和船展示4隻とパネルx
 縮尺1/20では、1700石積樽廻船と1000石積菱垣廻船の2隻の合計4隻が一同に並べられていた

時代的に見て、吉村昭氏の「大黒屋光太夫」の次となれば、司馬遼太郎の「菜の花の沖」の主人公である高田屋嘉兵衛で、江戸時代に漂流してロシアに到達し異文化に接触した歴史的な人物。

大阪に出向いたチャンスを捉えて淡路島まで足を延ばした。明石海峡大橋のおかげで、大阪市内からは車で2時間弱、また、神戸三宮からは直通バスの便もある。

北海道函館にも箱館高田屋嘉兵衛資料館があるが、こちらは生まれ故郷の広い公園内にあり、建物もグッドデザイン賞を受賞しているということもありモダン。展示のスケールも大きいと感じた。

顕彰館資料館入口
 グッドデザイン賞を受賞している顕彰館資料館

和船の進化に関する歴史を簡潔に説明するパネルや、船匠の安倍修氏が製作した模型の展示が充実していた。菱垣廻船の断面模型に加えて、縮尺 1/15の模型では、高田屋奉納船と板図(長光泰司氏作)がセットで展示され、その横に北前船、また縮尺1/20では、1700石積樽廻船と1000石積菱垣廻船の2隻の合計4隻が一同に並べられていた。また、少し離れた場所に、同じく縮尺1/20の和洋折衷船(スクーナー型)も展示されていた。

断面模型x
 菱垣廻船の断面模型

奉納和船と板図z
 高田屋奉納船と板図(長光泰司氏作)

和洋折衷船
 縮尺1/20の和洋折衷船(スクーナー型)

ビデオ展示も揃えてありまとめて鑑賞することができた。放映されていたのは、1986年7月にNHKで放映された番組を再編したもので、「北前船2500kmの航跡」と「北前船一枚帆の航海」の2点。加えて『北前船「みちのく丸」日本海を往く』もエンドレスで放映されていた。

菜の花のホールには辰悦丸の復元模型(縮尺1/2)の一部が組み込まれており、訪問した際には、まずここに案内され、大型スクリーンでNHK大河ドラマで放映された「菜の花の沖」を取り上げたオリエンテーションがあった。

司馬遼太郎氏の講演録で、「人の偉さを測る物差しを英知/良心/勇気とすれば、江戸時代を通じて高田屋嘉兵衛が一番偉かった。今でも世界の舞台で通用できる人物だ」と述べている。また、司馬遼太郎氏は「菜の花の沖」を執筆する際に、千石船について研究し、帆船と航海あるいは海流に関する本を集められるだけ集め、さらには船乗りの体験記や海洋小説を読んだそうだ(週間朝日MOOK、週間司馬遼太郎IV, 2008年)。

作家吉村昭氏が史実を基に淡々と物語を進めるのに比べ、司馬遼太郎氏はその著作で時々講釈が入るところはあるが、文庫6冊にもなる「菜の花の沖」をもう一度読みたい気持ちにさせてくれた訪問となった。

当館のホームページ:http://www.takataya.jp/nanohana/nanohana.htm
収蔵品については、以下資料がミュージアムショップで販売されている。地方発送可能。
高田屋嘉兵衛翁伝 改訂版 2015年12月 700円