THE ANOTHER SIDE

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イギリス・ロンドン留学記

もしも英語が話せたら、一体何が変わるのか

No.65 unexpected

April.18

学校の建物の一階は床屋になっており、
いつも、そこそこのお客と無難な内装で、
そこにあることを忘れるくらい、可も無く不可も無いお店。
折角ロンドンにいるのだから、髪も伸びてきたし、
良い経験だと思い、行ってみることにしたのだが、
それは今までの髪型に別れを告げる事でもあった、、、

店内に入ると床屋独特の匂いが鼻を刺激し、
世界全国、床屋はそう変わらないと思いきや、
ここはイギリス。サービスが違う。
店員は挨拶もなしに、相変わらずザックザック、
客の髪を切るだけで、私は完全に放置なのだ。
手持ちぶたさとはまさにこの事で、
入り口で、無駄に頭を掻いてみたり、
時間は知っているのに時計を確認してみたり、
もうほんと、作業がほしい。

でも店内をよく見ると椅子があるので、
座って待っていれば、いずれ挙動不審なアジア人にも、
救いの声をかけてくれるのかなという微かな希望に賭け、
バッサバッサなんだか適当に切っているような店員達の後ろで、
座って待つ事にした。逃げるチャンスだったのに。

やがてマスターらしき髭ミスターから床屋椅子に呼ばれ、
「どんな髪にしたいの?」
私は学生証の写真を見せて同じ髪型にして下さいと言った。
「おお!それは良い説明だね。理解したよ!」
と言って、タオルを軽く首に巻いただけで、
もういきなりザックザック豪快に切るのだ。
首から毛がわらわら入り、服にも毛が落ちまくり、
そのうち耳までも落とされるんじゃないかという幻想に、
さい悩まされて、たまったもんではないが、
ここで動じてしまっては、
さも折角ロンドンにいるのだから、髪も伸びてきたし、
良い経験だと思い、行ってみることにした的な、
初心者だと思われるのもシャクなので、
ロンドンの床屋は相変わらずだね、、、
という諦めの境地にまで達した常連顔を作り、恐怖に耐える事にした。

、、、どうも深度が深い。やばくないか、、、
右の前髪を切った時に、その短さを理解した。
「あの、、、短いですよ!写真くらいですって!」
「おお、、、私は目が悪くてね。まあ良いと思うよ、、、
 心配するなって!これはフレンチカットだよ。な!!」

次の日、教室に行くとメキシカンは早速、私の頭を撫でて、
「アハ〜TOM!アハハ〜オオーッ!ヒュ〜!」
いや、、もっと具体的になんか言ってよ、、、
それ以来、いつにも増してニット帽子が欠かせなくなった、、、