2008年01月16日

電車の中でどえらく怒られた話

優先座席はいつもすいているから良い。

ゆったりとお気に入りの音楽を聴きながら座っている。

そんな時、ふと携帯電話が鳴った。

どうしたんだろう、と普段電車の中ではめったに触らない

けど、携帯電話の着信履歴を見ようと開いた途端

横にいたサラリーマンの人が烈火のごとく怒ってこちらに何か言っている。

ウォークマンを聞いていたので止めて聞くと、

そのサラリーマンはカードを突き出して

「ペースメーカーなんですよ、私。ご協力お願いできますか!」

と言われた。

「あっ、すみません」

携帯を閉じる私。

「電源を切りなさい!」

「あっ、はい…」

イヤホンを耳にかけようとしたら

また肩を2度たたき、今度は

「うるさい!」

との一言。

「あっ、すいません…」

音量を下げる私。

すると学生風の女の子が乗り込んできてサラリーマンの横に座る。

すると、やさしく肩を叩きカードを見せた。

「ええ!?扱いが違うなぁ…」

と思いながらもずっと横に座っていたサラリーマンに対して緊張していた。

「また、なんか怒られたらどうしよう?」

サラリーマンは優先座席で携帯を開く人一人一人にああやってカードを見せているのだろうか。

というより、ペースメーカーしている気分ってどんなんなんだろう?

それでいて見知らぬ若者に真剣に怒る気持ちってどんなだろう?

いろんな事を考えたら京橋に着いて、サラリーマンは胸を張って降りていった。


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2008年01月09日

とある書きかけの手紙を見つけた話

やわらかい雪が舞って、桜がもうすぐ咲く季節。

たとえば、君が流している涙を見たら
触ることのできない花を愛でているような気分になる。

雨の降る日には、わざと傘もささずに外に出たくなる。

君への思いだけは疲れを知らないで、どんなに傷ついても構わないよ。

そばに誰がいても、後悔はきっとしない。

ずっと君の味方だよ、なんて笑って言える日がくればいいな。

2008年01月08日

メグスリの恐怖

薬というのは一歩間違えるとがらくたにも毒薬にもなるから怖い。

目薬のモニターは1点眼100万円支払われるという。

そうやってできた目薬がドラッグストアにて298円で売られていた。

在庫がものすごいらしく、洗濯カゴのような入れ物にわんさか詰められている。

名前は確か、聞いたことのない「メタファ」だか「メタボ」だか聞いたことのない製薬会社だ。

そして棚の隅っこの方にやけに売れている目薬がある。値段は698円。

なるほど、それでも通常の価格の半額である。安い。

名前は「○○県製薬」。全て漢字でいかにも堅そうな名前だ。

他は大手メーカーの1000円以上するものばかり。

私は698円のヤツを持って嬉々としてレジに並んだ。

そして家に帰り、すぐさま点眼。いい買い物をしたと悦に入っていた。

そして職場でも点眼。ご飯を食べては点眼。トイレに入っては点眼。

かくして3日の月日が経過した・・・

原因不明の頭痛がおそってきたのはその頃だ。

しかしまさか目薬が原因だとは思わなかったので、頭痛薬を飲みながら点眼し続けた。

しかし次第に頭痛はひどくなり、どうしたものかと思案巡らせていると偶然目に入ったのが

この目薬だったので思い当たったようなものだ。

とにかく、あのまま気づかずに点眼し続けていたならきっとアタマが爆発していたに違いない。

とにかく、薬は一歩間違えると怖い。

2008年01月05日

冗談ではない父の話

工場が閉鎖されると決まったときの父の表情は見られなかった。
会社を辞めてから建てたからもう25年になる。
子供だった兄が、「たまに来るあのおじさんは誰だろう?」と不思議がるほど働きづめで
帰ってこなかった。
それはまだ、ちょうどわたしが赤ちゃんだった頃。
父は全てをなげうって工場を、家族を支えてきてくれた。

だけど、私は正直嫌いだった。
なにかにつけて逃げる癖のある人で、窮地に立ったときいつも母が何とかしているのを
見ていたからだ。
私は軽蔑していた。

いよいよまずいと噂されるようになった頃、父は毎日私や兄をなじった。
お前達に力があれば、こんな事にはならなかったのだ、と。

いやだな、と思いはじめてからは会話はもちろん近づきもしなかった。

そんな父が私と兄を呼び出した。
また今月落ちる手形にたいしての借金の催促かとウンザリしていた。
すると、正座している父の姿がひとまわりもふたまわりも小さく見えて
どうしたんだろうと思っていた。
そして工場閉鎖の知らせを聞いた。

残された借金や、手形はどうなるのだろう…と考えていた
私も兄もどういっていいのかわからなかったけど、なぜか
「おつかれさま」
という言葉が口をついて出た。
父は「ありがとう」と初めて泣いた。
それを見た母と私は泣いてしまって、兄はどこか遠くを眺めていた。


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