HASSE FROBERG AND MUSICAL COMPANION(HFMC)の「Powerplay」が今年4月に、THE FLOWER KINGS(TFK)の「Banks of Eden」が6月にリリースされ、両方のバンドでフロントを勤めるHasse Frobergは昨年から非常に忙しい日々を送っていた。
2つのアルバムが無事発売された今、レコーディング時のことや、「Powerplay」について、また今後の展望などについてHasse本人が語ってくれた。

English Version
part 2
2012/7/14 emailにて

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*** ドイツで7月に行われたフェスティバルについて
Q: こんにちは。LoreleyのNight of the Prog Festivalが終わったばかりですね。HFMCはフェスのオープニングをつとめましたが、観客の反応はいかがでしたか?

Hasse: まずはじめに、天気がとても良くて、僕たちが演奏を始める時にはすでに、ステージ前にたくさんの人達が居たんだ。彼ら(主催者側)は僕たちをオープニング・アクトとして起用してくれたんだけど、そうすれば最初からお客さんが入ると読んだんだろうね。ショウが終わった後に話した人達のよると、普段は最初のバンドが演奏する時は大体300人ぐらいのオーディエンスが集まって、サウンドも酷いらしい。僕らが演奏し始めた時は1,500人〜2,000人位いて、反応は僕たちが予想していたより良かったし、観客によれば、僕たちのセットの間の音はとても良かったみたいだよ。

Q: 同じフェスの別の日に、あなたはTFKとステージに上がりました。リハーサルの日程や体調管理が難しいと思うのですが、違うバンドで連日同じステージに立つというのはどんな感じですか?

Hasse: 知っての通り、僕はステージにいるのが大好きで、今回のように、週末2回もステージに立つことができるというのは、素晴らしかったとしか言えないね。今 年、これまで、僕はHFMCとTFKのリハーサルやギグが、お互い何度かぶつかる時期に来ていて、でも、なんとかうまくやっていると思うよ。本当にうまくいくようにするための、たくさんのハードワークがあったとしてもね。少なくとも、2月の終わりから3月の始め、「Powerplay」と「Banks of Eden」両方の締め切りが迫ってきた時よりは、ずいぶんマシになったよ。あの頃は、あと一週間で「マジやばい」状態になったと思うよ。

***今年5月のアメリカツアーについて
Q: 少し前の話になりますが、あなたはHFMCとして初めてアメリカの地を踏みました。新作「Powerplay」のリリース直後でしたが、ファンの新譜への反応はどうでしたか?

Hasse: RoSfestの人達は素晴らしかったよ、僕たちは「Powerplay」ツアーの中で一番ダメな演奏をしてしまったんだけど。思い返すと、僕たちは明らかに、あのショウの前に何回かギグをやるべきだったんだな。1年以上ギグをしていなかったし、演奏した曲の大半は新曲だったからね。でもさっき言ったように、RoSfestの観客はとても良かった。フェスティバルは本当に見事なものだったよ、素晴らしいステージ、素晴らしいサウンドとライト、そして僕が会った中では最高なクルーがいてね。New JerseyとBostonでの反応もとても良かったよ。

Q: ROSfestではAGENTS OF MERCYのステージに飛び入りして、THE FLOWER KINGSの曲を演奏しました。これはいつ決めたんですか?アメリカへ旅立つ前ですか?

Hasse: アメリカに旅立つ直前にRoineからメールをもらって、そこで彼は、KjellとAntonを僕と一緒に、AOMのアンコールでステージに上げることはできないかどうか尋ねたんだ。僕たちは結局、"What If God is Alone"と"Stardust We are"をやって、まったくリハーサルしてなかったんだけど、観客にはとても好評だったよ。

Q: あなたはTFKと一緒にアメリカで何度もツアーをしていますが、HFMCの他のメンバーは、アメリカで演奏した経験はありますか?ヨーロッパとアメリカの観客の違いはありますか?

Hasse: 年齢以外はないよ。アメリカのプログレファンは、ヨーロッパのファンより少し年上だと思うな。

***新作「Powerplay」について
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Q: 「Powerplay」のレコーディングの話を聞かせて下さい。今回はPetrus Konigssonではなく、違うエンジニアを採用しました。Jouni Niemiと彼のスタジオでレコーディングすると決めた理由は?前から彼を知っていたのでしょうか?

Hasse: JouniのことはTomas (Bodin)が僕に教えてくれるまで知らなかったんだ。それは当然の選択だったよ。スタジオは僕の家から500メートル離れたところにあって、とても良いスタジオだったんだ。Tomasと彼はすでに、違うプロジェクトか、Tomasがプロデュースをしていたレコーディングで一緒に仕事をしていていたんだね。実は「Crime of the Century」のためのベーシックトラック2曲を、まさにそこで録音していて、僕はそのスタジオがすぐに大好きになってしまったのも、Big Jambo Studioを選んだ理由の一つだね。

Q: 今回はTomas Bodinを共同プロデュースとして迎えました。どのようないきさつで彼が参加することになったのでしょうか?

Hasse: 実際は、Tomasが僕にコンタクトしてきたんだよ。僕たちが「Crime of the Century」の仕事を一緒にしている間に、彼は次のHFMCのレコーディングを手助けしたいと言ったんだ。僕にとっては、それは完璧なアイデアだった よ、だって僕たちは10分しか離れていない場所に住んでいて、一緒にやってきた歴史もある。彼も、僕が音楽に対してどういう人間なのか、とてもよく知っているしね。
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Q: 「Powerplay」のベーシックトラックをレコーディングする初日に、Jouniの急病で、一日無駄になってしまいました。その後で、TFKの新作のレコーディングも決まりました。前作「Future Past」はレコーディングからリリースまで、様々な理由で長くかかりました。今回、TFKとのレコーディングとHFMCのレコーディングを同時に行いましたが、それを理由に新譜のリリースを延ばそうとは思いませんでしたか?

Hasse: まったく思わなかったよ!僕はスタジオに入る前に、すでにギグのブッキングをしていたんだ(RoSfestとNight of the Progは、他のバンド、KARMAKANIC、AOMやTFKや、他のクラブギグより前に出演契約していたんだよ)。僕にとっては、ギグのために、アルバムを時間内に仕上げることがすべてだった。もちろん、TFKのレコーディングが1月に突然始まったのは何の手助けにもならなかったよ。それはつまり、アルバムを予定通りに出すために、Tomasと僕には"うんと"やらなくてはいけないことがあるということだった。今思い返すと、あのときはまったくクレイジーだったし、正直言って、2月の終わり頃は僕の体調も良くなかった。なんとか上手くいったようだよね、「Powerplay」と「Banks of Eden」のどちらも素晴らしいレビューをもらっているのを考えると。それにセールスの方も忘れちゃいけない。「Banks of Eden」はスウェーデン、ドイツ、オランダ、そしてアメリカのビルボードでもチャートインしていて、それはスウェーデンのプログレバンドとしては悪くないよね。

Q: リリース日を守ったことで何か犠牲になった事はありましたか?

Hasse: 犠牲になったとは言わないけど、結局「Future Past」と比べると、スタジオで過ごした時間は半分になった。僕はこのレコーディングでは、より自分の「直感」に従うことに没頭していた。ミキシングの段階になって、もし曲が初めのヴァージョンで良いフィーリングを得られたら、僕はそれを受け入れて、それについてはさらに時間を使うことはしなかった。例えば、"The Final Hour"のミックスをするのに4、5ヴァージョンあって、多分20時間作業していたのに、"Waves"はミックスに数時間しかかけなかった。もちろん"The Final Hour"はたくさんのセクションがある、もっと複雑な曲だから、それがミックスに長い時間がかかった一番大きな理由なのだけど。とにかく、ファースト・テイクが充分に良いものだとわかったりするものなんだよね。もしもさらに時間をかけたとしても、"Waves"の音をどうしたら(初めのテイクより)もっと良くすることができたか僕にはわからないな。

Q: 今回のアルバムの歌詞は、以前よりダークでシリアスな物、非常にパーソナルなものがあると、あなたはブログで書いていました。しかしあなたは例外に"Venice CA"、 "Waves"と"The World Keeps Turning"をあげています。"Waves"は抽象的な風景が描写されたものですが、どんな思いが込められているのでしょうか?

Hasse: 僕にとっては、"Waves"の歌詞はまったく抽象的じゃないんだよ。2年前のアメリカ旅行で、僕たち(家族)は、Thomsson一家と一緒に、 Veniceで8日間過ごしたんだ。2、3日して、僕は夕方、カリフォルニアの素晴らしい夕日をみながら、一人で歩いていた。それは息をのむようなものだったから、僕はしばらく座って、波の音を聴きながら海を眺めていた。そこで突然、曲がやってきたんだ。メロディがあって、僕はそれにふさわしいコードもわかっていた。だから、後は覚えていられるかどうかの問題だったね。僕はホテルに帰って、歌詞を書いたんだと思う。

Q: "The World Keeps Turning"は、「Powerplay」が完成するまでの、あなたのとてもタイトなスケジュールが反映されているように思えますが?

Hasse: 多分、君は深読みしすぎたね。僕にとって、これはちょっとしたばかばかしいラブソングなんだ。とてもうぬぼれ屋の彼女がいる男についてさ。最終的に、彼はその状況に嫌気がさして、彼女を捨てて、それに伴う諸々のことと共に新しい生活を始めるんだ。
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Q: あなたはTFKと一緒に何度かアメリカを訪れていますが、"Venice CA"で、Venice地区を取り上げたのはなぜでしょうか?何か印象的な思い出があるのですか?

Hasse: "Venice CA"は"Waves"と同じようにやってきたんだ。僕はちょうどランニングで一回りしてきたので、Veniceの海岸の歩道をゆっくり歩いて、ホテルに戻るやいなや、僕の印象を書き下したんだ。ヴェトナムの退役軍人がいて、CDを売ろうとしているヒップ・ホッパーがいて、マリファナを吸っているスケーターが、ジャンプ台の隣にいた。僕にはすでにヴァースとコーラスのためのリフがあったんだけど、それに合った歌詞がなかったんだ。スウェーデンの自宅に帰って、僕はツインリードのパートと、イントロとアウトロを書いて、その曲を完成させたって感じだね。

Q: "The Final Hour"では、人の最期について歌っているように聞こえます。人々の心の揺れ動きを表すように、展開もコロコロと変わって面白い曲だと思います。歌詞では、死の向こうに、なにかとてつもないものが待っているような終わり方ですが、実際、人が死を迎えたその瞬間には何を見ると思いますか?

Hasse: 君の言う通りだね。僕はこれが、この世がすべてではなく、さらにもっとあるんだと思うよ、それがなんなのかはわからないけど。僕は伝統的な意味で宗教的ではないけれど、僕らがこの世で人生を終えた時、天国みたいなものがあるに違いないと信じてる。それと、もし君が君の人生の中でベストを尽くしたのなら、もし君がよい道徳を持って人々に親切に出来たなら、「来世」が君にとって良いものになる大きなチャンスがあるとも思っているんだ。肌の色、人種、何を信仰しているか、もし君がホモセクシャルかなんであれ、僕にとっては重要じゃない。この世で、君の人生で何をなすがが重要なんだ。

Q: "Godsong"で、サビの部分が"The Gods just made peace"と複数形になっているんですけど、キリスト教は神様は一人ですよね?その後で"Faith, Hope and love. This is my God song"と続きますが、あなたの信仰は、神そのものを信じるより、希望や愛を信じることにあるのでしょうか?

Hasse: 不思議なんだよね…僕が理解できないのは、どうして神の名の下に戦い、戦争へ行くことができるんだろう?つまり、戦争へ行くこともさることながら…神の名の下に、だよ!イスラムに対する戦争に動員をかけている「右翼キリスト教徒」が、主にアメリカにいる。西洋文明すべてを消し去りたい保守的なイスラムの人々がいる。どうしてこうなってしまったんだろう?僕にとって、宗教は愛についてであって、お互いを思いやること、困っている人を助けることだ。同じ神を持っていないから人々を殺すことじゃない。時々、テレビのニュースを見ている時、神の名の下に起きる世界中の悲劇を見ると、とてもうんざりして、無力だと感じる。僕が理解できないものはなんなのだろう?誰が君の神様は僕のより優れているとか、その逆とか言えるんだろう?

Q: 今回のアルバムでは、前作以上に歌い方に幅がありますね。あなたはHFMCの曲はまずメロディが中心にあると言っています。実際に歌を録音する時に、旋律にふさわしい歌い方を無意識に選択して、そのままバリエーションの幅に繋がっているのでしょうか?それとも「この曲は普段と違った歌い方をしてみよう」という計算がありましたか?

Hasse: 「Future Past」の時ははっきり計画していたと言えるね。今回は、僕は多かれ少なかれ、それぞれの曲にふさわしいヴォーカルを作ることだけを思って歌を歌ったよ。Tomasは僕の「しゃがれて」「乾いた」声が好きで、それは最近あまり使わないんだけど。とにかく、彼は今回はそれが正しいやり方だと僕を説得したんだ。はじめ僕は、人々がやり過ぎだとか、(今までの)路線からはずれ過ぎだと思うんじゃないか、と恐れていたけど、Tomasが正しかったようだね。僕は「Powerplay」の僕の歌い方がとても好きだという人達から、ポジティヴな反応をたくさんもらってるんだ。Roineでさえ僕にメールを送ってきて、そこでは「Powerplay」でのヴォーカルは嬉しい驚きだって書いていたし、Jonasもそれについてポジティヴなコメントをくれたよ(初めてに違いないよ、ハハハ)。個人的には、僕はこのアルバムで、ちょっと既成の枠を破りたかった、そうしたら、人々は僕やHFMCの音を当たり前にとらえないだろう。僕は曲を書くことと、僕のやり方で表現する自由が欲しいんだ。「Powerplay」がこんな感じのサウンドだけれど、次のアルバムがどういう音になるか、僕には少しもわからないし、さらに言えば、いつそれを録音するかもね。
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Q: ヴォーカルハーモニーも前作より積極的に導入されています。このバンドはライブでも全員歌えるバンドですが、それをレコードでも生かそうと思ったんでしょうか?

Hasse: そうなんだ、彼らはみんな良い声を持ってるんだよ。このアルバムで彼らの声を使うプランがあったけど、僕らはとても急いでいたし、時間がかかるだろうから、それは除外しなくてはいけなかった。できれば、次のアルバムで彼らの声を使えたら良いね。一人の男がアルバムの至る所で歌っているのは、多分「つまらなく」聞こえるだろうからさ。

Q: Uppsala Nya Tidningのアルバム評で、"Is it Ever Gonna Happen"でのあなたの歌唱は「Chris FarlowがいるAtomic Rosterの現代版」と表現していました。あなたの歌唱は、日本では時々Jon Andersonと比べられる時がありますけど、同時にChris Farlowと比べられる人は、あまりいないと思います。プログレ界隈の中で、あなたのヴォーカルスタイルはユニークだと思いますが、ご自身は自分のスタイルをどう思っていますか?

Hasse: プログレを歌うソウルかロックシンガーみたいなものかなぁ。不思議なんだけど、僕がTFKでYESの"Soon"を歌った時は、人々は僕がまるでJon Andersonみたいだと言っていた。僕が昔、BARRELHOUSE(ZEPPELINのトリビュートバンドだよ)のライブで演奏していた時は、みんな僕がRobert Plantみたいだと思っていた。実際、みんな間違ってると思うよ。そういう「環境」で、YESやLED ZEPPELINの曲を演奏している中では、人は自分の印象をそう強めてしまうんだと思う。僕はこれらの曲をオリジナルのキーで歌えるし、バンドがオリジナルにとても近く演奏しているから、それは僕がJonやRobertみたいだと言うのに充分接近しているんだ。もし演奏を取り払って、僕の声だけを聞いたら、「ただ」Hasseのように聞こえるだろうね。言ってることわかるかな?

(Part2に続く)

Interview: The Flower Kings Fanclub Japan
Translation: Momo, T-Max, Yayoi, Izumi
Photos by: Momo (ライヴ写真は2012/06/08 Sweden Rock Festivalでのもの)