THE ANOTHER SIDE

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イギリス・ロンドン留学記

もしも英語が話せたら、一体何が変わるのか

No.63 opinion

April.14

韓国の男といったらみんな反日感情を持っていると
思っていたが、常にブラウンの帽子をかぶり、
小さい体で中学生にも見える韓国大学生・ヒーヤンは、
どうやらそうでもないらしい。
いつの間にか仲良くなり、酒好きの彼は、
「テストも終わったし飲みに行こうぜ。TOM。」
行き先はもちろんあそこだ。

妙にガタつく、イエッツPUBのテーブルに
ギネス、フォスターズ、カールスバーグらを置き、
いつものメンバー達の会話は、音楽について集約されていった。
「なんでみんな韓国のミュージシャンは、BOAばかり言うのだろうね。
 俺らにしてみればあんなのミュージシャンじゃないぜ。
 アジアだったら俺はX JAPANやラルクが好きだ。」
ヒーヤンは意外と辛口で物事をハッキリと言う性格。
そんな彼は、他にも尾崎豊やガンダムの曲まで聞くそうです。

そして日本と韓国の関係について、話は継承されてゆく。
「今の若い奴らや、都会の人たちは特別な感情は無いよ。
 むしろ憧れがあるくらいだし、俺は日本が大好きだぜ。本当に。
 でも爺さんや、田舎の人たちはそうは思ってないよ。」
そういえば屈託無いジサンはソウル育ち。
対して密かに反日っ気があるユンジュンは田舎育ちだ。
学校で歴史の話はやはりタブーで、
日本を本当に嫌っていそうなアジア人も一部いるので、
こうやって、こっそり話すしかない現状。
ご先祖様の荷物は重い。

やがて共通の敵であろう、朝鮮へ会話は派生されてゆく。
「日本人が良いイメージを持ってない事は知ってるよ。
 でも俺はそうは思ってないんだよ。
 俺は国境の近くで生まれたし、とにかく複雑なんだよ。」
途中で気付いたが、彼はうんざりしたような口調で語っていた。
僕らと同じようにアジアの歴史に嫌気がさしているのかもしれない。
メキシカンもたまに質問してくるが、韓国人を前にして、
この微妙な話をましてや英語でなんて。 複雑なの、、、

そういえば韓国では兵役があるはずだけど、とNOV。
「俺は免除されて行ってないよ。
 この通り体は小さいし心臓も悪いんだ。
 まあラッキーだが、良いことばかりではないさ。」
声のトーンが急激に落下したようだった。
「もし何人かの友達同士で集まるだろ。
 そうなると俺らは絶対、軍隊で何やったかの話になるんだよ。
 一人一人聞いていって俺の番になった時、
 行ってないなんて言うと、おまえは運が良かったなと言うだろう。
 でも、奴らの心は別のところにあるのさ。
 へっ!んだよ。俺らはやったのに。 ってね。」
決して取らない帽子のつばは下に45度。
ビールを一気に飲み、上に90度。
お酒を飲むと何も無かったように笑顔になるヒーヤンも、
いつしかイエッツPUBに座るようになってゆく。
帽子の下を秘めたまま、、、