回のブログ更新お疲れ様です。
さて、イラクについてですが、
今の中東はシーアとスンニに大きく二つに分かれています。しかし、一つの国に二つの大きな宗教があればよっぽど、日本やインドではない限り、紛争が起きます。
ならば、勝手に決められた国境をなくし、スンニならスンニ、シーアならシーアに変えた方がいいのではないでしょうか?
Posted by 司令長官 at 2006年10月27日 20:18
勝手に決められた国境を無くすと言うのはアフリカ大陸でも必要なことだとは思いますが、資源が関わってくると、昔の所有者VS新しい国VSそこを狙う外国企業という資源戦争が待っています。そこには嫉妬や裏切りに満ちた下克上の世界が待っているでしょう。ただ、そこは本人達に決定させる他はなく外の人間が出来る事は、資源を狙う企業や武器商人を排除することでしょう。そうなった時日本は何が出来るのか?
Posted by TOM(薩摩製) at 2006年10月27日 21:36
tom様
日本は常任理事国でない限り、どうすることも出来ないでしょう。
特に、アフリカ、中東は地下資源がたくさんあります。
しかし、日本が常任理事国に成れば何か出来るような気がします。
Posted by 司令長官 at 2006年10月27日 22:26
イラクが安定しないのは米軍の人数が少ない(フセイン倒すだけなら十分ですが)こともありますが、武装勢力に対して武器供与・もしもときの逃げ道(アメリカはイラクの外に逃げられたら追撃不能)を与えている国・組織が存在しているからではないでしょうか??
Posted by 匿名 at 2006年10月27日 22:34
瀬戸さん、お弟子さんこんにちは。

TOM(薩摩製)さんが指摘していますが、アラブ圏に限らずアフリカ諸国などでも、帝国主義の華やかなりし頃の列強諸国が齎した人工的な勢力圏の確定範囲が、今日の民族・宗派対立をを生んでいる例は枚挙に遑がありません。民族・国家の線引きは、そこに住まう人々自身に任せるが一番。瀬戸さんの仰るように、長引かせては徒に特亜を利するのみ。これ以上の被害や恨みを受けぬためにも、撤退は焦眉の急でありましょう。
(続)
Posted by 怒る小市民 at 2006年10月27日 22:51
(承前)
なれど現時点での撤退は、戦争を主導したアメリカが何ら自国の国益に寄与せぬ戦争をしたと、政権に対する国民の批判は免れず、ブッシュもさぞやジレンマに陥っていることでありましょう。11月に迫った中間選挙を控え、この選挙の結果如何で、今後のアメリカの対イラク政策は、或いは全面的な見直しが求められるやも知れません。アメリカが北朝鮮への制裁に本腰を入れてくれるよう、日本としてもイラクからの早期撤退を期待したいものです。
Posted by 怒る小市民 at 2006年10月27日 22:51
>共和党政権の誕生→民主党政権の誕生のミスでした。失礼!
戦争は、”開始”に対して”終了”が大変です。
アメリカの誤算は、天皇家の有る日本と同じ感覚でイラクを見てしまったことでしょう。
民主統一など、ありえない国に手を出してしまった。
Posted by なっとく at 2006年10月27日 23:34
各宗派ごとに独立すると、結果的に中東におけるイランの影響力を強くすることになると思います。そして、それは中東の不安定化を招くような気がします。結局、イラク国民にサダムフセインがやってきた事をアメリカがやって統治せざるを得ないのではないでしょうか。
Posted by Cosine at 2006年10月28日 00:17
Tomas fuck japan ← sayoku?is full of shit. 
Posted by カルト追跡隊 調査部 at 2006年10月28日 01:07
イラクの泥沼は当分終わりそうにありません。

米国ではチェイニー副大統領側(タカ派、強硬派)は「日本は核武装するべきではないか」と、支那が北朝鮮に対して思ったような抑止力を発揮できなかった場合、「日本が極東において脅威となる事」を想定しているように思います。ライスの極東国歴訪はその布石を行ったものと思われます。

これは米国の核の傘の中のまた小さな傘というイメージの日本ではないかと。

ブッシュ大統領の顧問であるベーカー側(国際協調主義、中道派)はイラク侵攻に関してはかねてから否定的で、泥沼の解決をする方法を模索する為、ブッシュはベーカーに「イラクにかんして私的な諮問機関を作って欲しい」と依頼し、民主党関係者らと共に超党派の「イラク研究会」(Iraq Study )を作りました。

(続く)
Posted by dandy at 2006年10月28日 02:13
(つづき)

が、しかしこれはイランと呼応するイスラム国家の取り込みが目的であるとの可能性もあり単にイラクの泥沼を解決するためとは言いきれないようです。

米国がイラクから撤退するためにはイラク情勢の安定化が不可欠でありますが、チェイニー側からすればそれらの画策によりイラク混迷を解決させようとする腹は最初から無く、イラク情勢の混迷を理由として日本に核装備を促進させ「極東米軍との運命共同体」として極東に残し、その兵力と兵器の一部を中東に投入し、イランの抑止力強化、もしくは戦闘の準備を粛々と進めているものと推測しています。
Posted by dandy at 2006年10月28日 02:13
詳しいことはよくわかりませんが、日本は石油権益を求めて争う戦争には、出来るだけ無縁であって欲しいと願います。
国内のエネルギー事情を考慮するなら、備蓄米の古米を発酵させてアルコール燃料を生成し、それをガソリンの代替燃料として使用できるような研究を推進すべきだと思います。
米が余るから減反するのではなく、余った米をどう有効利用するかということに着眼し、国を挙げて米作りの文化と伝統をもう一度見直すべきだと思います。
ニート支援の徴農も、そういうことに繋げて行けば、より意義深い事業となり得ると思います。
食糧自給率向上と地域格差の解消、そして食生活から日本文化の再生を図ることができれば、日本人は肉体的にも精神的にも和の心を取り戻すことができるのではないでしょうか?
取り止めのない文章になって申し訳ありません。
Posted by 久保 at 2006年10月28日 02:28
宮崎正弘メルマがに「イラク石油利権と中国」と題して書いてる通巻第1602号   特大号 (10月27日発行)を読むと、「中国は米国のふんどしで相撲を取る」です。世界に石油鉱区獲得に狂奔する中国だが、米国の苦戦を尻目にイラク北部のクルド自治区でも石油利権を確保した。
 スーダン、ベネズエラ、イランといった、米国が目の色をかえて警戒する重要拠点に対して中国は武器供与と交換で石油利権を片っ端から獲得してきた。
 要するに中国は世界石油市場における不安定要因、すなわち軍事のみならず経済的にも”脅威”である。ーーー全く米の近くを遊泳して餌をぱくりと巨大な人口の食欲が満たしてる状況です。


Posted by ようちゃん at 2006年10月28日 03:40
> もう、解決策は一つしかありません。イラクという国家の分割です。

旧バース党(スンニ派)、いわゆるテロリスト、シーア派、クルド人で会談を設けて、石油利権もあり、すんなりと分割で収まればいいのですが。
旧バース党が、本当のところ、治安を乱している最大で最強の団体ならば、旧バース党によるイラクの全土統一に至るまで治安の回復は無いかもしれません。
こんなことは有り得ませんが、フセイン前大統領を復活させれば、恐怖によって、治安は回復するかもしれません。
Posted by とおる at 2006年10月28日 18:31

コメントする

名前
URL
 
  絵文字