現在、一人出版社が進めている長期プロジェクトは、医療・ロボティクスをテーマにしたコミック。今年に入って、取材のメインがAI(人工知能)関連になってきましたが、あらゆる分野に影響を与える技術なので自然な流れだと思っています。

リリースするコンテンツは「スマホコミック」で計画し、実際に閲覧できるプロトタイプを作りながら、表現方法などを模索していました。現在は、新たな表現方法を取り入れ、スマホコミックはサブコンテンツとして扱うことになりましたが、この試行錯誤の期間、プロトタイプを公開していたことも影響し、企業から多数、問い合わせをいただきました。

内容は、自社製品やサービスを「SNSで消費しやすい」スマホ向けのマイクロコンテンツにしたい、というもの。ページをスクロールさせながら、1分程度で快適に読めて、印象付けることができる「スクロール漫画(コミック)」に興味があるので、試してみたいという依頼です。


一人しかいない一人出版社では余裕がなく、受注することはできませんでしたが、一時期あまりにも問い合わせが多かったので、印刷会社などがアプローチ可能な領域ではないかと感じていました。

ビジネス漫画のジャンルはすでに確立されていて、専門の制作会社がありますので、「スマホコミック」に絞り込むのです。
 

一人出版社が作成したプロトタイプを見てください。

スマホコミック「ゼロロボティクス」プロトタイプ
※スマートフォン用の漫画なので、パソコンでは読めません。パソコン用のページが表示されます。

desktop_img

このプロトタイプを見て、8社ほどの問い合わせがありました(その後も、数社から連絡あり)。
アプリとして開発されたものではなく、たんなるウェブページ(シングルロングページ)です。どのくらいの反応があるのか、テストしてみたいということだったので、HTMLで十分という話でした。


大まかな流れは以下のようなもの。

(1)打ち合わせで意向を聞く
(2)シナリオ会議
(3)シナリオは10話分まとめて書く(平日の2週間分の配信)
(4)漫画を描く(漫画家であるかどうかは問わない)
(5)ラフの段階でスマホコミック化して、スマートフォンで確認・検討
(6)漫画完成、スマホコミック化
(7)実機検証、10話分の納品

効果測定は自社のシステムがあるので、コンテンツだけつくってほしいという企業が大半でした。
広告費を使うので、制作費は紙媒体の販促物と変わらないレベル(つまり安い仕事ではない)。


プロトタイプは、PhotoshopとMuseを使用しています。
作成方法は、Museアカデミーの「スマホコミックを作ろう!( http://design-zero.tv/muse2016/#section-06 )」で詳しく解説していますので、ご覧になってください。

Comics-Prototype


Museを使うことで、(5)と(6)の作業はあっという間に終わります。
ラフの漫画原稿をスマートフォンで撮って、Museのスマートフォンモードで配置すれば完成してしまいます。読み込み、配置、パブリッシュ(HTMLデータの生成・自動アップロード)の繰り返し。

時間がかかるのは、コマとコマの間隔の調整です。縦スクロールで見ていきますので、コマの間隔も重要な演出。

「この後のコマ、出てくるタイミング唐突すぎない?」とか「セリフが多すぎるから分割して、読みやすくしよう」などと、意見を出し合いながら進めます。


成否は、やはりシナリオ。
いくら消費しやすいコミックでも、最初のつかみが弱いと、読み飛ばされてしまう。

商品のチラシで、漫画を使ってわかりやすく表現しているものがあるでしょう。漫画としても楽しめて、商品の魅力も伝えられている。デザイン制作会社や印刷会社がつくっている、あのチラシのレベルのものがスマホコミックで反映できればよいのではないかと思います。


「スマホコミックを作ろう!( http://design-zero.tv/muse2016/#section-06 )」で、プロトタイプ(ZeroRobo_Prototype.zip)がダウンロードできますので、興味のある方は参考にしてみてください。


プロトタイプをつくって、自社のサイトに1つのサービスとして掲載しつつ、紙媒体の販促ツールを請け負っているなら、クライアントに提案してみてほしいと思います。スマホコミックに限らず、新しい領域の仕事を考えるきっかけになるかもしれません。SNSで消費しやすいマイクロコンテンツには、まだ可能性がありますので。




以前、別のアプローチでスマホコミックのビジネスを紹介しました。

参考:
Muse で新市場開拓の第四回目(自治体向け提案)です。印刷会社が、Adobe Museで実現可能な新事業とは?/ウェブ制作会社とガチンコ勝負するような領域に入ってはいけない
第四回「自治体に提案する「まち歩き」の楽しさ、魅力を伝えるコンテンツ」

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筆者:
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