THE ANOTHER SIDE

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イギリス・ロンドン留学記

もしも英語が話せたら、一体何が変わるのか

No.62 big senior

April.08

彼の名はジョン。
ホリデーになると孫に会いたいばかりに、
イギリス南部はブライトンからやってくるMr.Unwinの父は、
いつだって豪快で返事に悩まされるお爺ちゃん。

イースターホリデーがやってきた。
と同時に、この日を待ってましたと言わんばかりに、
車をかっ飛ばして来た、巨体の爺ちゃん。
よっぽど孫と話したいのか、2人に何とか絡もうとするが、
親族と言えども年齢の壁は厚いようで空回りが続く。

ある日、彼が庭の端で寂しげに煙草を吹かしているので、
全館禁煙の我が家では肩身が狭い私も、
その寂しげの会に参加する事にした。

「ハロー!TOM!ホリデーはどこか行かないのか?」
明日、イギリス南東の教会の街・カンタベリーに行くと言ったら、
「おお!!そいつは良い考えだ!TOM!」
たぶん爺さんは、叫ばないと喋れないのだ。
行ったことはあるのか尋ねたら、
「もちろんさ!そこには歩いて行ったよ!」
おお、、カンタベリーまでは約100Km。
そんな突っ込み所 満載な一文で、どう言えばいいか悩んでいたら、
「3日掛かったよ!もちろん私がまだ若い頃な!」
なんでわざわざ、歩いて行ったのか尋ねたら、
「娘が死んだからさ!」
ええー、、なんて返せば良いんだよ、、、

無理やり話を変えようと、カンタベリーの次の日は
オックスフォードに行く予定だと言ったら、
「ほう!懐かしい!私はそこの大学に行っていたよ!ハッハッハ!」
ほんとこの爺さんは、ボケているのか本気なのか、
非常につかみ辛い、、、なので、
キッチンに行ってホストマザーに裏を取る。
「ええ、そうよ。ほら!クリスマスにお婆ちゃんが来たでしょう?
 その奥さんとはそこで知り合ったらしいわよ。うふふ、、、」
うふふじゃないって、、、

キッチンから窓越しに見える、かのオックスフォード大学卒業生。
だから、ガッハッハ!とブルブル腹を揺らし、煙を吐き出すその姿が、
壊れて煙が出ている洗濯機のように見えるはずがないのだ、、、