THE ANOTHER SIDE

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イギリス・ロンドン留学記

もしも英語が話せたら、一体何が変わるのか

No.67 area

April.21

学校の前の喫煙所は出会いと別れの場所。
よくここで生徒が集まっているので、友達ができるし、
国へ帰る友人らともここでよく、さよならした。

先週、ポーランドへ帰ってしまったケイトは、
「あー、、、もうポーランドへ帰るなんて寂しいわ、、、
 TOM。最後に煙草一本ちょうだい。」
と最後まで摂取魂を貫き、元気に帰っていった。

また、ここにいると通りすがりの男らが、
「すまねえが、、、煙草一本くれねえか、、、」
と言ってくる。イギリス煙草は高価なので、私とNOVはよく、
「あ、すいません、、これ最後の一本なんです、、、」
と、口をそろえ残念そうに言うことにしている。
2人が偶然、同時に最後の一本を吸っていたという奇跡は、
僕らの中ではよく起こることになっているのだ。

今日も、煙草を嘆願する男が来たので、
NOVと奇跡を起こそうかと思いきや、
「おう!おまえ、、、久しぶりじゃないか。」
とその男はNOVに話始めた。
友人かと思いきや、あまりNOVは積極的ではない。
「ほら、、、例の女性殴った男だよ。
 一時期、同じクラスだったんだ、、、」
と、その追放されたスペイン人には分からぬよう、
日本語で教えてくれた。

ブロンズの柔らかい髪に触れている、自然な眉毛の下で、
青みがかった瞳を、二重の瞼が流れるように包み込んでいた。
目じりの下がりと小粒な小鼻は、温和な印象さえ与え、
薄い唇と、硬そうな顎に頑迷さを感じるが、
とても暴力を振るうようには見えなかった。
事件は問答無用だが、もし自分を見失わなければ、
変わらず友人らと楽しく過ごせただろう、、、

男は学校を懐かしそうに見上げた後、
喫煙所を離れ、駅の方へ歩き出した。
そしてそれ以来、二度と見ることもなかった。