すみれふぶきブログ ~日常と思索の並木道

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☆ 『ジキルの愛した時間』電子書籍化☆彡

カテゴリ: ライトなラノベコンテスト

 一月より参加していた、ライブドアブログの企画、「ライトなラノベコンテスト」。
 本日、最終審査の結果が発表になりました。

特設ページ

 最優秀賞:『アリスの物語』 倉下忠憲さん

 特別賞:『明日が雨でも晴れでも』 晴美まどかさん

 AKIBA PC Hotline! 賞:『小さな先輩と小旅行』 マホさん

 livedoor Blog 賞:『俺、下ネタ抜きの真面目なラノベ書くよ!』 名無しのvipper さん


 他の作家さんの作品については、辿夢龍さんのものを除いて、ブログでは取り上げませんでしたが、どれも個性豊か、というか、各作家さんたちの世界があふれていて、パーティ・テーブルのようなコンテストでした(……オードブル、って言うんでしょうかね)。
 改めまして、拙作『ハイド―Hyde―』に関わってくれた皆さまにお礼申し上げます。

 そして何より、受賞された皆さま、本当におめでとうございます!
 時節はおりしも、旅立ちの季節。
 今後の皆さまのご活躍、そして一層の飛躍。
 読み手の立場として、とても期待していますし、同じコンテストに応募した縁としては、非常に応援しています。
 頑張ってください!

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創作小説 に参加中!
一月に応募した、「ライトなラノベコンテスト」。

『ハイド―Hyde―』が一次審査を通過しました。

 えっと……。とても意外な結果に、正直驚いています。
 いや、一次審査通過したくらいで大げさなんですが、選考基準はブログへのアクセス数ということなので、一月から、しかも連続投稿で同日にブログを更新した自分としては、とても厳しいだろうと。

 そんな逆風(だと勝手に作者は思っていたんですが)の中を後押ししてくれたのは、まず何より、親友の辿夢龍さんです。
 すばらしい紹介文を、ブログに掲載していただきましたし、彼女のブログからのアクセスが、もっとも多かったように記憶しています。
 彼女の力なしでは、今回の審査通過はありませんでした。

 もう一つ、ツイッターでフォローしていただいた皆さんの後押し。これが、とても大きかったです。

『ハイド―Hyde―』に関わって下さった皆さま、読んでいただいた皆さま、本当に、ありがとうございました!


すみれふぶき
 

 ライトなラノベコンテストは、残り二週間。

 別に、どうということはないのですが、作中の「皆藤」のセリフから、アンケートを実施中です。


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 前回の記事に引き続き、今回も、辿夢龍作のもう一編を紹介させていただく。

 今回は、『創造楽団』

 分量もさることながら、その描き出される幻想的な世界に注目。
 著者の繊細な筆によって奏でられるファンタジーは、とても立体感のある世界として、読者の前に立ち現れる。
 辿夢龍のストロングポイントが、存分に発揮された作品と言えよう。

 物語の舞台は、陽の当たる「央地方(アビス)」と、陽の当たらない「端地方(ロスト)」に分けられた世界。凍てつく端地方を旅する三人組の楽団が、本編の主人公だ。

 顔に奇抜な化粧を施した、道化師のような男「ローラン」。
 僅かな薄布一枚を羽織っただけの、妖艶な踊り子「アルテ」。
 愛くるしい出で立ちで、琴線に触れる詩を歌いあげる少女「レシ」。

 彼らは楽器を持たない楽団。
 しかし、その不思議な力によって奏でられる旋律は、柔らかな光の世界へ聴衆を導く。
 彼らの歌が描き出すのは、決して日の当たらない世界の、しかし輝きに満ちた光景である。

 三人が訪れたのは、「第四の地平」の最北、通称「終わりの街」。
 寒気の厳しい気候にあり、「夜」には異獣「氷鼬(フロスト)」が、家々に爪痕を残す。
 めぼしい特産品もなく、街はずれの森には、「死霊の池」と呼ばれる澱んだ沼がある。
 住人達はみな、「朝」から飲み屋に集まり、強い酒をあおって日々を暮している。

 宿屋の娘「スノウ」は、そういう大人たちに失望しながらも、目の前の動かしがたい現実に、諦観の念を抱き始めていた。
 彼女は、旅人たちに向かって吐き捨てる。

「観光地なんかとはほど遠い……寂れた終わりの町、でしょ?」

 けれども、ローランは言う。

「いいや、この町は原石のにおいがするよ」

 彼らは、「端地方」を旅しながら、それぞれの街に秘められた美しい場所を探し出し、それを歌にして他の街へと紡いでゆく。
 ローランたちが選んだ場所は、町人たちが最も忌み嫌う、「死霊の池」。
 さながら地獄絵図のような沼地を前に、彼は叫ぶ。

「それじゃあ、そろそろ再創造を始めようか」――

 非常に完成度の高い世界像を、読者は感じることだろう。
 気候、街並み、食事――。
 細やかな筆遣いで、人々の生活の隅々まで丁寧に描き出された物語からは、住人たちの息づかいが伝わってくる。
 それは、「文字」という媒体を使って描かれた一つの絵画であり、奏でられた一つの旋律である。

 繊細で耽美な詩歌あり、ダイナミックな「異獣」とのバトルあり、心を震わせる主人公たちの魂あり――。

 著者の情熱が詰まったファンタジー中編。

『創造楽団』

 ぜひ一度、ご堪能ください。

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創作小説 に参加中!
 ライトなラノベコンテストは、そろそろ大詰め。

 今回は、ライトなラノベコンテストに応募中の作品から、私の親友であり、尊敬すべき大切な人である、辿夢龍さんの物語を紹介させていただこうと思う。

 まずは、『非日常遊記』

 日常のいたるところには、「非日常」が潜んでいる――。
 その正体は、人の強い欲望を核として誕生する存在、生霊(すだま)だ。
「生霊」を産み出してしまった人間は、やがてはその欲望自身に支配されるようになり、その願望を叶える為に手段を選ばなくなってゆく。彼らは、競争相手である他人に危害を加えてでも、自身の欲望を満たそうとする。しかし、いくら他者を破壊しても、その「餓え」は収まることがなく、際限なく肥大化してゆく……。

 そうした「憑かれた人間」を、生霊から解放する役目を負う者――。

 それが「霊滅師(レメシー)」という存在。
 ヒロインの神凪柳(かんなぎ、りゅう)は、まさに、この霊滅師の「霊脈」を受け継ぐ少女である。

 生霊に意識を奪われた人間を前に、異次元から現れた特殊な刀を振るい、彼女は「霊滅の儀」を執り行う。それは、歪んだ「非日常」を、もとの日常へと還す厳粛な儀式。玲瓏な白刃が相手の肌に触れるとき、生霊はとり憑かれた人間から切断される。その核となった欲望ごと――。

 幸福を欲することに罪はないが、欲望を満たすために、他者に犠牲を強いてはならない……。
 これは、誰しもが了解するところだ。自身の欲望のために、他人を手段として使う。これは、どんな理由があろうとも、「わがまま」や「エゴ」という域を出るものではない――。

 しかし、ことはそう単純ではない。

 辿夢龍が抉り出そうとするのは、そういった陳腐な「正論」ではない。
「他者を犠牲にすることがいけない」とわかっていながら、それでもなお欲望にとり憑かれてしまう……。そういう、人間というものの本質なのだ。ここにおいて「生霊」は、「人間に与えられた本質的な罪」という意味を託されている。
 では、「本質」であるから、「仕方がない」と言ってよいのか。そういった性質を内に抱えながら、それでも、その本性と向き合い、戦い続けなければいけないのではないのか。それが「人間」というものではないのか――。

 著者が世に問うのは、まさにかような、「繊細な精神」なのである。

 脇を固めるのは、それぞれが特殊な能力を持った、個性的な少女たち。

 子どもらしい身体つきながら、勝気で勇敢な桜葉ちろ(さくらば、ちろ)。
 非常にセクシーなスタイルを持ちながら、おっとりとした雰囲気の白樺院霙(しらかばいん、みぞれ)。

 そして、三人に振り回されながらも、彼女たちに秘められた過去と、その生き方を痛いほど理解している主人公、「ワラビ」。

「ないものねだりしたって、どうせキリなんてないのだから。
 いつも傍にあるものの中から、幸せを探してみたいって。
 幸せだって感じられるこの心を、大切にしていきましょう――?」

 言葉だけを見れば、なんとも味気ない、使い古されたもののように思える。

 しかし、言葉の価値とは本来、その文字の背後に託された現実を、「いかに実感したものとして語れるか」なのだ。

 神凪柳の過去が、霊滅師としての運命が、そして、それを狂おしいほどにわかっている主人公の意識とが、このありふれた言葉を、かけがえのない輝きで満たしている。

『非日常遊記』
 興味を持った方、ぜひ一度、足をお運びください。


※少し重たい雰囲気に感じられてしまったかもしれませんが、それはこの文章を書いている「すみれふぶき」のせいです。
 本編は、まったくそのようなことはなく、リズミカルに、弾むように、ときにクスッと笑いながら、スラスラと読むことができます。

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