2016年 アメリカ
 
要約 アメリカはテロに屈しない

 あらすじ……イギリスの首相急逝の知らせを受け、葬儀に参列するため世界各国の首脳がロンドンへと集結する。アメリカ大統領のアッシャーも参加が決まり、妻の出産を控えたシークレットサービスのバニングは大統領警護のため、退職前最後の仕事としてイギリスへ向かう。だが、葬儀の最中に大規模なテロ攻撃が発生、世界各国の首脳が次々にテロ攻撃で命を落としていく。この攻撃の影には、かつて西側の暗殺作戦で家族を失った武器商人、バルカウィが関与していた。辛くも攻撃を逃れたバニングとアッシャーは、孤立無援の状態で戦場と化したロンドンから脱出を図る。

London_01
この2人の関係にキュンと来た腐女子も多いはず
 ホワイトハウスが戦場と化すアクション映画「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編。監督はアントワン・フークワからババク・ナジャフィへとバトンタッチされたものの、前作の登場人物がそのまま引き続き登場するなどキャストは安定感のある続投ぶり。スケールも前作から遥かにアップするなど、見てくれは前作よりも強化されている。が、内容は正直言って破綻しすぎて逆に凄いレベルになっている。
London_02
もうロンドンじゅうテロリストまみれや
 まず前作の「ホワイトハウスが襲撃される」という設定自体が無茶の塊だったのだが、今作は「大量のテロリストがイギリスの警察・軍・政府機関内部にまで浸透し、ありえないくらいの大群で各国政府首脳をぶっ殺しまくる」というリアリティなぞどこ吹く風な設定であり、各国首脳の警備もガバガバすぎて突っ込み所満載という状態になっているし、「日本の首相の護衛がいなくて運転手のみ」「つうか全体的に警備ザルすぎ」などダイ・ハード2レベルの突っ込み所が各所に存在している。
London_03
悪役のオッチャン、あんたの言いたい事もわかる
 また、昨今の悪化する中東情勢を反映するように悪役やその周囲の人間たちのドラマも展開されるわけだが、例によって主人公バニングの残虐度がパワーアップ。大統領にすらドン引きされるほどの残虐行為をテロリストに働きまくり、常に敵をディスり、煽り、無慈悲かつ残虐にぶっ殺していくうちにテロリストに同情したくもなるし、むしろテロリスト側の事情や背景もそれなりに語られるため「テロリスト、がんばったよお前は、むしろお前の言いたい事もわからなくもないって」と称えたくなってくるような状態になり、善悪逆転現象が今回マジで成立するほど主人公がテロリスト化している珍しいアクション映画となっている。
London_04
テロリスト絶対許さないスパルタの大活躍をしかと見届けよ
 何しろ、映画の序盤では大統領と仲良くランニングしたり、嫁とイチャイチャしていたり、上司に「あの~僕そろそろ退職したいんですけど、いいっすか」「ンモー、その件はわかってるって~この仕事終わったらな」と問答を繰り広げ、ごくごく普通のサラリーマン&理想のパパみたいな面をしていたのに、テロリストと戦うや否やナイフでじわじわといたぶり、拷問と殺害をテロリスト相手に生中継、罵声をあの強面で吐き通しながら射殺刺殺撲殺首折りなんでもありの残虐ファイトをテロリストに加え、殺害どころか“駆除”していく様は逆にもうサイコホラーの領域まで達している。アメリカもこの暴走シークレットサービスをどうにかしろよ、そのうちこいつのせいで戦争起こるぞ。スパルタだし。
London_05
ラストのこれはいろんな意味で皮肉。 
 とまあ全体的に破綻しまくった内容が展開されるわけだが、圧巻のディザスター描写とアクションを楽しむ分には問題がないし、主人公バニングのテロリスト虐殺アクション映画として見れば非常に楽しい映画である。まさに無双と呼ぶに相応しい立ち回りや、前作以上に動きに磨きがかかったジェラルド・バトラーの戦闘描写が楽しめるなどアクションは見所たっぷりだ。続編映画らしく、前作の登場人物たちがあのホワイトハウス襲撃から仲睦まじく仕事をして日常を過ごしているあたりもポイントが高い。
 細かい事を気にしない人であれば面白い映画ではあるが、それ以外の描写や脚本はとことん破綻しまくってるし「ロンドンが大変な事になるアクション映画」というコンセプトを実現する事のみに努力と金を費やした結果、その他全てがガバカバになり突っ込み所満載、おまけにテロリストを応援したくなるほど偏ったアメリカ賛美映画になっている点は覆しようのない事実なので、その辺が気になる人にはオススメできない映画かもしれない。俺は好き。