2014年 アメリカ映画
 
ひどい映画(直球)

 あらすじ……パイロットのレイが操縦する旅客機はNYからロンドンに向けてのフライトに飛び立つ。同時刻、レイの娘であるクローイは父の誕生日祝いに母と弟の元へと訪れていた。しかし、ある瞬間、一瞬にして身近にいた人々が衣服や身につけていた物だけを残して消失する異常事態が発生する。地上のありとあらゆる場所で発生する異常事態に世界はパニックに陥る。家族を探して奔走するクローイ、そして絶体絶命の状況下でレイは何とか帰還を試みるが……

 お、面白そうなニコラス・ケイジ主演の航空パニック映画あるやんけ、と見た映画だったが、あまりにも酷い映画だった。原作は小説シリーズの一作目であり、アメリカではそれなりにヒットを飛ばしたようだ。ちなみに原作の二度目の映画化であり、先に「人間消失」というタイトルで日本公開もされている。
 映画の題材はキリスト教におけるヨハネの黙示録を題材にしている。ザックリと説明すると「何か地球に大変な事がおきて人類が大変な事になってその後に神が来るんですよ」という話で、いわゆる最後の審判の日というヤツである。その話の一番最初の部分に「信仰深い人は神の手によって携挙(神によって救われて現世から消えてしまう)される」って奴があり、今作はその最初の部分が実現しちゃってさあ大変という話だ。仏教徒なのでいまいち話がよく解らんが、「ディス・イズ・ジ・エンド」からコメディ要素を全抜きした映画だと思えばピンと来ない人も判り易いはず。
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(ある日突然人間が消失!大変ですぜこりゃ) 
 人間が消えてしまった、さあ大変!という黙示録パニックと、燃料切れそうだしトラブル起こってるしもう墜落しそう、という航空機パニックが両方進行するのだが、何かしらパニックが起こっている部分以外は正直言ってあまり見る価値はない。前情報なしで見てしまえば「は?ヨハネ黙示録?何それ、何でその一言でこの人間消失の謎を片付けてんの」という話になるだろうし、脚本もかなりスローテンポかつ支離滅裂で正味、見ていて全く面白くない。
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 (街中がパニック!なのだが物凄くパニックがショボい)
 題材もかなり宗教的で人をかなり選ぶし、個人的には「子供が一気にいなくなるとか神様酷すぎだろ」とか「この世界のキリスト教以外の人たちは蚊帳の外なんだろうか……」みたいな突っ込みが頭の中でグルグルしていていまいち題材的にも乗れない。登場人物たちが、何が起きたの私怖いわだの信仰だの宗教だの神を信じる信じないなどの論争を始める度に「ああもうパニックやスペクタクルを映せよ!エメリッヒならこの間に地球を5回はメチャクチャに出来るぞ!」とか思ってしかたない。そりゃそうだ、宗教映画だし。
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(ニコラス・ケイジ仕事選べよという気持ちしか沸かない)
 そのせいでせっかくのパニック描写が薄れて映画としての面白さはかなりスケールダウンしている。無人の車や飛行機が突っ込んできたりする、パニックによる民衆が暴徒化する、略奪や暴動が……という部分で映画が盛り上がるし、宗教感ある題材に乗れない人にはそこが唯一の見所になるのだろうけど、比較的アッサリと流されるし映画のほとんどは機内で人が争ってるかどっかのアメリカの町中で女が「家族消えたー、家族消えたー」と悲観にくれる絵しか無いので見所も実に薄い。
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(映画のほとんどは会話か言い争いのどちらか)
 で、本当にこの宗教的な話が苦痛で仕方ない。好きな人には好きなんだろうけど、おそらく大抵の人はこれが飛行機パニック映画だと思って見ているから関係ない道筋や登場人物たちの説教臭い会話が退屈さをバリバリ助長させている。飲み会の席で隣のやつから延々と聞きたくもない話を聞かされてウンザリするアレに似ている。あの感覚が死ぬほど嫌いなんですよ、という人は作品に触れない方が吉かもしれない。
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(コン・エアーの方が数億倍良いというクライマックス)
 ヨハネの黙示録とか世紀末世界に興味がある、とか、宗教的な終末論に興味があるという人なら楽しめるかもしれないが「面白いパニック映画」的なのを期待すると99%は裏切られるであろう作品である。続編の製作が決定しているそうだが、ぶっちゃけ作ってほしくねえなあ……