ロンドンへ行くときは、
キャセイ航空の添乗員の英語ですらさっぱりで、
むこうも私の言っていることがさっぱりで、
飲み物を聞かれたようなので「コーヒー」と言ったら、
え?何それ?みたいな顔をされたので、
知らないのかな?いや、発音間違っているのかな、、?
やはり中国系キャセイ航空だから、
お茶を頼むべきだったのかな、、、と固まっていたら、
見かねた隣の中国人が「カフィーだよ。きっと。」
みたいなことを言ってくれたので、
ようやくコーヒーとカフィーの関連性に気付き、
その芳醇で味わい深い発音は、
中国イントネーションの英語と混ざって見事なブレンドで、
英国への香り豊かな期待と、先行きの黒い不安を
彷彿させたカフィーを、
帰りの日本行きの便でも懐かしく飲んでいるうちに、
アナウンスはまもなく成田と告げた。
窓から見える、芋虫に食われたような穴だらけの緑の大地。
ゴルフ場が多い成田は半年振り。
換金を済ますと、アイスランドを共に旅した、ロレ氏がお迎え。
そういえば、半年前のイギリスへのお見送りもロレだった。
奴はそんなにも、お見送り・お迎えマニアなのだろうか。
いや、違うか。
見送られる喜び、迎えられる安心を
旅多き彼は知っているからか。
ロレ氏の運転で東京を駆けてゆく。
東関東自動車道に流れを任せ、幕張の高層ビルの森を抜けた後、
湾岸線に突入するや否や、
お台場、羽田、つばさ橋、ベイブリッジと一気に畳み込む。
堰を切ったように首都高速・神奈川3号線は激しさを増し、
元町・中華街の上空を抜け、スタジアムの光を浴びて、
ランドマークタワーに突入し、みなとみらいを流しつつ、
JR根岸線沿いに滑り上がると、目じりで流れる物体は、
そごう、ルミネ、横浜駅、、、!
ああ、、、横浜駅、、、
見慣れた駅に、ふと感動してしまった。
、、、そうか。
今、帰ってきたんだね。