ロープを知る

The Official Blog of Model Ship Builder's Club "The ROPE"

2013年05月

牡蠣とクラムチャウダー
さて、シアトルを訪問される方に私のおすすめをご紹介したい。まずは何と言っても海産物だが、牡蠣とクラムチャウダーが美味。牡蠣では市内桟橋にあるエリオット Elliott’ Oyster Houseがおすすめ。いつも混雑しており、予約しておいた方が良い。牡蠣の種類はことのほか豊富で、広島や熊本の牡蠣をワシントン州で養殖しているものも賞味ができる。クラムチャウダーでは、シアトル市の対岸にあるSalty’sというレストランで、シアトルダウンタウンの夜景が美しい。このレストランのクラムチャウダーは小刻みされた唐辛子が入っており、程よい辛みが特徴で、白ワインに良く合う。アメリカのワインといえばカリフォルニアと相場が決まっているが、ワシントン州のワインも赤白双方、大変美味。レストランで30ドルから50ドルも払えば、リッチな味わいのものが賞味できる。
Elliott オイスターバー
牡蠣では市内桟橋にあるエリオット Elliott’ Oyster Houseがおすすめ
Saltys クラムチャウダー
クラムチャウダー。シアトル市の対岸にあるSalty’sというレストランで

Future of Flightのツアー見学
ボーイングのエベレット製造工場、Future of Flightのツアー見学もおすすめだ。大型バス1台程度の人数でグループを組み、90分ほどで製造工場の3ラインを見ることができる。料金は大人一人18ドル、英語のみのガイドがついた見学で、携帯電話やカメラ、また手荷物などは備え付けのロッカーに預けさせられ、また工場内に入りトイレもなく、ツアー開始まえのオリエンテーションが結構うるさい。バスに乗って、エベレット工場で製造されている機種全てを、それぞれ分かれている工場を回るスタイルで、最初に747−8型の組み立てライン、次に777型機、最後に787型機の順番で見学する。

747型は日本航空ではすでに退役し、全日空も国内運用が近く終了するが、世界ではまだまだ活躍し、注文も入っている。特にエンジンの燃費向上と、騒音を3割カットしたモデルは、貨物機のみならずLufthansaなどから注文が入っている。一機の値段は大凡3億ドル近くになり、エンジンは選べることができてるが値段も別建て。777型機を見た後に787の組み立てラインを見学すると、787型がいかにコンパクトであるかが良く分かる。全日空が世界の航空会社の中でローンチカスタマーとなっており、製造ラインの端に尾翼の航空会社別マークが一機ごとに掲示され、全日空のマークは全部で17機あった。ガイドに日本から来たというと、まさに日本人は上客扱いであった。ツアーの最後ではボーイングショップの裏口に案内され、ロッカーまでの間、店の中を通る仕掛けとなっている。航空ファン、ボーイングファンにはたまらないであろう記念品などが販売されている。訪問時には納入待ちの787型機がはるか遠くにずらりと並んでいた。ツアーガイドにボーングの機材に興味がある人向けに絶対おすすめと言われたサイトをご紹介しておく。ただし英語のみ。
http://www.newairplane.com

The Museum of Flight
次に飛行機ファンにとっておすすめは、航空博物館、The Museum of Flight。ライト兄弟の飛行機のレプリカは世界に3機あるそうで、その内の1機が展示されている。アメリカで製造された飛行機をボーング747の初号機の実物展示を含めてまで見学できる。
ライト兄弟レプリカ
世界に3機あるライト兄弟の飛行機のレプリカの1機
747初号機
747初号機の実物展示

アポロ計画、月の石、国際宇宙ステーション、スペースシャトルなども網羅された展示となっている。入場料は18ドル、日本語の音声ガイドも3ドルで貸出し、写真撮影もできる。一回の見学ではとても展示は見切れるとは思えず、案の定年間パスを販売していた。私として特に興味深い展示は、ボーイングの初期工場の中がそっくりコピーされた展示があり、機体や翼が木製であり、これをどう加工し、また翼では揚力を出すためにカーブをどう出したかの実際の技法の展示、また、パンアメリカン航空の歴史を模型とともに展示してある場所であった。
ボーイング初期工場内レプリカ
ボーイング初期工場内レプリカ
ボーイング木製翼加工
ボーイング木製翼加工

後者では飛行艇であるB314クリッパーや、羽田にも過去就航していたB29を改造した377ストラトクルーザーの解説で、377型では、機内サービスの様子がカラー化したビデオで紹介されている。ベッドも付いていたり、機内食も現在のビジネスクラスのようにレストランでの食事となんら変化がない様子など、現在のサービスがすでに第二次大戦後の太平洋路線でも行われていたことが分かる。この他戦闘機では模型も豊富に展示されているとともに、実機の展示では、747の初号機に加えて大統領専用機の中を見ることができるのもうれしい。大統領用の通信施設の電話はダイヤル式であったことも分かり、時代を感じさせる。
大統領専用機
大統領専用機

ショップも併設され、文献は充実しており、重たい荷物になることは覚悟の上で、ボーイングの歴史や707型機の開発の歴史、博物館ガイドなど3冊を購入して日本に持ち帰った。
公式サイト
http://www.museumofflight.org

(栗田正樹 記)

Saltysからみたシアトルスカイライン
Saltysからみたシアトルスカイライン

シアトルには所用でこのところ年に数回ほど訪問している。今回の出張では時間の余裕があったので、市内にある木製ボートセンター他を訪問した。シアトルの私なりの雑学も含めてご紹介したい。

シアトルの一般的な情報については、Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/シアトル)をご参照願いたいが、北米西海岸では日本から大圏航路で一番距離が短い。成田空港からは、ユナイテッド航空、デルタ航空、そして全日空が直行便を飛ばしている。往路で8時間半、復路では10時間位の飛行となる。全日空はボーイングの新型機787で運行を開始したが、バッテリーのトラブルで787型機の運用が停止となった。大型の主力機である777型機を代替機として運行していたが、777型機ではさすが採算が取れず、現在ではシアトル便の運行を停止しているが、この6月からは787型機を使って定期便の運行を再開するとアナウンスされた。アメリカの航空会社と比較すると、やはり日本の航空会社の方が地上、並びに機内サービスは優れており、成田とシアトルを行き来する私にとっては、全日空の運行再開は朗報である。

シアトルと言えば、大リーグのシアトルマリナーズのイチローで有名だが、アメリカでは常に生活しやすい都市のトップランキングに入っている。ボーイングの飛行機製造工場、マイクロソフト、アマゾンなどのIT系企業の発祥の地であり、スターバックスコーヒーの一号店も市内にある。任天堂のアメリカ活動拠点もシアトルにある。シリコンバレーと並び、かなりハイテクな雰囲気を持った都市でもある。

ワシントン州のシアトル近辺の地図を見ると、街全体が入り江とワシントン湖の周りに発展していることが分かる。実際に機上から見ると、入り江や島々が大変美しい。フェリーの往来や大型コンテナ船などの外洋運航船に加えて、中後型のヨットやモーターボートで余暇を楽しむ姿も多く目にする。ワシントン湖には、素敵なヨットクラブもあり、レジャーやリクリエーション活動の質の高さを感じることができる。このワシントン湖の端にあるサウスレークユニオンという場所に、今回訪問したThe Center for Wooden Boats(木製ボートセンター、以下CWBの略)がある。
CWBショップの前のスナップ

資料によると、CWBの創設は1957年に遡る。カヤックを楽しんでいたある篤志家がボートの修繕などをやっているときに、ふと彼が参考としている文献や図面の日付は1890年代に遡ることに気がつき、このままでは、19世紀のボート製作技法が忘れ去られると危惧し、古いボートを買い集めたのが現在のCWBに発展してきている。

CWBの運営はすべて寄付、ボランティアにより行われており、どこかの博物館のような入館料などもない。ボートやヨットに興味がある人にはドアはいつも開いている。訪問前にインターネットである程度は調べてみたが、実際に訪問して備え付けのパンフレットで年間の活動を見ると、予想以上に広範なものとなっている。例えば、小型ヨットを使ったセーリングのレッスン、これもガフ、スプリット、レーシングスループ、ラグリグなどセールの種類別のレッスンがあり、いずれも、日を分けて4コマから5コマのプログラムになっている。技術レベル別にマンツーマンのセーリングレッスンも行われている。
CWBボート個人レッスン
CWBボート個人レッスン

また、一般的な木工技法、ボート製作技法、セールメーキング、パドルの削りだしなどの実技の講座がある。面白いところでは、航法、タグボート、泊用ディーゼルエンジンの理論といった講義も行われている。ファミリー、子供向けのプログラムも沢山あり、ボートやヨットの模型を製作し、CWBの横にある専用の池で楽しむこともできるようになっている。

また、CWBそのものが桟橋の上にあり、ヨットのレンタル、また中古販売もされていた。CWBでは書籍、図面、参考文献も豊富に備え付けられており、一部は販売もされている。歴史に関するものだけかと思ったらさにあらず、ボートの製作技法、ロープの結び方、セールメーキング技法などの書籍もあり、訪問記念に一人でできるセールの作り方とでも訳ができるイラストが豊富な本を買い求めた。

今回の訪問はウィークデーの昼前で、丁度小学生向けの小型木工船のプログラムが終了したところで訪問者も多くなかったが、ボートショップの中に入り、写真撮影ができた。ここでは、小型ボートを実際に製作しており、丁度クリンカー貼りの船体を塗装していた。3人程ボランティアで小型ボートを作成しており、いずれもが無給のボランティアであった。工具類などはまさに木工大工用で、整理整頓されその充実ぶりは私の工房とは段違いだが、床は木材の切り端や木屑などが散乱もしており、このあたりは私の工房と大差はないなとも思ったりした。写真撮影を通じてボランティアと話をしたが、写真にあるボートの値段は100万円、買わないかとも話かけられた。
CWB工房工具
CWB工房工具
CWBボートの塗装
クリンカー貼りの塗装中のCWBボート
CWB工具の整理
CWB工具の整理

また、はっとしたところでは、明らかにインディアンの血を引いているボランティアにも出会ったことだ。アメリカの西部開拓は、ルートの確保、有名なところではオレゴントレールなどの開拓と、インディアンとの戦いや共存共栄にあったと言っても良いと思う。シアトル近郊には、インディアンの保護区も存在しており、ライセンスを与えてカジノの運営もさせている。実際に訪問すると、ミニラスベガスで、飲食含めてその充実ぶりはすごい。

産業歴史博物館もCWBに隣接しており、訪問する時間はなかったが桟橋にはタグボートの実物が洋上展示されており、桟橋全体が市民の憩いの場となったいた。シアトルの秋冬春は日照もすくなくどんよりと曇り、雨も多いが、今回訪問したときは快晴で、こんなに天気が良いと、会社員は急遽半休を取得してアウトドアレジャーを楽しむこともあるようで、日本のサラリーマンやウーマンでは考えられないような話も聞く。公園で寝そべったり、ランチを楽しんだり、ジョッギンクをしたりで、これが人生だよと見せつけられている感じもした。
CWB風景

CWB風景2

(栗田正樹 記)

世界の主要航空会社は、顧客の囲い込みや利便性、格安航空会社に対抗するために座席のアップグレードやラウンジのサービス向上を競い合い、近年では1社単独ではなくグループ化をはかりスケールメリットも追求している。例えば日本航空はワンワールド、全日空はスターアライアンスのメンバーとなっている。

今回のアメリカ出張では、スターアライアンスのメンバーであるユナイテッド航空のサンフランシスコ空港にあるラウンジで乗り継ぎ時間を過ごした。ロビーに帆船模型が展示されていた。なかなか雰囲気が良いラウンジで、フロアはコンパスに仕上げ、クリッパーの模型が2隻ケースに入れて写真とともに飾られている。
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興味を引いたのは、建設中の金門橋とクリッパーの写真。銘版には、Star of New Zealand & Golden Gate Bridge 1935の記載があった。帰国後この船をインターネットで探しまわったが、残念ながらこの船や模型にはヒットしなかった。クリッパーの模型にもは、船名、縮尺、作者などの記載は無かったが、埃を掃除した跡や、リギングをやり直した形跡がある。写真に映っているStar of New Zealandがこの模型のどちらかではないかと、クリッパーの歴史とともに色々想像してみた。
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ラウンジには、漁船の模型も展示されており、この一つには、1960年にスクラッチビルトの模型であるとの記載はあった。また、ラウンジの部屋には、金門橋の建設の様子が分かる写真も複数飾られており、ラウンジの設計の際に、サンフランシスコに因んだ歴史的な記録を展示するために、模型や写真が集められたようだ。
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サンフランシスコとクリッパーとくれば、真っ先に19世紀中頃までのゴールドラッシュとともに、中国との貿易でクリッパーが興盛を極めたことを思い出す。模型ではフライングクラウドが有名で、模型展示会でも良く目にする。フライングクラウドは、1854年にニューヨークからサンフランシスコまで89日と8時間の記録を打ち立てている。あまり知られていないことと思うが、この時の航海のキャプテンは連れ合いが航海士をつとめ、夫婦で記録を作っている。私が現在作成している捕鯨帆船も、その航海が長いことから、キャプテンのみ夫婦帯同が許されており、妻用のデッキハウスが設置されている。
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最近読んだ本によると、最初のチャイナクリッパーとしてアメリカ西海岸からサンフランシスコに向かった帆船Memnon’sの航海は123日かかったとの記録がある。また、1850年にニューヨークからサンフランシスコに向かったSea Witchは、97日の航海を要したが、当時の金額で87千ドルの貨物を運び、これがサンフランシスコではゴールドラッシュのインフレで275千ドルの価値を生んだとある。ショベル1本1ドルがカルフォルニアでは10倍で売れ、当時のサンフランシスコの港は、帆船のマストの森で一日に20から30隻もの帆船が人と貨物を運んで入港した日もあったようだ。中小型船から、より大きく、速く、堅牢な帆船がニューヨークや東海岸で相次いで建造され、この競争がフライングクラウド誕生の背景にある。

またクリッパーで思い出すのは、かつてアメリカを代表するパンアメリカン航空パンナム。私の人生で最初に搭乗したジェット旅客機がパンナムのボーイング707で、羽田からホノルル経由でサンフランシスコまで飛んだ。パンナムの旅客機の名前は常にクリッパーが頭につけられていた。航空通信のパンナムのコールサインもクリッパーであった。クリッパーは快速帆船とも訳されているが、名前の由来をランダムハウスの大辞典で調べてみると、時間を短くする、早めに切り上げるとある。移動をより速くするというニックネームとしてはまことにふさわしい単語だと思う。

チャイナクリッパーの主役は総トン数で1000トンから2000トンくラスの大型帆船で、船長はドライバーと呼ばれていたそうだが、最速でニューヨークと中国の香港や広東などの往復航海を100日以内でこなし、スピードも18ノット、時速37キロを維持できていた。アメリカのチャイナクリッパーのカリフォルニアブームも1850年頃に絶頂を迎え、次第に西海岸に立ち寄らずにニューヨークから中国に直行している。蒸気船も登場した。ラウンジにあった船の模型もそういえば煙突が立っていた。

帆船に関する知識や歴史を勉強すればするほど、新たな発見とともに奥行きの深さを感じているが、飛行機乗り継ぎのために訪問したラウンジでの一時で、断片的に学んだことや体験がまた自分なりにつながって帆船の世界が広がった。まことに楽しい。

参考図書 
アメリカの帆船チャイナクリッパーの歴史については、和訳は出版されていないが、以下の書籍が詳しい。
Dolin, Eric Jay. When America first met China: an exotic history of tea, drugs, and money in the Age of Sail, Liveright Publishing Corporation, 2012

パンナムのクリッパー,並びにパンナムの航空機の歴史については、以下が楽しい。
Baldwin, James Patrik Pan American World Airways Images of Great Airline, Bluewater Press LLC. 2010
Trautoman, James Pan American Clippers: the golden age of flying boats, A Boston Mills Press Book, 2011
Yenne, Bill The Story of The Boeing Company Updated Edition, Zenith Press, 2011

(栗田正樹 記)





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15日の読売新聞(朝刊)に、サンファン館再開のうれしいニュースが出ていました。
マスト用木材は、先にカナダのブリティッシュ・コロンビア州から寄贈を受けたものだそうです。
修復の上で、11月までには再開の予定とのこと。

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修復中のサン・ファン・バウティスタ号

この連休に東北方面に旅行に行っていました。
4月30日午後、サンファン館に立ち寄りました。

外から見られるだけでもと思っていましたが、無料開館中(4月27日~5月6日と5月25、26日)ということで、展示棟に入ることができました。シアターを除いて、見学できました。
なお、ドック棟、サン・ファン・バウティスタ号は修復中のため近づけませんでした。

見学が終わって、ザ・ロープのメンバーであることを受付で告げて、復興の様子を随時知らせていただいています、とお礼を言ったところ、副館長の土井一夫氏に連絡していただき、事務室で震災当時の様子などを伺うことができました。

その際、同館の「設立20周年記念写真集」と前館長濱田直嗣著「政宗の夢 常長の現」(四六版314ページ)を頂戴しました。19日の幹事会に持参します。

今年が支倉常長が月浦から出帆して400年ということで、11月頃、記念のイベントが計画されているようですが、それに間に合わせるように作業が続けられています。ドック棟の展示内容は震災前とは、変わるとのことでした。

(高橋利夫 記)

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