会場風景x
 会場の梅田スカイビル タワーイースト36F スカイルーム2
 
2019年7月13日-15日 梅田スカイビルで開催された第43回木製帆船模型展を訪問、毎回職人技に圧倒されます。以下は今年のザ・ロープオーサカ職人ワールドのハイライトです。


中島さんル・シーニュ船首像
 中島寛治さんの「ル・シーニュ」1/48、スクラッチ、製作期間4年半、1986年完成

この模型は、ザ・ロープ元副会長の故白井さんと一緒に製作スタートし、ほぼ同時期にゴールインした作品で、中島さんの一番の大作だそうです。この模型には精密帆船模型工作趣味人らしいストーリーがあります。


白井さんは1980年から84年まで京都転勤。この期間ザ・ロープ オーサカと交流し、毎月1回各自が部品を持参して飲み会で見せ合うのがルールだったそうです。白井さんはこの模型のギャレーを全て真鍮で作り、横面にある火口(4.5mm x 5.5mm)をそれらしく作ったと中島さんに自慢げに見せたところ、中島さんは、「それなら自分は火口が開くようにする」として、1ヶ月以上かけて蝶番(ちょうつがい)と閂(かんぬき)を可動式にしたそうです。

中島さんギャレー精密地獄
 中島寛治さん「ル・シーニュ」のギャレー サイズは2×2×2cm

これを中島さんと白井さんは「精密地獄」と呼んだそうです。筆者としては何も好き好んで地獄を味わうこともないだろうと勝手に思うのですが、精密工作、模型を作り込むとはこういうことかと感じさせる模型です。

一緒に訪問したザ・ロープの大ベテランの話では、「精密地獄」はもう一つあるようで、それはフィギュアヘッドの白鳥の工作。白鳥の顔の表現は中島さんの方が出来が良いとか。

このル・シーニュは、ザ・ロープの元会員で職人技を誇った中園さんも同じ縮尺で手がけており、中園さんもギャレーに凝り、また船底の銅板約550枚を一枚ずつ丁寧に貼ってます。

中島さんも船底に凝り、銅板は厚さ0.03mmの銅板をフライパンで加熱し一枚づつ貼り付ける根気技を使い、加えて、ビス跡は時計のギヤを使って表現したそうで、出来栄えには脱帽の一言。この模型は30年以上前に完成してますが作品のリギングは当時のままだそうで、リギング技も見どころです。

模型は埃一つない状態で、ケースに入れて保管しているそうで、中島さんの模型と向き合う姿勢を感じられる作品でした。筆者の技量レベルは稚拙でベテランの足元にも及びませんが、製作中の模型の見せ場がないなと考え悩みながら東京に戻ってきました。




金岡さんル・オーロラ
 金岡賢司さんの「ル・オーロラ」1/48、スクラッチ、製作中、あと3年?

構造模型のジグで製作中の船体を展示してました。ANCREの図面をスキャンしてパソコンに取り込み、A4サイズのクリアファイルホルダーにキチンと整理されてました。ジグを良くみると、フレーム番号なども印刷されてました。これらの番号はCADで製作してジグに貼り付ける凝りようです。模型人としての性格を感じます。

金岡さんジグの一部

金岡さんANCRE図面の整理
 金岡さん ジグの一部(上)とANCRE図面の整理(下)

材料はみずめ桜。これは金岡さんにとっては5隻目の構造模型で、22門小型フリゲートで小型なので縮尺をミュージアムモデルの1/48とし、今後マストを立て、リギングにも取り組むそうです。目標はあと3年とのことで、大作間違いなしです。この模型の工作進捗具合は、来年の展示会の見どころの一つになるでしょう。

中谷さんメアリー船尾とフリース中谷さんワスプ船体フリース
 中谷雅和さんの「メアリー』(上) と「ワスプ」(下) 。 いずれも1/75、スクラッチ

今年の展示は小ぶりの作品ながら、相変わらず手抜きなしでフリーズの表現技が見事です。メアリーは、マモリ社のヨットメアリーの船型を基準にして縮尺を変更の上スクラッチ。

船尾の彫刻はこの時代の絵画を参考にして、船首回りは絵画とはことなる装飾にしているとのことです。ワスプはできるだけ塗装を避け、木を見せる工作方針で取り組み、船体の材料はカステロだそうです。

西川さん絵画
 西川さんの絵画「ハイペリオン号」

今年の展示会案内はがきは、西川さん作成の帆船絵画。ハヤカワ文庫、海の勇士ボライソーシリーズ「激闘、リオン湾」の表紙絵を参考にしたそうです。


西川さんハリファックス_中国製キット
 西川さんの中国製キットのジオラマ仕上げ

西川さんは、絵画に加えて、ハリファックス 、ユニコーンモデル(中国製キット)を1/50でジオラマ仕立てにした作品を展示されてました。アメリカのe-Bayサイトから購入したが、蓋を開けたらマニュアルは中国語、慌てて翻訳サイトを駆使して準備に時間がかかったようです。

中国製キットマニュアル
 中国製キットマニュアル

キットのマニュアルは丁寧、かつゲージまで入っており、レーザーカットの材料も出来が良いとのこと。お話を伺っていると、プラモデル感覚で組み立てができそうです。中国製品恐るべしです。それにしても西川さんは多趣味で会話の範囲が広く、老化とは縁がなさそうな御仁です。

これらのほかにもご紹介したい作品が多いのですが、追って会報でレポートさせていただきます。

(栗田正樹)

 
*中島 寛治様のホームページには「ル・シーニュ」はじめ沢山の作品が紹介されています。