1970年 アメリカ

いまだに邦題の「ザップ」がわからん

 あらすじ……平和で小さな田舎町に「サタンの息子たち」と称する邪悪なヒッピー軍団が押し寄せる。無論、平和ボケしている田舎町の住人はヒッピー軍団の悪行に戦々恐々とする毎日を過ごしていた。そんな中、1人の少年がパイの中に狂犬病にかかった犬の血を注射し、腹いせにヒッピー軍団にそれを与える。パイを食べたヒッピー軍団は狂犬病に感染するが、正気を完全に失ったヒッピー軍団は処刑軍団と化し、感染を拡大させ殺し合いを始めてしまった!田舎町が壊滅の危機に瀕する中、僅かな生存者は町から脱出しようと奮闘するが……

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(身も蓋もないタイトル)
 1970年代のホラー映画の中でもカルト的な人気(?)と脱力的な内容を誇る映画を挙げるなら「処刑軍団ザップ」はかなり上位に食い込む映画だろう。原題の「I DRINK YOUR BLOOD(訳 おめぇの血飲んだるわ)」というインパクトや女の人が切り落とした人の手首を持って呆然としている印象的なメインビジュアル。そして謎の邦題「処刑 軍団 ザ ッ プ 」という語感の良さなど、未見の人には非常にそそるものがある作品であるが、実際に蓋を空けるとこれまでにない脱力感を味わうこと請け合いだ。
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(嫌がらせに狂犬病パイを配るガキ、なんてことをしてくれたんや) 
 ざっくりとストーリーを説明すると狂犬病患者の襲撃と生存者のサバイバルが主だった内容なのだが、狂犬病の描かれ方が狂犬病に詳しくない素人でも「いやこれ何か違うやろ……」という感じなのがすごい。感染した人間は目がイッちゃって特殊メイクとか殆どなしに口の周りに泡を吹きつけたり口から泡を垂れ流しながらとりあえず凶暴化して襲い掛かるというアバウトすぎる状態。なおかつ、弱点が「水」なので、川の水やホースの水をピチャピチャと掛けられると「うひゃー」という感じで退散したり苦しんだりするのである。確かに狂犬病の症状をなぞっている箇所はあるが、明らかに何かが違う感じがするし、実際の病気を冒涜的に描いているような気がしてならない。
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(チープな生首と口の泡メイクが哀愁を誘う処刑軍団) 
 とまあ狂犬病軍団もといヒッピー軍団が暴れまくり感染を拡大させるわけだが、アメリカの長閑な田舎町を舞台に何か見るからに頭のおかしそうな人たちが徘徊している絵が緊迫していいのかよくわからない感じになっている上に、ゴア描写のバイオレンス描写はあまりにもソフトだったりぼかされていたりでいまいちインパクトに欠ける、生首が一応出てくるが出来に関してはお察しくださいという感じであるし。音楽なのかSEなのかよくわからない、シンセ特盛りな「キュウィンキュウィンキュウィン」と鳴り続けるショッキングシーンのテーマなど別の意味で衝撃的な場面が連続する。
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(最終兵器は水!!ただの水遊びにしか見えない) 
 ストーリーもあってないようなもので、「ヒッピー連中どげんかせんといかんわ」「狂犬病患者が暴れてるけどどうすんべ俺たち」という内容だけで88分持たせるという力技を披露している。カルト映画として評価されるのも納得の作品だろう。もちろん、ものすごいコアな人でないと楽しめないどころかクソな映画なのだが……