エカテリーナ号
 エカテリーナ号の絵(根室市歴史と自然の資料館蔵より)

鈴鹿まで足を運んで大黒屋記念館をこの7月に訪問した。
大黒屋光太夫は、高田屋嘉兵衛と並んで、江戸時代に漂流してロシアに到達し、異文化に接触した歴史的な人物。作家井上靖氏の「おろしや国酔夢譚」で、また吉村昭氏の「大黒屋光太夫」を通じてその体験を知ることができる。

大黒屋光太夫記念館
 大黒屋光太夫記念館

当館は2005年11月に大黒屋光太夫のふるさとである鈴鹿で開館した。展示室は1室のみ、入場は無料で外履きを履き替えての見学となった。企画展として、『「北槎聞略」でたどる光太夫の旅』が開催中だった。残念ながら館内は撮影禁止であった。

入口横に光太夫が漂流した神昌丸(千石積み弁財船)の模型と、光太夫が辿った道のりの地図の展示があった。ケース内の展示では、漂流から始まり(1782年)、ペリー来航に先立つ60年以上も前にロシア皇帝エカテリーナ2世により派遣されたラスクマンとともに「エカテリーナ号」で蝦夷地に帰還(1791年)、その後江戸に留め置かれ、ロシアで吸収した情報を幕府の政治家や学者に語る流れが解説されている。蘭学者である桂川甫周が光太夫からの聞き取りをまとめた地誌が企画展のタイトルにある北槎聞略。

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 博物館展示のエカテリーナ号の模型(有限会社佐藤工芸のHPより)

神昌丸に加えて、ケースに入ったエカテリーナ号の縮尺1/48の模型が展示されていた。ケースには日本財団助成事業のシールが貼付されていたが、製作は有限会社佐藤工芸。また、展示室の中央には、近年見つかった光太夫の筆によるロシア文字墨書とともに、井上靖の「おろしや国酔夢譚」の書籍と作家吉村昭氏の「大黒屋光太夫」の直筆原稿準備稿(2003年)が書籍とともに展示されていた。吉村昭氏の著作では、新たに見つかった史実も踏まえて執筆したとの解説もあった。

当館のホームページ:http://suzuka-bunka.jp/kodayu/

(栗田正樹 記)