THE ANOTHER SIDE

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イギリス・ロンドン留学記

もしも英語が話せたら、一体何が変わるのか

No.64 concentration

April.17

日本食が食べたかった。
最初に思いついたのはサバの塩焼きだった。

イエッツPUBで台湾・アッシュリーは日本食について語った。
「台湾でソバやスシを食べたの。美味しかったわ〜」
ロンドンでも日本食は食べれるが、高い。
貧乏な我々の贅沢は、PUBのフライドポテト。
もう限界だった。

台湾・セイラとメキシカンも誘って、やってきた店内は、
日本人で溢れかえり、店員も日本人。
絶対的な安心。確信的なメニュー内容。恐れるものは値段だけだ。
「これって美味しいの?」
アッシュリーが何かを指して言っているが、
今は、思考全てサバの塩焼きにしかあらず、適当に答える。

結局アッシュリーが選んだのはサバの味噌煮。
さすが日本通を自負する辺り、ニクイ選択だ。
セイラはブタのしょうが焼き。
台湾コンビは、おふくろ系で迎え撃つらしい。
メキシカンはカレー。
やはり本能で少しでも辛いものを求めるのだろうか。

待つ間、久々の崇高な日本料理様のために、
神経を集中させ、胃袋の受け入れを体制を整えたかったが、
こんな時に限って、セイラが割り箸の「おてもと」の字を見て、
「これってどういう意味?」
と、ややこしい質問を投げてくるので、適当に、
「near the hand」
と言って終わらす。

メキシカンも箸の練習をしているが、
思い出せないほど複雑な握りで、「アハ〜」
とか言ってるので、非常に突っ込みたくなるが、
教育は全てNOVに丸投げして、私はサバを待つ。

まず来たのはNOVのからあげ定食。
待つのは辛いだろうと思い、先に食べるように促したが、
「懐かしい!んんんめぇ〜」
という、素直な感嘆に憎悪を抑えきれなくなり、
やはり待たせればよかったと、
芯まで火が通ってなければいいのにと、
冷淡な視線を投げるが絶頂を迎えたNOVには届かない。

セコイ人間に食の神は微笑まない。
私のサバは後手後手に回され、
メキシカン、セイラの喚起の声が、底知れぬ不安へと追い込む。
ええ、、ひょっとして忘れてしまったのだろうか、、、
今、料理が来たあのお客は私よりあとじゃないのか、、、
猜疑心に駆られ、焦燥に駆られ、自制心を刈られる直前に、
サバが来た。

「この味、あまいよ!どうしてくれるのよ!TOM!」
アッシュリーが味噌煮のことで何か言っているが、
今は、目の前にある塩焼きだ。
しかし思えば、このサバを求めるばかりに、
大切な友人達を無下に扱ってしまった、、、
反省します、、、の前に、やっぱり食べると、
「懐かしい!んんんめぇ〜」
やっぱりおいしい御飯は幸せだ、、、