今年(2015年)2月に3枚目となるアルバム「HFMC」をリリースした、ハッセ・フレベリ・アンド・ミュージカル・コンパニオン(HFMC)のハッセ・フレベリ。4月にフラワー・キングスで来日した事も記憶に新しいが、今年はHFMCでの活動がメインで、ツアーも行っており、相変わらず忙しい毎日を送っている。そんな彼を直撃してみた。

メールにて、2015年7月6日〜9日


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Q: ニューアルバム「HFMC」が出て3ヶ月経ちましたが、評判はどうですか?

Hasse Fröberg(以下H): 想像以上だよ! メディアに関しては、僕らはいつもラッキーだった。でも今回は、HFMCのサイトから気がついたんだけど、本当にリスナーの心の奥底に届くことができたみたいだ。


Q: アルバムが出てから何度かライブをやりましたね。観客の反応は?ライブで「HFMC」の曲をやってみてどう思いましたか?


H: 今までやったショウへの反応はとても良いね。実際、演奏も以前より良かったと思うからそのせいもあるだろうし、もちろん新曲が良かったのかもしれない。ショウの選曲をするのに3枚のアルバムがあるのは、すごく良い気分だよ。新譜からの曲は、前のアルバムの曲よりもライヴで演奏するのがちょっと大変なんだけど、新曲ができる限り良く聴こえるようにかなり努力したし、目標に近づきつつあると思うんだ。


Q: 最近Don Dokkenのインタビューをネットで読みました。彼はライブが始まる前は誰とも話さず、少なくとも1時間は、スチームで満たされたバスルームでウォームアップをするそうです。あなたはライブ前はどんな準備をしていますか?

H: 僕はステージに出る前に10分から15分、ちょっと声のエクササイズをするよ。それに、するべきことに集中する。今から出るステージで自分がうまく歌い、良いパフォーマンスをしているのを想像するようにしている。この儀式は主に、観客が5,000人いようが5人だろうが、ベストを尽くすことを思い出す為にしているんだ。


Q: さて、話は過去に戻ります。2013年の8月に「HFMC」のレコーディングは始まりました。今回のレコーディングと、今までのレコーディングと違うところは何でしたか?

H: 最大の違いは、実はプリ・プロダクションだったね。今回僕はテンポとダイナミックスに非常にこだわりを持っていて、その結果Big Jambo Studioに入る前の数週間、僕とドラマーのOla Strandbergはすべてがきちんといくように、たくさん作業をしたんだ。このレコーディング前に費やした時間が、本当に変化をもたらしたと思うよ。今日「HFMC」を聴いても、テンポやいくつかの曲をプレイした時のパワーを変えたいとは思わない。でも「Future Past」と「Powerplay」は、そうはいかないんだ。この2枚には、もうちょっとテンポを上げればよかったと思う曲が何曲かあるんだよね。


Q: 「HFMC」は前二作に比べると、HR/AOR色が後退して、Prog/Sympho色が強くなりました。曲を作っているうちにそうなったのでしょうか?

H: うーん、この意見に同意できるかはわからないなぁ。”Something Worth Dying for”は僕らがレコーディングした中で最もヘヴィな曲だと思うし、”Can’t Stop the Clock”と”Someone Else's Fault”にはとてもハードロック・メタル寄りのパートがあると思う。確かに曲にもっとシンフォニックなフィーリングのパートがあるという点では、君は正しいけどね。僕には、このアルバムは前2作と比べて、いろいろな物がもうちょっとずつあると聴こえるよ。


Q:「HFMC」では、よりバンドとしてのレベルが上がったと思いますが、あなたから見て、それぞれのメンバーの成長や役割をどう見ていますか(あなた自身も含めて)?

H: ありがとう! まず第一に、僕らの演奏はアンサンブル的には進歩したと思う。アルバムでの僕自身のパートに関しては、ベストなものの一つだと思う。驚いたことに、このアルバムでは(”Genius”で)ギター・ソロまで弾いているんだからね。ハハハ。僕自身がバンドの一部だから、他のメンバーが今まで以上に良かったかどうか言うのはとても難しいな。でも一つ確かなのは、今までで最高に活力のあるサウンドだっていうことだ。

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Q: アルバム全体的に、曲間が短いか、曲が繋がるように編集されています。どういう意図がありましたか?

H: ある種の流れを作りたかったんだ。この作品はそうではないけど、コンセプト・アルバムを聴いているような感じのね。信じるかどうかはともかく、”Pages”の終わりと”Genius”の最初を繋げるプランは曲を書いた時にもうあったし、”In the Warmth of the Evening”と”Something Worth Dying for”もそうだ。

Q: Jesse Lobodaの作品をカヴァーアートに選びました。前2作とまったく違うテイストですね。彼を起用した理由を教えて下さい。

H: 「HFMC」を、「Future Past」と「Powerplay」とは音楽的にもビジュアル的にも、違った感じにしたかったんだ。この質問への一番簡単な答えは、何か新しいことをする時だった、だな。

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Q: あなたはこのアルバムはコンセプトアルバムだとは言っていません。しかし「時の流れ」を扱った曲が多く、カヴァーには大きな時計が描かれています。すべて偶然なのでしょうか?

H: アルバム・カヴァーに関しては、何が欲しいのかとてもはっきりしたアイディアがあった。年をとった男と、子供と時計だ。それをJesseに言って、そこから始まったんだ。レイアウトの面で、Jesseは良い仕事をしたと思うよ。特にロゴはファンタスティックだね!もう一度言うけど、これはコンセプト・アルバムではない。もしコンセプト・アルバムを作るなら、注意深く計画しないといけないと思うんだ。僕は何も計画しなくて、後で歌詞の多くは自分や自分の人生、そして時間一般についてに関係していると気がついたんだ。


Q: 子供と大人(おそらく高齢の男性)が描かれていますが、彼らはそれぞれ何を象徴しているのですか?

H: 彼らは時間を表し、そして時計は人生で行なわなければいけない選択を象徴しているんだ。


Q:「HFMC」の歌詞について伺いたいと思います。"Can't Stop the Clock"の歌詞を初めて読んだときは驚きました。SPELLBOUNDとSOLID BLUEの時代のことを、ダイレクトに描写していますね。あなたがこのような歌詞を書くのを、(少なくともHFMCの曲では)見たことがありません。書くのに躊躇しませんでしたか?

H: そうだね、”Can’t Stop the Clock”はとてもダイレクトで、確かにあまり見ないね。以前にも何度もあったけど、まずコーラスとタイトルが頭にあって、でも曲が何についてになるのか全くわからなかったんだ。それが突然、”only just twenty”というラインが頭にこびりついて、安っぽいかもしれないけど、ミュージシャンとしての自分の短い履歴書を書くのはどうだろうと思いはじめたんだ。今アルバムはリリースされてしばらくたって、音楽と歌詞がかなりユニークだというのがわかったし、そうできたことを誇らしく思っているよ。
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Q: あなたは自身のFacebookでこの曲についてテキストを書きました。その中には"middle age crisis"についても書いていました。音楽を作ることに意義を感じなくなった瞬間があったようですが、何かきっかけがあったのですか?

H: まず始めに、皆良い時も悪い時もあると思う。このケースに関しては、母が急に亡くなるまで、どれだけのエネルギーが費やされていたのかわかっていなかったんだ。レコーディングのまっただ中で、それが急に自分に押し寄せてきて、僕は完全に疲れ果て、何も面白くないし、何も良く聞こえないという気分になった。それで、立ち直る為にしばらくの間のんびりすることにしたんだ。僕は何があっても前進し続けるタイプの人間なのに、その時は本当に考える時間、壁に激しく打ち当たってしまうのを避けるようにする為の時間が必要だったっていう事さ。今は僕はまた力強く感じているし、秋のツアーを本当に楽しみにしているんだ。


Q: 最終的にあなたの心が音楽に戻ってきて安心しました。(Back on the road again, it's more fun than it's ever been)今でも同じように思っていますか?

H: うん、思っているよ。


Q: "Everything can Change"は過去のしがらみや恐怖から、自分を解放させることを唄っていると思いますが、合ってますか?

H: この曲ですら、過去を振り返ったところから始まったんだ。子供の頃、暑い夏の日に友達が休暇か何かでいなくて、僕一人で自転車に乗っていたのを考えていた。これが”Everything Can Change”の歌詞を書くプロセスの始まりだったよ。これを書いた時、何を言いたいかとてもはっきりしたビジョンがあったのを覚えているけど、今これを聴くと、サイケデリックで意味不明な言葉がたくさんあるようにも思う。曲のコアで魂的な部分は、すべては変化することができるのだから、何事も当然だと思えないということだ。


Q: "Nothing is static..."の一文は、日本の「諸行無常」を思わせます。あらゆる物事は常に変化し続ける、という考え方です。スウェーデンにも似たような思想があるのですか?

H: 申し訳ないけど、仏教についてはよく知らないんだ。でも君の言っていることは正しいよ。良きにつけ悪しきにつけ、物事は変化していくし、僕らは皆消耗品でもあるということだ。KISSを見てごらんよ。なんと、GeneとPaulでさえ誰かに交代されることを話しているんだぜ?


Q: 今回、Ola Strandbergが"Pages"を持って来ました。ドラマティックな展開を持つ曲で、アルバムの山場の一つになりました。初めてこの曲を聴いたときは時はどう思いましたか?

H: Olaは僕にいくつかのアイディアを見せてくれたんだけど、あれはすぐに僕の心を掴んだね。他のパート全部もそうだったけど、コーラスでもあるイントロとリフに、はっきりとものすごいポテンシャルを聴くことができたよ。彼が曲を聴かせてくれた時、歌詞とメロディは何一つなかった、少なくとも、そういえるものではなかったな。歌詞とメロディを書き始めるのに、あのハーモニーとコード進行は十分すぎるほどだったよ。


Q: あなたは"Pages"の歌詞を、制作中に書き換えていますね。初めはどんな詞がつけられていたのですか?

H: 覚えていないんだけど、完全に違っていたよ。


Q: 変えようと思ったのはいつごろですか?なぜですか?

H: このアルバムで聴けるバージョンは、僕の母の晩年に100%関連している。君がいうようにこれはとても生々しく、とてもダイレクトだけど、僕にとっては美しさもあるんだ。


Q: "Pages"では、この世を去った人への揺れる思いが書かれています。私はとても生々しいと思いました。前作「Powerplay」の"The Final Hour"では、人の死と死後の世界を歌いました。今読むと、この歌詞は宗教の授業を聞いているように思えます。現在の"Pages"の歌詞を書くのは辛くなかったですか?それとも書かずにはいられなかったのでしょうか?

H: 今までで一番沢山歌詞を書いた曲だと思う。最終的には、トピックを考えてみれば、スムーズにいった感じだけどね。曲の中で僕が言っているのは全部起こったことだ。だからその音楽を作ろうとしなくちゃいけなくて、それはいつも簡単にいく訳じゃない。今回僕はラッキーだったよ。曲のAパートのヴァースは4分の9拍子だけどね。


Q: ライブで"Pages"を演奏するとき、Olaがドラムキットから出てきて、ギターを弾きながら唄うシーンがありました。逆にあなたはこの曲はギターを持たずに歌いました。とても面白い演出だと思いました。ライブではこう演奏しようと、レコーディングの時から決めていたんですか?それともリハーサルでの試行錯誤の末に?

H: アルバムを見れば、このアルバムで僕がこの曲ではギターを全然弾いていないのがわかるだろ? 僕らは1曲で、僕をまたハンドフリーのシンガーにしようって決めたんだ。君が言うようにビジュアル的に面白いし、長いことやりたかったことだった。実際、ギターをぶら下げていないと良いシンガーになるよ(少なくとも僕はね)。それから、Olaが前に出て歌ったりギターを弾くのはクールだとも思ったんだ。


Q: あなたとOlaが共に歌ったのは、"Died a little with you day by day..."のパラグラフです。このパートをCall and responseにするというのはOlaのアイデアでした。歌詞については、Olaからのインプットはありましたか?

H: 僕はあの曲の歌詞全体を書いたと思っていたんだけど、そんな時にOlaがヴォーカルで僕に答えるというアイディアを見せてくれたんだ。彼がいくつか言葉を書いていたこともわかり、それが完璧に合ったんだ。実際、その言葉を何も変えなかったと思うよ。だから、君が言っている曲の部分の、Olaが歌っている部分は、彼がフレーズを書いたんだ。

#2へ続く

Interview & Translation: The Flower Kings Fanclub Japan
Photos: Momo
画餅 http://spellboundjp.blog82.fc2.com/


★2015年5月9日 スウェーデン、ウプサラ公演でのライヴ写真

ウーラ・ストランドベリ
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アントン・リンドショー
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トマス・トムソン
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アントンとシェル・ハラルドソン
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当日(2015/5/9)のセットリスト
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