香山リカ 安保法案抗議デモに燃えた夏を振り返る

あれは6月半ばの金曜日のことだったと思う。
(中略)
その金曜日、私は精神医学関連の学会の会議に出ていた。
6月下旬に開催される総会の副大会長を引き受け、毎週のように診療や授業の後、事務局メンバーの精神科医たちと集まっては、総会当日に向けてあれこれ準備をしていたのだ。その日もたしか19時頃に集合して「お弁当の注文は」「マイクは何本必要か」といった相談をあれこれしているうちに、あっという間に21時近くになった。しびれを切らして私は言った。
「あの、そろそろ失礼したいのですが」
「えー、まだ決めなきゃいけないこと、いろいろあるでしょ。だいたいこんな遅くからカヤマさん、いったいどこ行くの?」
「国会前。学生たちが安保の抗議行動やってるみたいなんで。今から行けば間に合うかもしれないので」
「あー、そういうのか。カヤマさん、ちょっと気をつけたほうがいいんじゃないの」
実はそこに集まっているのは精神科医の中でも「リベラル」と思われる人たちで、私にとっては比較的、心許せる“仲間”のはずだった。その昔、学生運動にかかわっていた団塊世代の教授なども含まれていた。
――それが「気をつけなよ」って、いったいなんなんだ。
私はイラついて、そういった場ではめずらしいことなのだが、「別にいいじゃないですか。いまさら何に気をつけろって言うんですか」とちょっと強い口調で言い返した。
続きます
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