THE ANOTHER SIDE

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イギリス・ロンドン留学記

もしも英語が話せたら、一体何が変わるのか

No.69 captain

April.25

アイスランドへ一緒に旅をした、ロレ氏と
そっくりの男がロンドンへ降り立った。
彼は穏やかな紳士であり、ロレ氏の親父でもあり、
そしてまた、国際便の機長でもある。
親子そろって、とことん国際派。

PUBでアーセナルの優勝シーンでも
見に行こうかと思った昼過ぎ、
機長から私の携帯にエマージェンシーが入った。
「今夜、一緒に食事でもどうかね?」
毎日、家の食事ではない食事を食べらされている境遇を
ロレ氏が哀れんでか、ロンドン便の時は奢ってやれと
言ってくれたのだ。ありがたき、ロレ系譜。

待ち合わせ場所は、高級ホテルのロビー。
いかにも貧乏そうな私が入っていいものかどうか分からず、
2、3回、さりげない素通りを繰り返した末、意を決して、
フロントからは見え辛い椅子で、ビビリながら待っていると、
ロレ父、同僚機長、副機長、乗務員などの方たちが集まり、
学校の友人達とでは絶対行かないような、
高級タイ料理レストランに私を運んでくれた。

「何でも食べて良いからね。」
毎日10ペンス単位の戦いをしている私にとって、
そのメニューの数字の羅列は、想像を絶する物であったが、
あまり遠慮してもしかたがないので、お言葉に甘える事にした。

、、、どうもロンドンでは、食のことになると我を失う。
気付けば残らず平らげ、デザートまで頼んでしまったらしい。
ほんと、すいません、、、
ロレ父の同僚機長の一人から、
「よっぽどお腹空いていたんだな!青年。」
と心配そうに眺められ、味のあるものに飢えてましたと、
会話しつつも、デザートを食べる手は止めれない。

ちなみにこの殿方は、お酒が燃料らしく、
徐々にエンジンを上げてゆき、
「伊丹空港に行くときは甲子園が見えるんだぞ!青年。」
「ババロア持ち込んだお客さんがいて、あれはめちゃ臭かった!」
「タイに飛んだときに、蛙の油食べたぞ!凄いぞ、あれ、、、」
パイロットといったら厳格なイメージを持っていたが、
飲むときはもう普通の気さくな親父といった感じ。

それでも専門用語が飛び交い、
物理的な話もしてしまう、空飛ぶ親父達。カッコイイ。