雪に変わりそうなくらい極寒の雨の下、
光が薄く反射するアスファルトに
一台の白い車が私の近くで停止した。
直感的にあの人だと決め付け、
待ち合わせ場所のバス停から、よろよろと接近して行くと
ブロンズの髪から覗く
高い鼻と深い二重を持ったホストマザーの笑顔が、
私の緊張と不安を雲の彼方へ消し去った。
「ようこそイングランドへ!」
「あなたの名前は難しいね、、、TOMで良い?」
誰それ?
右も左も分からない灰色の街を
ジェントルマン風なホストファザーの運転で抜ける間に
私の命名が完了したらしい。
自分の名前を捨て、その日から新たな生活が始った。
てなわけで今日から私はTOM。