内閣府が募集している「エネルギー・環境に関する選択肢」に対するパブリックコメントの締切が迫っている。これがどれほどの影響力を与え得るのか、そもそもどのように集計され、どのように政策に反映されるのかすら定かではないが、それでも書いてみる価値はあるだろう。
パブリックコメント投稿ページ
なお、意見の投稿にあたっては、この件についての特設サイトや、エネルギー・環境会議のサイトなどを参照し、よく内容を吟味してもらいたい。投稿はFAXや郵送などでも可能である。
また、政策を変えようと思うなら、ときに自分の本意を多少歪めることになったとしても、「相手の言語でしゃべる」ということ、「相手の合理性」で伝えるということも考えてみると良いかも知れない。内閣府に対して、「脱産業社会」とか、「人々の生活スタイルを根底から変える」とかいうことを主張してみても、その声は届かないかも知れない、けれども同じ内容を、「リスク管理」や「国益」などの言葉で、つまり経済と国家の合理性で語れば、耳を傾けられる機会も増えるかも知れない。
ピエール・ブルデューは、「妥協したのではないかという嫌疑をあらかじめ甘受した上で、知的権力に対して、妥協が語られるその場で、相手が最も聞きたがらないこと、おそらく最も予想外のこと、その場にもっともそぐわないことを語ることによって、知的権力の武器を逆手にとるべきだ」と述べている。しかしときには、そうしたことを直接的に語るのではなく、相手にとって心地良いとは言わないまでも、少なくとも理解できる言葉のなかに、暗に「相手が最も聞きたがらない意図」を忍ばせることも有効であると思う。
以下は私自身が投稿した意見であるが、上記のようなことを考えながら書いた。多くの方が投稿されることももちろんだが、集まった意見が誠実に,そして有効に利用されることを期待したい。
パブリックコメント投稿ページ
なお、意見の投稿にあたっては、この件についての特設サイトや、エネルギー・環境会議のサイトなどを参照し、よく内容を吟味してもらいたい。投稿はFAXや郵送などでも可能である。
また、政策を変えようと思うなら、ときに自分の本意を多少歪めることになったとしても、「相手の言語でしゃべる」ということ、「相手の合理性」で伝えるということも考えてみると良いかも知れない。内閣府に対して、「脱産業社会」とか、「人々の生活スタイルを根底から変える」とかいうことを主張してみても、その声は届かないかも知れない、けれども同じ内容を、「リスク管理」や「国益」などの言葉で、つまり経済と国家の合理性で語れば、耳を傾けられる機会も増えるかも知れない。
ピエール・ブルデューは、「妥協したのではないかという嫌疑をあらかじめ甘受した上で、知的権力に対して、妥協が語られるその場で、相手が最も聞きたがらないこと、おそらく最も予想外のこと、その場にもっともそぐわないことを語ることによって、知的権力の武器を逆手にとるべきだ」と述べている。しかしときには、そうしたことを直接的に語るのではなく、相手にとって心地良いとは言わないまでも、少なくとも理解できる言葉のなかに、暗に「相手が最も聞きたがらない意図」を忍ばせることも有効であると思う。
以下は私自身が投稿した意見であるが、上記のようなことを考えながら書いた。多くの方が投稿されることももちろんだが、集まった意見が誠実に,そして有効に利用されることを期待したい。
三つの理由から「ゼロシナリオ」を支持する。1)原発事故はリスク管理やコスト計算の範囲を超えている。2)次世代エネルギー開発をリードすることは国益に適う。3)エネルギー政策をシフトするには今が好機。
私は2030年「ゼロシナリオ」を支持します。たしかに、原子力発電はこれまで日本経済に大きな貢献をしてきたことは間違いありませんし、私は現在の感情に任せた「反原発論」に賛成するものではありません。しかしながら今回の震災は、今後も原子力発電の運用を続けることは合理的ではないと私たち教えているように思います。
第一に、ひとたび原子力発電所で事故が生じたときの損害の大きさは、物心両面においてリスク管理やコスト計算のできる範囲を超えているということです。今回は、関係者の多大な努力と尊敬すべき自己犠牲によって、今のところ原発は小康状態を保っており、おそらくはこのまま安定的に推移するであろうと考えられますが、それは今後も原発の事故が同様の規模に留まることを保証するものではありません。今回も一つ間違えば取り返しのつかない惨事になる可能性は十分あり得たし、今後もあり得るだろうことは、間違いないように思われます。
第二に、グローバルなエネルギー政策の転換が進展している現在、日本の高い技術力を発揮して次世代エネルギー開発をリードすることは、日本の国益にも適っています。しかし、電力市場が原発に依存する状態が今後も続けば、産業は次世代エネルギー開発にコストを投じるインセンティブを失いかねません。その結果、他国が日本に先んじてエネルギー産業技術をリードする結果になれば、日本の国益を損なう結果にもなりかねません。そうした事態を避けるためには、政策が「ゼロシナリオ」を明確にし、次世代エネルギー開発を支援する姿勢を打ち出す必要があります。
第三に、上記のような現状理解に基づいてエネルギー政策をシフトするには、今が稀にみる好機であるということです。世論の大勢は原発からクリーンエネルギーへの移行を支持ていますし、福島原発の事故から間もないという今であれば、産業界の理解も得られやすい状況にあります。また、国際社会も日本の動向に注目しており、ここで日本が決断力を示せば、京都議定書以降すっかり低下していた日本の存在感を取り戻し、世界にリーダーシップを示すまたとない機会ともなるでしょう。
いまこそ、「ゼロシナリオ」を決断すべきとであると考えます。