ロープを知る

The Official Blog of Model Ship Builder's Club "The ROPE"

カテゴリ: 国内同好会との交流

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11月14日(水)、昨日から始まった世田谷美術館(世田谷区砧公園)で開催中の『帆船模型三人展』を見てきた。世田谷区在住の当会 会員の青木さんと霞さん、桜新町の帆船模型店「エンデバー」代表 石塚さんの作品が15点並んだ小さな展示会であった。

会場の壁には幕末・明治の船が主題の錦絵が飾られているが、青木さんが収集したものだ。青木さんはジオラマを6点出品、いずれもストーリーを持った楽しい作品である。一度に見られるのは恐らく今回だけだろう。

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 青木さんのジオラマはいずれもストーリー性を持った楽しい作品ばかり

霞さんは得意の和船を4隻出品。石塚さんは大型模型を数点出しています。

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 (上)霞さんは得意の和船(下)石塚さんは大型模型

11月18日(日)まで開催中です。

(佐藤 憲史)

左から青山副会長、酒井会長、筆者、市川会員
 左から青山副会長、酒井会長、筆者、市川会員

11月13日の午後、名古屋港ポートビル内で開催中の展示会を訪問しました。
今年の展示作品は39隻。近年各地の帆船模型展示会では小型の模型が増えつつある中で、帆装の大型模型が目立った展示会でした。パンフレットの表紙の作品はフランスのフリゲート艦エルミーネ。先月ロシュホールでレプリカ船を見学してきたばかりなので、興味を持って訪問しました。

酒井会長エルミオーネ
出野さんエルミオーネのジオラマ
 (上)酒井会長エルミオーネ(下)出野さんエルミオーネのジオラマ

展示されていたエルミオーネは今年の教材として取り組んでいる模型で、酒井会長のお手本と製作途中やジオラマ仕上げの作品を含めて合計8隻が展示されていました。模型はアルテサニア・ラティーナの縮尺1/89のキット。酒井会長のお話では、キットの特徴として図面はなく製作資料は全てDVDに収録されており、これを印刷すると膨大な量になるとのこと。全体の図面がないことから寸法合わせが大変だったとのことです。

ボートはプランク・オン・フレームの本式で、キットの部品類もそのまま使え、キットの値段も廉価であったことから教材として採用したとのことです。3檣の帆船模型は教材としては難易度が比較的高いと思われますが、チャレンジ精神は敬意に値すると感じました。皆さん2年で完成させることを目標としているそうです。

出野さん愛知県知事賞受賞作咸臨丸
 出野さん愛知県知事賞受賞作 咸臨丸

元気なシニア層を感じさせたのが、出野さんの咸臨丸(縮尺1/50、今井科学キット)。この作品は本年9月、第43回尾張旭市高齢者趣味の作品展で愛知県知事の受賞を受け、賞状と盾とともに展示されていました。出野さんは、エルミオーネのジオラマ仕立ての作品も展示し、模型工作を楽しんでいる様子や遊び心が伝わってきます。

酒井会長エセックス
 酒井会長エセックス

酒井会長は、エルミオーネに加えてエセック(アメリカ、縮尺1/72、スクラッチビルド)を展示していました。このエセックスについては、さる9月度のザ・ロープ例会において、「船の雑記帳」で好評の阿部英夫さんに「19世紀の海賊軍艦エセックス号」と題して講演をいただいたアメリカのフリゲート艦。

青木さんカッター
 青木さんカッター

青木さんのカッター・アルデバランタイプ(イギリス、縮尺1/48、スクラッチビルド)は旧作ながら、リギング周りを貼り直したとのことで、搭載ボートもクリンカー張り、全体的にすきりして落ち着いた雰囲気を醸し出している模型でした。

スペイン製の模型キット展示
 スペイン製の模型キット展示

いつもの模型キット展示では、イギリスのフリゲート艦Grimsby (縮尺1/65、スペインのConstructo S.A.製)とウッディジョー の新日本丸(縮尺1/80)が展示されていました。スペインのキットは、木材の質は今ひとつでしたが、付属部品はしっかりしており十分使えそうな内容でした。

来年は第40回目の節目となる展示会となり、100隻の展示を目標としているそうです。迫力ある展示会が期待できそうです。

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(栗田正樹)



  




左から加藤さん、筆者、吉田会長JPG
左から加藤さん、筆者、吉田会長

11月2日の午前中に福島市内で開催中の展示会を訪問しました。
今年の作品は、模型が20隻、ペン画1式の21点で、仙台帆船同好会より9隻が応援出品されていました。

今年の案内葉書の模型は大沼さん製作のH.M.Sビクトリー(ディアゴスティーニ、縮尺1/86)ですが、展示会では洋上ジオラマ仕上げになっているとともに、信号旗をつけており、この信号旗は新鮮でした。1805年のトラファルガー海戦で、ネルソン提督が船隊を鼓舞するために「英国は各員がその義務を尽くすことを期待する」との趣旨でビクトリー号に「信号旗“U・T・Yと終信符号”」を掲げました。模型の信号旗はこの構成となってはいなかったのがいかにも惜しい。

大沼さんビクトリー 信号旗装着の様子
大沼さんビクトリー 信号旗装着の様子

吉田会長は、得意技の梨材ワールドで、ル・グラン・サン・ルイ(1626, フランス、縮尺1/70、スクラッチ)、ヴァーサ(1628, スウェーデン、縮尺1/75、コーレルキット)、プリンス・ウィレム(1651, オランダ、縮尺1/100、コーレルキット)の3隻を出展されてました。

吉田会長の梨材ワールド3隻
吉田会長の梨材ワールド3隻

ル・グラン・サン・ルイは、ビョールン・ランドストローム著の戦艦ヴァーサの本(*)にあるイラストを参考にしており、甲板上の大きなグレーチングに惹かれて製作されたとのことです。本のイラストでは船尾の装飾のイメージがないことから、想像力を働かせて仕上げたそうです。金属部品は手持ちの余り物を使うとともに、不足分は木材で作成し、うるし金粉で仕上げています。

吉田会長のル・グラン・サン・ルイ
吉田会長のル・グラン・サン・ルイル・グラン・サン・ルイ グレーチング
ル・グラン・サン・ルイ 船尾装飾
(上)吉田会長のル・グラン・サン・ルイ(中)同グレーチング(下)同船尾装飾

加藤さんの縮尺1/192の世界は今年も健在、トルネーズ(1823、フランス、縮尺1/75、コーレルキット)とともに、縮尺1/192のトルネーズのスクラッチビルドを並列して展示されてました。滑車作りとリギングに苦戦されたとのことです。

加藤さんのラ・トルネーズの並列展示
加藤さんのラ・トルネーズの並列展示

仙台帆船同好会よりの作品では、川村さんのH.M.S.ベローナ(1760、イギリス、縮尺1/100、スクラッチ)がケースに入れられて展示されて良い雰囲気を出していました。当初はマストも建てる予定でしたが、製作途中で気が変わり船体模型としたそうです。

仙台川村さんのベローナ、ケース入り
仙台川村さんのベローナ、ケース入り

仙台帆船同好会より9隻出展
仙台帆船同好会より9隻出展

福島帆船同好会は、会員数も少なく新作を手がける会員も次第に限られてきている中で、吉田会長のリーダーシップで年次の展示会開催を志向されています。今年は仙台帆船同好会からの出展もあり、福島での展示会を盛り上げる努力が伝わりました。フレフレ福島・仙台!

*「戦艦ヴァーサ」ビョーン・ランドストローム、ノーベル書房、1985年3月、ケース入り大型本。(ル・グラン・サン・ルイの解説とイラストは、本書34?45ページに詳しい。)

(栗田正樹)




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第40回記念企画ジオラマ

横浜みなと博物館の特別展示室において、9月8日から9月17日まで第40回記念の模型展が開催中です。出品目録による展示総数は89点で、バラエティーに富む展示会となっていましたが、節目の展示会でハイライトとなっていた2点をご紹介します。

まず、第40回記念企画のジオラマ。タイトルは「ペリー艦隊(黒船)と横浜村」で、このジオラマは2年をかけて製作されました。製作に際してはプロジェクトチームが組成され、郷原会長の企画総指揮のもと、ザ・ロープ会員でもある肥田さんが「デザイン総括」と、「ベースフレーム、海面、陸地」を製作、「樹木・集落」「黒船」「和船」「展示パネル」の各チームが製作を分担、延べ22名の会員が参画されてます。

ジオラマは1854年日米和親条約が締結された当時の横濱村の風景を想定しており、製作にあたっては横浜開港資料館の西川館長の監修を受けています。最大の特徴とも言えるのは、遠近法を取り入れた製作です。正面から見て手前は大きく、視線が奥に向かうのにしたがって小さく見える手法です。手前の黒船艦隊の模型の縮尺は1/400、陸地に近くに従って模型の縮尺が1/500、1/800、1/1000と変化するようにしています。

遠近法の効果が分かるアングルからのスナップ
遠近法の効果が分かるアングルからのスナップ

我が国においてこのような手法を取り入れたジオラマ製作展示は初めての試みと思います。記念展示はジオラマにとどまらず、例えば1854年当時の横濱村の周辺地域の地形と現在の海外線を示すパネル解説や、当時の文書記録の現代訳も展示されるなど、関連情報も取り入れた中身が濃いものとなっていました。

ジオラマの和船風景
ジオラマ御座船風景
(上)ジオラマの和船風景 (下)ジオラマ御座船風景

蒸気外輪フリゲートPowhatan模型縮尺1_400
来航黒船艦隊模型の解説
(上)蒸気外輪フリゲートPowhatan模型縮尺1_400 (下)来航黒船艦隊模型の解説

次に構造模型に関する展示に力が入ってたのも今回の展示会の特徴と思いました。特に「構造模型用図面のレーザーカットへの展開」と題する展示では、レーザーカットや3Dプリンター用のデーター化で試行錯誤を重ねた結果、フレームモデル用の部品加工など、これまで難易度が高いと思われていた構造模型のスクラッチビルドが中級者にも手が出しやすい世界になりつつあることを感じさせました。帆船模型工作の楽しみ方も時代の変化を取り入れながら進化して行きそうな予感がします。

レーザーカットのサンプル展示
構造模型用図面のレーザーカットへの展開
3Dプリント部品のサンプル展示
(上)レーザーカットのサンプル展示 (中)構造模型用図面のレーザーカットへの展開 (下)3Dプリント部品のサンプル展示

9日夕刻には、展示会会場近くのホテル「ナビオス横浜」で横浜帆船模型同好会創立40周年記念パーティーが開催されました。パーティーには総勢82名が参加し、JSMCCのメンバーでは、仙台帆船同好会、福島帆船同好会、マイ・シップ・クラブ、ザ・ロープ、ザ・ロープ・ナゴヤの代表者や関係者が馳せ参じ、創立40周年を祝うとともに当会の益々の発展と会員の健勝を祈念しました。

(栗田正樹)





門司港駅風景_現在は修復工事中1
門司港駅舎(重要文化財)_現在は修復工事中
関門トンネルが開通するまで九州の鉄道の玄関口で、鹿児島本線の起点。対岸の下関駅との間に就航した関門連絡船との連絡中継駅で賑わった。現在は修復工事途上で、8月2日訪問時点では駅舎の覆いが外され、その姿がフェンス越しに見れるようになってました。

この8月2日、門司港レトロの旧大連航路上屋内の多目的室にて、7月14日から8月11日まで開催中の「夢とロマンの帆船模型展」を訪問しました。この展示会は、関門海峡ミュージアム(海峡ドラマシップ)が主催しており、JSMCC会員であるKIGS帆船模型クラブ「セーリング・シップ」と下関帆船模型クラブ海峡が展示協力をしています。

セーリング・シップの濱中会長、林副会長、八坂事務局長、また海峡の義宮会長にご案内をいただきました。今回の展示会は、同じ門司港レトロにある関門海峡ミュージアムがリニューアル工事で休館中のため道を挟んだ旧大連航路上屋の多目的会議室での開催となり、開催期間中6千人の来場者を見込んでいるとのことです。

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(上)会場の旧大連航路上屋(下)訪問記念スナップと会場風景

展示作品数は、セーリング・シップから66点、海峡から12点の合計作品78点、内約半数が新作とのことで、室内に所狭しと展示された模型の展示風景には迫力がありました。展示会のカタログはA3両面のカラー刷りで、裏面の作品リストにはずらりと作品の写真と解説が掲載されています。模型の縮尺の記載はありませんが、このカタログは主催者が8千部を準備し、また会場利用料も無料とのことで、模型クラブへの厚遇ぶりなどのお話を伺うと誠に羨ましい限りです。

セーリング・シップの名前にあるKIGSとは、当会の活動拠点となっている八幡東区の北九州イノベーションギャラリー(KIGS)(注*)のことで、ここでは工具類、レーザー加工機などの設備が利用可能で、会員も自製の治具工具類などを持ち込み工作を楽しんでいるとのことです。

この恵まれた環境もあるのでしょう。展示では、レーザーカットの部品類や、レーザー加工部品で組み立てられた模型も参考展示されていました。趣味としての帆船模型工作への導入や、若年層の潜在的関心の掘り起こしには有効策だと感じました。

作品の銘板のレーザー加工例もご紹介いただきました。宮島さんのブルーノーズの銘板は木製板を加工しておりきっちりと彫り込んだ出来栄え、また平安さんの屋形船の銘板は、レーザー加工した板に厚めのアクリル板を貼り付けています。レーザー加工の精度や威力を感じました。

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宮島さんブルーノーズ銘板(上)平安さん屋形船銘板(下)

壁面での掲示では、今年の1月の朝日新聞掲載記事のクリッピングが額装されていました。セーリング・シップが愛媛県の国立弓削商船高等専門学校向けに初代の海王丸の模型(縮尺1/75)を製作して寄贈した時の記事です。模型は教材としても利用されるとのことで、実船を忠実に再現する必要があることに加えて、100年は展示に耐えられるようにと頑丈な模型にするべく、3年半をかけて製作されたそうです。

模型をいくつかご紹介します。
セーリングシップでは、まず今村さんのエンデバー、縮尺1/60のキットベース。これは2作目の作品だそうですが、船体の作り込みが丁寧です。林さんが”うるさく”指導をされたそうです。

今村さんエンデバー(1)
 今村さんエンデバー

小林さんは、サンタマリアを同じ縮尺で2隻展示、1隻はキットを組み立て、もう1隻はキットと併行してスクラッチで製作したそうです。よく見ると、セールのデザインや色調を変えたりして楽しまれた様子が目に浮かびます。

小林さんサンタマリア2隻(1)
 小林さんサンタマリア2隻

青木さんのワサは、キットながら金属部品の加工装着が非常に丁寧で、また綺麗に仕上げていました。青木さんはお歳が90歳とのことです。数多くの作品を手がけてきておりここまで細かく仕上げることができるとのことですが、仕上がり振りには正直驚きでした。

青木さんワサ(1)
 青木さんワサ

濱中さんは小ぶりの作品を多数展示されていました。ご自宅での保管スペースや奥様のご理解も得るために縮尺を落としているのだそうです。製作毎に増える模型の自宅保管は楽しみとともに悩みにもなることは同好者共通です。

濱中さんの作品群
 濱中さんの作品群

海峡の展示では、邑本さんの関船がきっちりと仕上がり、義宮さんの遣唐使船は縮尺1/50で余った部材を利用して製作、また帆の表現も工夫されていました。八尾さんのボトルシップでは、珍しくイカ釣り漁船の古い舶用電球を利用していました。

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(上左)邑本さん関船_船首毛利家家紋(上右)義宮さん遣唐使船義宮さん遣唐使船(下)八尾さんボトルシップ日本丸

門司港レトロは、博多駅から新幹線小倉駅経由で1時間以内の距離にあり、海峡の眺めとともに雰囲気のある街並みでアトラクションが多くあります。この環境下で帆船模型展を開催できることは羨ましいとつくづく感じた訪問になりました。



★参考情報:
八幡東区の北九州イノベーションギャラリー(KIGS)
https://www.kigs.jp/information/
門司港レトロ観光情報
http://www.mojiko.info

(2018年8月 栗田正樹)

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