2013年 アメリカ映画
 
とにかくヤバすぎる規格外実録映画

 あらすじ……ウォール街で株屋として働く男、ジョーダン・ベルフォートは勤め先の投資銀行社長のハンナから儲けるための極意を教わり、26歳で証券会社を設立する。ところが、ジョーダンは半ば詐欺めいた形で顧客の金をクズ株に投資させて儲けるという悪質極まりない会社だった。ジョーダンの会社はたちまち大企業に成長、もはやコントロール不能なまでの財を手にいれ、FBIにマークされたりトップモデルと浮気したり離婚を経験したりとやりたい放題人生を楽しむジョーダンだったが、やがて彼の帝国に崩壊の足音が忍び寄っていく……

 ウォール街の狼と呼ばれた実在する株屋ジョーダン・ベルフォートの自伝をマーティン・スコセッシが映像化した脅威の実録映画。確かに脚色されている部分もあったりするし、事実無根な話もあるそうだが、ジョーダン・ベルフォートという実在した怪物の生き様をディカプリオとのタッグを通して描く痛快ピカレスクロマンコメディだ。どんなジャンルだよ、と思ってしまうような括りだが、実際見てもらえばわかるとおり凄まじくその通りの映画なのだ。
Wolf_of_Wall_01
 (画像上 デカプリオ演じるジョーダン・ベルフォート、まだ存命人物です)
 3時間近い尺がありながら、ストーリーは「悪どい方法で儲けて大金持ちになったけれど、結局逮捕されて全部失っちゃった☆」という実にシンプルなもの。だが、その栄光と破滅までの道のりが3時間ノンストップの暴走で続くという凄まじさがこの映画のキモであり魅力のひとつである。庶民から見た金持ちのイメージを根底から覆すような笑ってしまうような豪勢さ、そして悪事で財を築いた代償の支払いがジョーダンの実録ケタ外れエピソードと同時進行で続いていく爽快さが素晴らしい。ただまあ実際の被害者たる金をこいつらに巻き上げられた人々の姿は出てこない。それが逆に映画の雰囲気を個性的な物にしている感じもあるが。
Wolf_of_Wall_03
(画像上 デカプリオの演説シーンが多い。演説映画か)
 主人公ジョーダンはよく喋る口と頭脳を武器にウォール街で証券会社を設立していくのだが、そこらへんはピカレスクロマンを体言するような感じである。ダーティーな手段も厭わず、部下たちに演説して士気を鼓舞させるリーダーシップや、窮地を乗り越える機転の利き方で会社を成長させてウォール街を凱旋する様はまさに最高の成り上がりストーリーだ。だが、それと同時に莫大な富という、ある主の麻薬のような物に取り付かれたジョーダンの破滅劇がもはや何らかのコントにしか見えないほど最高である。そりゃそうだよな、これが因果応報ってもんだよねという説教がどこからか聞こえてくるレベルで。
 Wolf_of_Wall_02
(画像上 金持ちどのアホな豪遊三昧!不思議と見ていて遠慮します感がすごい)
 そういった破滅劇と同時進行で続いていくジョーダンとその仲間たちの金持ち豪遊三昧がこれまた凄まじく、コメディ調に拍車をかけていくのが凄い。会社の慰問企画にワケのわからん量の金を使う、ラリった挙句高級外車をボコボコにする、豪華な自家用クルーザーを調子乗って沈没させたり、豪邸や高級ホテルでパーティーをすれば部下共々売春婦を交えて大乱交!日本のバブル期でも見なかったような浮かれぶりを披露するジョーダン一味のノリが「ケッ、これだから金持ちは」という妬みをすっ飛ばして「うわー、こいつらしょうがねーわー」という半ば呆れと笑いが混合した領域まで誘うのが素晴らしく魅力的だ。
Wolf_of_Wall_04
(画像上 ジョナ・ヒルが思いのほかぶっ壊れた役をやってるのがすごい)
 キャスティングもよい。ディカプリオが女のケツからコカインを吸うシーンなどアホ場面を体当たり演技で披露してまでジョーダン・ベルフォートという男を演じているし、彼の相棒にして全てを台無しにした男ドニー役には売れっ子のジョナ・ヒルが参戦、日に二回オナニーしろと力説し胸を叩く社長にマシュー・マコノヒー、ジョーダンの破滅に関わる元モデルの妻にマーゴット・ロビーなどキャストの仕事がとにかく光るの何の。キャラクターたちの生き生きとしたやり取りやFワードまみれになりながら高血圧に物語を回していく様は必見である。
Wolf_of_Wall_05
(画像上 胸を叩いてオスカーを貰った真の勝者マコノヒー)
 とにかく下品、とにかく規格外のピカレスクロマンコメディであるが、この下劣な嵐が合わない人には勧めづらい映画だし、何よりもみんなヤリまくりのファックしまくり言いまくりなのでR-18指定という敷居の高さがネックではある。だが映画に流れる「どうだ、こうやってのし上がるんだぜ!」という成功に燃える連中の意地は奮い立つし、巨匠スコセッシが「70超えてもまだまだやるぜぇぇぇ!」と奮い立ったかのようなエネルギッシュさが心地よい、頭のイカれた作品である。オススメだ。