児玉貴志という男。
作品の感想レビューを見ると「小玉さんが良かった」とたまに見かけるが、ま、児玉より小玉でいいと他人事ながら思う。
開演前の楽屋は大抵「児玉さんイジリ」で終始する。
本来の児玉さんは、誰よりも二枚目気質で、誰よりもプライドが高く、あのようなイジられ方は不本意だろうが、ま、これもまた他人事ながら「仕方ない」と思う。
イジられる内が花、というよりイジられる今こそがピークですよ、児玉さん。

20年前に彼(といっても先輩だが)と出会い、よくお世話になった。
よく飯もおごってくれたり、映画や音楽を教えてくれたり、一時期は居候までさせてもらった。
20年前の彼は、当時の僕にとっては格好よく見えた。彼自身も「自分は松田優作に違いない」と思い込んでいたに違いない。

それから年月を経て。

いまだに松田優作の名残が時折見え隠れしてイラッアアアッとくることもあるが、数年前(『その夜の侍』の頃)からか役者としての佇まいが変化した。
「もしかしたら俺は松田優作ではないのかも」「もしかしたら俺はハゲてるのかも」とようやく、ようやく自覚し始めたのかもしれない。
それでも彼はハゲを隠す。前述したように異常な二枚目気質なのだ。
それでも演出家としての僕は「そのハゲをさらせ!」と命令させていただく。
見かけの問題ではない。心根の問題だ。

もういいだろ、児玉さん。

ナイロンの峯村さんがツイッターで呟いていた「私たちは児玉さんを守らなければ」という文言に少しだけ賛同する。
資本主義的な演劇界でこのまま絶滅させてしまうのは惜しい。
何とか国で保護できないものか。

稀有な役者なんです。

そんな児玉貴志さんが大活躍の『風の吹く夢』。
23日まで。
お見逃しなく。