学校の前の喫煙所は出会いと別れの場所。
よくここで生徒が集まっているので、友達ができるし、
国へ帰る友人らともここでよく、さよならした。
先週、ポーランドへ帰ってしまったケイトは、
「あー、、、もうポーランドへ帰るなんて寂しいわ、、、
TOM。最後に煙草一本ちょうだい。」
と最後まで摂取魂を貫き、元気に帰っていった。
また、ここにいると通りすがりの男らが、
「すまねえが、、、煙草一本くれねえか、、、」
と言ってくる。イギリス煙草は高価なので、私とNOVはよく、
「あ、すいません、、これ最後の一本なんです、、、」
と、口をそろえ残念そうに言うことにしている。
2人が偶然、同時に最後の一本を吸っていたという奇跡は、
僕らの中ではよく起こることになっているのだ。
今日も、煙草を嘆願する男が来たので、
NOVと奇跡を起こそうかと思いきや、
「おう!おまえ、、、久しぶりじゃないか。」
とその男はNOVに話始めた。
友人かと思いきや、あまりNOVは積極的ではない。
「ほら、、、例の女性殴った男だよ。
一時期、同じクラスだったんだ、、、」
と、その追放されたスペイン人には分からぬよう、
日本語で教えてくれた。
ブロンズの柔らかい髪に触れている、自然な眉毛の下で、
青みがかった瞳を、二重の瞼が流れるように包み込んでいた。
目じりの下がりと小粒な小鼻は、温和な印象さえ与え、
薄い唇と、硬そうな顎に頑迷さを感じるが、
とても暴力を振るうようには見えなかった。
事件は問答無用だが、もし自分を見失わなければ、
変わらず友人らと楽しく過ごせただろう、、、
男は学校を懐かしそうに見上げた後、
喫煙所を離れ、駅の方へ歩き出した。
そしてそれ以来、二度と見ることもなかった。